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前世からの約束
第3話 上陸
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「着いた・・・」
4人は島の入り江で自転車を降りて立ち尽くす
いつの間にか目に光が戻っていた
「何か変な感じ・・・」
冴那弥が呟くように言う
「俺も。ちょっと頭がボーっとしてるような・・・それにいつの間に着いたんだ?」
斗希がキョロキョロしながら言った
休憩していたはずなのだがと思うものの何故か確信が持てない
「なぁ、それより見ろよ」
「?」
「何・・・これ・・・」
玲衣の指した先にはたくさんの舟の残骸が漂っている
モーターボート
釣り船
小型のクルーザー
島の周りが浅瀬になっている為大きな船の残骸はないもののその量がありえなかった
軽く小山ができるほどの量である
「あの数だけ人が来たってこと?」
実津杞の言葉にみんなが一瞬息を飲む
脳裏では『誰も帰ってきていない』というアナウンサーの言葉が繰り返されていた
映像も
音声も
島にたどり着いたところまでしか存在しない
意図的に隠しているのだと視聴者は決めつけていた
ミステリーよろしく騒ぎ立てるのが目的だと揶揄している者さえいた
でもこの残骸を見る限り島から帰る事すら不可能なのは明確だった
「うそ・・・!」
「実津杞どうし・・・た?!」
実津杞の凝視している方に目を向けると不自然なほどゆっくりと崩れていくものがあった
それはついさっきまで自分たちが乗っていた4人の自転車だった
一気に崩れるのではなくパーツが1つずつ静かに落ちていく
サドルが
ペダルが
重力に逆らうかのようにゆっくりと・・・
「どういうこと・・・?」
「あんなのありえねぇ・・・!」
そう言いながらも視線を外すことは出来ない
そして4人はさっき見た船の残骸を思い出していた
『残骸』
確かに残骸ではあるがこれから再び組み立てることも出来そうなパーツの山だったということを
一体何が起こっているのか
考えても答えなど出るはずもなく立ち尽くしたまま自転車が崩れていくのを見守るしかできない
そして最後に残ったタイヤが静かに倒れた時、4人は強い風に包まれた
ザー・・・ッ
巻き上げられる砂ぼこりから身を守るために目を閉じた
風がやんで目を開いた4人は絶句する
入り江にいたはずだった
でも今居る場所は森の中で360度木々が立ち並んでいる
冴那弥は玲衣の、実津杞は斗希の腕をつかんでいた
「・・・とにかく進んでみよう」
玲衣は震える冴那弥の手に自分の手を重ねた
大丈夫だというようにその甲を何度もなでる
獣道すらないその森の中に玲衣は道を作りながら歩き3人は後に続く
「玲衣、お前道わかってんのか?」
あまりにも迷いなく進む玲衣に斗希が尋ねた
「何となく・・・こっちに進まなきゃならない・・・そう感じるだけだ」
3人は何故かその言葉をそのまますんなりと受け入れていた
「あ・・・!」
実津杞が突然声を上げた
その視線の先に人がいた
それも1人ではなく10人くらいの集団である
「あの・・・!」
実津杞はその集団に向かって声をかけるが誰も気づいてはくれない
皆が同じ方向を見てただ無心に歩いている感じだった
「追いかけよう」
斗希の言葉に4人は頷き合い集団を追いかけた
「この先って・・・」
冴那弥が呟いた瞬間再び強い風が吹いた
ザー・・・ッ
さっきまでの森の木々がいきなり途切れた
「・・・うそだろ?」
「どうした斗希?」
「森が・・・消えた・・・」
3人が後ろを振り向くのは同時だった
そこにはどこまでも広がる岩場があるだけだった
岩場の先に大きな木が立っていた
大人が10人くらいで初めて囲みこめるような木の幹を持った大木だった
「あの大木・・・行かなきゃ・・・」
いきなり冴那弥が走り出す
「「「冴那弥?!」」」
3人が驚きながらも反射的に後を追う
「何かヤバイ気がする」
玲衣が何を言わんとしているのか2人にはすぐにわかった
冴那弥だけでなく前にいた10人ほどの集団も同じように大木に向かって走り出したのだ
「止まれ冴那弥!」
玲衣が何とかつかまえる
でもその腕はありえない力で振りほどかれた
「ぐっ・・・!」
「玲衣!!」
反動で背後にあった岩に腰を強打する
内臓がやられたのか血を吐いた
「冴那弥・・・!!」
それでも再び追いかける
大木まであと10メートルちょっとの場所で玲衣は再び冴那弥を捕まえ背後から抱きしめた
その直後4人の目の前でありえないことが起こった
4人は島の入り江で自転車を降りて立ち尽くす
いつの間にか目に光が戻っていた
「何か変な感じ・・・」
冴那弥が呟くように言う
「俺も。ちょっと頭がボーっとしてるような・・・それにいつの間に着いたんだ?」
斗希がキョロキョロしながら言った
休憩していたはずなのだがと思うものの何故か確信が持てない
「なぁ、それより見ろよ」
「?」
「何・・・これ・・・」
玲衣の指した先にはたくさんの舟の残骸が漂っている
モーターボート
釣り船
小型のクルーザー
島の周りが浅瀬になっている為大きな船の残骸はないもののその量がありえなかった
軽く小山ができるほどの量である
「あの数だけ人が来たってこと?」
実津杞の言葉にみんなが一瞬息を飲む
脳裏では『誰も帰ってきていない』というアナウンサーの言葉が繰り返されていた
映像も
音声も
島にたどり着いたところまでしか存在しない
意図的に隠しているのだと視聴者は決めつけていた
ミステリーよろしく騒ぎ立てるのが目的だと揶揄している者さえいた
でもこの残骸を見る限り島から帰る事すら不可能なのは明確だった
「うそ・・・!」
「実津杞どうし・・・た?!」
実津杞の凝視している方に目を向けると不自然なほどゆっくりと崩れていくものがあった
それはついさっきまで自分たちが乗っていた4人の自転車だった
一気に崩れるのではなくパーツが1つずつ静かに落ちていく
サドルが
ペダルが
重力に逆らうかのようにゆっくりと・・・
「どういうこと・・・?」
「あんなのありえねぇ・・・!」
そう言いながらも視線を外すことは出来ない
そして4人はさっき見た船の残骸を思い出していた
『残骸』
確かに残骸ではあるがこれから再び組み立てることも出来そうなパーツの山だったということを
一体何が起こっているのか
考えても答えなど出るはずもなく立ち尽くしたまま自転車が崩れていくのを見守るしかできない
そして最後に残ったタイヤが静かに倒れた時、4人は強い風に包まれた
ザー・・・ッ
巻き上げられる砂ぼこりから身を守るために目を閉じた
風がやんで目を開いた4人は絶句する
入り江にいたはずだった
でも今居る場所は森の中で360度木々が立ち並んでいる
冴那弥は玲衣の、実津杞は斗希の腕をつかんでいた
「・・・とにかく進んでみよう」
玲衣は震える冴那弥の手に自分の手を重ねた
大丈夫だというようにその甲を何度もなでる
獣道すらないその森の中に玲衣は道を作りながら歩き3人は後に続く
「玲衣、お前道わかってんのか?」
あまりにも迷いなく進む玲衣に斗希が尋ねた
「何となく・・・こっちに進まなきゃならない・・・そう感じるだけだ」
3人は何故かその言葉をそのまますんなりと受け入れていた
「あ・・・!」
実津杞が突然声を上げた
その視線の先に人がいた
それも1人ではなく10人くらいの集団である
「あの・・・!」
実津杞はその集団に向かって声をかけるが誰も気づいてはくれない
皆が同じ方向を見てただ無心に歩いている感じだった
「追いかけよう」
斗希の言葉に4人は頷き合い集団を追いかけた
「この先って・・・」
冴那弥が呟いた瞬間再び強い風が吹いた
ザー・・・ッ
さっきまでの森の木々がいきなり途切れた
「・・・うそだろ?」
「どうした斗希?」
「森が・・・消えた・・・」
3人が後ろを振り向くのは同時だった
そこにはどこまでも広がる岩場があるだけだった
岩場の先に大きな木が立っていた
大人が10人くらいで初めて囲みこめるような木の幹を持った大木だった
「あの大木・・・行かなきゃ・・・」
いきなり冴那弥が走り出す
「「「冴那弥?!」」」
3人が驚きながらも反射的に後を追う
「何かヤバイ気がする」
玲衣が何を言わんとしているのか2人にはすぐにわかった
冴那弥だけでなく前にいた10人ほどの集団も同じように大木に向かって走り出したのだ
「止まれ冴那弥!」
玲衣が何とかつかまえる
でもその腕はありえない力で振りほどかれた
「ぐっ・・・!」
「玲衣!!」
反動で背後にあった岩に腰を強打する
内臓がやられたのか血を吐いた
「冴那弥・・・!!」
それでも再び追いかける
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