上 下
13 / 242

11・俺の国の話①(リシェ視点)

しおりを挟む

 この国の連中はそもそも、司祭だとかなんだとかいうやつらばっかりで、剣術とか体術とかが得意だっていうやつが極端に少なかった。
 魔法やら魔術やらはみんなそれなりに使えるんだけどな!
 だから、俺に剣術とかを教えてくれることになったのは、他の国出身の、冒険者だって言うおっさんで。
 そのおっさんが師匠なんだけど、当然、口調だとか態度だとかは、全然よくはなかったってわけ。
 でも子供だった俺にはそんな、乱暴な所も含め、師匠がすっげぇーかっこよく見えて。
 憧れて真似してるうちにこの通り。口調も態度も悪い王様の出来上がり。
 がみがみがみがみ怒られたけど、怒られれば怒られるほど反発を覚えちまってさぁ。今ではもう直せない。
 一応、外交とかそういう時には気を付けるようにしてるんだけどね。
 って、言っても、下手なこと口走らないように、出来るだけ口閉じてるだけだけど。
 だから、昨日は緊張もあって、食事の時もサフィルとは何にも話せなかった。
 サフィルもきっと緊張してたんだと思う。
 体を強張らせてる様子も可愛くって。俺は初夜が待ち遠しかった。
 マチェアデュレ神聖王国うちは宗教国家で、マチェデュル教を国教としている。
 ほんとか嘘か知らないけど、なんでも俺のような聖王家の人間には、主神であるチェデュー神の血が流れてもいるんだって。
 でも実在・・確定している・・・・・・ホフィア教の崇める創造主と違って、チェデュー神の存在は怪しくないだろうか。そう思う部分もないわけでもないけど、こんなにかわいい子を伴侶に迎えることが出来たんだからきっと、教義の通り、チェデュー神が見守ってくれてるんだと信じてもいいと今では思っている。
 で、宗教国家だけあって、その教義ってのが色々煩いんだ。
 その際たるものが伴侶。
 聖王家に生まれた者は、選ばれた聖王妃(聖王以外の王族の場合は正妻)としか閨を共にしてはいけないことになっている。
 なんでも尊い血を拡散しない為なのだとか。
 俺だってオトシゴロ・・・・・だ。そういうことに興味がないわけがない。
 でもダメだって言うなら仕方ないし、出来るだけいい子が選ばれるといいなって思ってた。
 選ぶのは俺じゃないから、祈るぐらいしか出来なかったんだ。
 この相手選びってのにもいろいろと制約があって、まず血筋が良くなければいけないんだって。
 出来れば国内、それも聖王家の王族の中から選ばれるのが一番いいらしい。
 つまり親戚ってこと。別に兄弟でもいいらしいけど、自分から望むんじゃない限り、本人たちが嫌がったら子供が出来ないから、無理やり伴侶にすることはしてないそうだ。
しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

もう人気者とは付き合っていられません

花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。 モテるのは当然だ。でも――。 『たまには二人だけで過ごしたい』 そう願うのは、贅沢なのだろうか。 いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。 「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。 ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。 生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。 ※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中

悪役令息はもう待たない

月岡夜宵
BL
突然の婚約破棄を言い渡されたエル。そこから彼の扱いは変化し――? ※かつて別名で公開していた作品になります。旧題「婚約破棄から始まるラブストーリー」

新しい道を歩み始めた貴方へ

mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。 そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。 その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。 あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。 あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……? ※沢山のお気に入り登録ありがとうございます。深く感謝申し上げます。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

王が気づいたのはあれから十年後

基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。 妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。 仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。 側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。 王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。 王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。 新たな国王の誕生だった。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

処理中です...