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番外編

9.決別②

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「シャロンやめろ」
「ヨハン…さ…ま?」
「お前が媚薬を使ってたことはもうわかってるんだ」
「え…?」

「シャロンのしたことはかなり危ないことよ。その媚薬は飲ませすぎると相手の精神が崩壊する可能性もある特殊なものだから」
「嘘…」
「嘘じゃないわ。それに同意なく媚薬を飲ませるのはこの国では犯罪行為よ」
「な…んのことかしら」
この期に及んでしらを切ろうとするのがシャロンらしいとさえ思う

「何のことかわからないならその引き出しを開けても問題ないでしょう?」
私はシャロンを押しのけて引き出しを開けた
そこには使いかけの媚薬の瓶が入っていた

「あぁ…」
悲鳴のような声を上げながらシャロンが泣き出した

「同意なく飲ませた上での性行為は1回に付き100万コール、10回を超えたら悪質として懲役刑だ」
「違…私はお父様の命令で…」
ここにきてもまだ自分の罪とは認めないらしい
いつまでたっても他責のシャロンにうんざりする

「実行犯である以上誰の指示かは関係ない。この減りからすると使用量も守ってないんだろう?」
「…そうよ。でもヨハン様が冷たくするから悪いのよ!私がこれだけ愛してるのに私の事を見てくれないから…!」
「もうやめてくれ」
ヨハンがシャロンの言葉を遮った

「ヨハン様…?」
「最初にお前を利用した俺にも責任がある。でも何度も伝えたようにシャロンを愛することは出来ない。媚薬のことが分かった今、シャロンに対する信頼も持てない」
「イヤよ…そんなの絶対許さないわ」
「シャロン、人の心は誰にもコントロールできないっていい加減理解して。そんなの子供でも分かってることよ?」
「そんなことないわ。だって私の思うとおりにお父様はあなたを虐げたじゃない。だから…」
「いい加減にしろ!もうたくさんだ!」
ヨハンが唸る様に遮った

「…愛するってことは相手を思いやるってことでもある。自分の気持ちを押し付けて無理矢理気持ちを変えさせるのは愛じゃない」
レオンが静かに言った

「そんなことない。だって私は…」
シャロンはそれでもまだ認めない
私達は顔を見合わせもう無理だと悟った

カルアに全てを報告し、ヨハンは憲兵を呼んだ
シャロンにどんな裁きが下されるかは分からない
媚薬を用意した父も後日拘束され処罰されるらしい
ようやくすべての騒動が落ち着いたと少しほっとした

「レオン、本当にすまなかった」
悔いるように発せられたそれはインディペイト家を出る直前カルアが言った言葉だった
レオンは何も答えなかった
でもその顔はどこか清々しさがあった



*******
これにて本編、番外編ともに終了です。
ここまでお付き合いいただいた皆様に心より感謝いたします。
また別の作品でお目にかかれることを願って…
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みんなの感想(2件)

UR10k
2022.04.02 UR10k

【18.返り討ち③】
笑いをこらえるのに[必至]の

しつこくてすみません…。

真那月 凜
2022.04.02 真那月 凜

修正しました。
誤字脱字多数あると思いますのでお知らせ頂けるととても助かります。
ありがとうございます!

解除
UR10k
2022.04.02 UR10k

初めまして。
更新楽しみにしております!

そして余計なお世話かと思いますが、誤字報告です。

【13 シャロンとの時間①】
生活に必要な物さえ[変えなく]

頑張ってください!

真那月 凜
2022.04.02 真那月 凜

応援ありがとうございます。
誤字、修正いたしました。

解除

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