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11・俺の国の話①(リシェ視点)
しおりを挟むこの国の連中はそもそも、司祭だとかなんだとかいうやつらばっかりで、剣術とか体術とかが得意だっていうやつが極端に少なかった。
魔法やら魔術やらはみんなそれなりに使えるんだけどな!
だから、俺に剣術とかを教えてくれることになったのは、他の国出身の、冒険者だって言うおっさんで。
そのおっさんが師匠なんだけど、当然、口調だとか態度だとかは、全然よくはなかったってわけ。
でも子供だった俺にはそんな、乱暴な所も含め、師匠がすっげぇーかっこよく見えて。
憧れて真似してるうちにこの通り。口調も態度も悪い王様の出来上がり。
がみがみがみがみ怒られたけど、怒られれば怒られるほど反発を覚えちまってさぁ。今ではもう直せない。
一応、外交とかそういう時には気を付けるようにしてるんだけどね。
って、言っても、下手なこと口走らないように、出来るだけ口閉じてるだけだけど。
だから、昨日は緊張もあって、食事の時もサフィルとは何にも話せなかった。
サフィルもきっと緊張してたんだと思う。
体を強張らせてる様子も可愛くって。俺は初夜が待ち遠しかった。
マチェアデュレ神聖王国は宗教国家で、マチェデュル教を国教としている。
ほんとか嘘か知らないけど、なんでも俺のような聖王家の人間には、主神であるチェデュー神の血が流れてもいるんだって。
でも実在が確定しているホフィア教の崇める創造主と違って、チェデュー神の存在は怪しくないだろうか。そう思う部分もないわけでもないけど、こんなにかわいい子を伴侶に迎えることが出来たんだからきっと、教義の通り、チェデュー神が見守ってくれてるんだと信じてもいいと今では思っている。
で、宗教国家だけあって、その教義ってのが色々煩いんだ。
その際たるものが伴侶。
聖王家に生まれた者は、選ばれた聖王妃(聖王以外の王族の場合は正妻)としか閨を共にしてはいけないことになっている。
なんでも尊い血を拡散しない為なのだとか。
俺だってオトシゴロだ。そういうことに興味がないわけがない。
でもダメだって言うなら仕方ないし、出来るだけいい子が選ばれるといいなって思ってた。
選ぶのは俺じゃないから、祈るぐらいしか出来なかったんだ。
この相手選びってのにもいろいろと制約があって、まず血筋が良くなければいけないんだって。
出来れば国内、それも聖王家の王族の中から選ばれるのが一番いいらしい。
つまり親戚ってこと。別に兄弟でもいいらしいけど、自分から望むんじゃない限り、本人たちが嫌がったら子供が出来ないから、無理やり伴侶にすることはしてないそうだ。
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