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本編

13. シャロンとの時間(side:父 レクサ)②

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「そういえばマリエルの事はよく聞いているが…シャロンから見て学園でヨハン君とマリエルはどうなんだ?」
「どうもこうもないわ」
その意図が分からずシャロンを見る
卒業してからヨハン君の紹介で事務方で勤めることになったと聞いたときは驚いたが…
姉のシャロンにそこまでしてくれるのだから当然うまくいってるものだと思っていた
そんな私にシャロンは予想外の言葉を投げつけてきた

「マリエルったら天使のようだった容姿がどんどん崩れて言ってるのよ?今ではその辺の女たちと変わらない」
「そうか…それはヨハン君も悲しむな」
だが政略結婚に容姿など大した問題じゃないだろうに
そもそも容姿を気にするなら最初からシャロンを選んでいたはずだ

「それだけじゃないのよ?ヨハン様が話しかけても無表情で愛想のかけらもないんだから…」
「何だと?」
それはかなり大きな問題だ
もしヨハン君の機嫌を損ねれば研究費がもらえなくなってしまう

「あと1年ちょっとなんだ。そしたらヨハン君と婚姻して援助の体制も強固なものになる。シャロン、お前からもしっかりフォローをしておいてくれ」
「もちろんよ。その点は安心して頂戴。私が誠心誠意フォローしてるから」
「そ、そうか…なら安心だな」
自信ありげに言うシャロンが頼もしく見えたのは初めてだった

「それよりお父様、婚姻はマリエルの卒業後すぐなのよね?」
「その予定だが…最終的には卒業式の1週間前に両家が集まって話をして決めることになってる。その日はシャロンも出席しなさい」
「分かったわ。両家が集まってって言うことは…レオン様も戻ってこられるの?」
「そのはずだ。それにもうすぐ隣国の学園を卒業するはずだが…」
「卒業しても向こうに残られるの?」
「ああ。向こうで人脈を広げるために残らせると聞いてるな」
そう言うとシャロンは意味ありげに笑った

「とにかくあと1年が勝負だ。できることならその前にシャロンの婚約者を決めたいものだが…」
そうは言ってもなぜかシャロンへの釣り書きは来ないのだ
これだけ優れた容姿をしているというのに…

「気にしないでお父様。私の事はマリエルの問題が片付いてからで構わないの」
「しかしそういうわけにもいかないだろう?妹の結婚式に姉のお前がちゃんとしたパートナーさえいないなど…」
「大丈夫よ。それにマリエルたちの間に万が一のことがあるとも限らないでしょう?その時は私がマリエルの代わりを務めるわ」
「お前…」
まさかシャロンはまだヨハン君の事を思い続けているのか?
いや、流石にそんなことは無いだろう
婚約してからマリエルが卒業するまで10年。一時の一目ぼれでここまで引きずる等ありえない
そう思い直した
それが大きな間違いだとも知らずに…
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