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本編

23.パーティー④

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「私、先日初めて満足のいく買い物をさせていただきましたわ。マリオン商会で私に付いてくださったスタッフは豊富な知識をお持ちでしたの。質問にも初めてまともな答えを頂きましたわ。それこそ『素晴らしい商品です』なんてくだらないお答えではなく…ね」
「クララ…様…?」
彼女は呆然とした顔でクララを見る

「私が何を望んでいるかをまず聞こうとする姿勢はとても好感が持てましたし、商品に関する知識も余すことなく教えて下さるから、私自身も勉強になりますのよ?」
「そう言っていただけるとスタッフも喜びます」
私はクララに頭を下げる

「しかもマリエルは私がそのスタッフを専属にして欲しいという要望を元に、商会内でパートナー制度を導入してくれたのよ?前回までに購入したものも把握されていて、それを踏まえた商品を勧めてくれるからとても助かっているわ」
「でも…それでも…」
何とか自分の立場を守ろうとしているのだろうか?

「スタッフに伝えたお願いも、その場で無理な場合はマリエル自信ができる限り手を尽くしてくれますし。これこそ最高のもてなしだと思いませんこと?」
クララの言葉に彼女の顔は白くなっていく
自分の言葉が跳ね返ってきただけではなく、王族に近しい者から間抜け呼ばわりされたのと同義だから仕方がない
これには周りの高位の立場の者達も頷いている

「それにあなた方は先ほど、マリエルがレオンに相応しくないというような発言をなさいましたけど…」
クララがハエーーー寄ってきた令嬢たちーーーを見回し言葉を切った

「あなた方程度がレオンに振り向いてもらえると本当に思っているのかしら?」
「な…」
「酷いです…」
何人かが反論する

「だってあなた方にマリエル以上に、レオンに提供できるものなんて無いでしょう?以前は蔑んでいたクセに親に言われるまま媚を売る様な低俗な令嬢に、娼婦の真似事以外の一体何が出来ますの?」
「娼婦…ですって?」
「流石に酷すぎです。私たちは娼婦じゃありません。お相手に選ぶならレオン様だけですもの。そうでしょう皆さま」
「勿論よ。レオン様だからこそ…」
「私だってそうですわ」
「私達の中の誰かが選ばれるなら仕方がないと思っておりましたが…突然現れた方になんて納得できませんもの」
「そうよ。そんなことお父様たちもお許しにならないわ。だからこうしてこの場で分からせて差し上げてるのですから」
口々に出てくる言葉にクララは悪い笑みを浮かべた

「あら、勝手に自爆してくださったこと、感謝しますわ」
クララはそう言いながら映像と音声を記録した小型の魔道具を取り出した
再生すると今のやり取りがしっか記録されていた
彼女たちは皆一様に青ざめる

そのタイミングで、さも騒ぎを聞きつけて、こちらに駆け付けて来たかのようにレオンが現れた

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