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本編

9.モニカの反応①

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一人でも自分の事を理解してくれる人がいるというのはとても大きな意味を持つと私は初めて知った
モニカは気づいたら一番の私の理解者になっていた
モニカにとっての私もそう言う感じだと聞いたときには驚いたけどどこか嬉しかった

「…で、その怪我はどうしたって?」
モニカは私の部屋にやってくるなりそう問いただしてきた

「どうって?」
「とぼけないの。それ、明らかに刃物の傷でしょうが」
モニカは私が自分で手当てしていたのを見かねて消毒薬を取り上げた

「沁みるわよ」
「…っ…」
何の戸惑いもなく消毒薬をかけられ痛みが走る
ひっこめようとした手はすぐさま掴まれ手当てが続けられた

「これもヨハン様の信者の仕業?」
これまでに似たようなことが何度か起こっていたうえでの質問だった

「…どっちかと言えば姉かしらね」
「かしらねって…とぼけた言い方してんじゃないわよ!」
怒りのこもったその言葉に思わず笑ってしまった

「何笑ってんのよ?」
「ごめん。何かちょっと…嬉しくて」
私の事をこんな風に気にしてくれたのはレオンだけだったのだから

「…手当はこれで終わり。あとはこれ飲んどきな」
そう言って渡されたのは錠剤

「これは?」
「化膿止め。刃物の傷は侮っちゃダメ」
「…そうだったわね」
以前聞いたモニカの兄のことを思い出し素直に従った
刃物の傷が化膿して高熱で苦しんだ挙句あっけなくこの世を去ったのがモニカの兄だ

「で、なんでシャロン様はこんな手段に出たの?」
クスリを飲むのを確認してからモニカは再び尋ねてきた

「多分、ヨハン様の卒業が迫ってるからでしょ」
「卒業がどう関係するのよ?」
「彼が卒業すれば私に見せつけられなくなるでしょ。だから彼がまだ学園にいるうちに婚約者の座を手にしたいんじゃない?」
これはただの想像だけど、多分当たらずとも遠からずだと思う

「そのためにはマリエルが邪魔だったって?そのために襲わせたって言うの?」
「モニカ、落ち着いて」
今にも私に掴みかかりそうなモニカを何とかなだめる

「姉も頭では分かってるはずなんだけどね。私の意思でどうこうできる問題じゃないって」
「…そもそもヨハン様は何で婚約者にマリエルを選んだの?こんなに蔑ろにするなら最初からシャロン様を選べばよかったじゃない」
「そうなんだけどね…」
私はモニカに簡単な経緯を話すことにした

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