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本編

6.学園生活のはじまり②

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「ったく…」
大きなため息をつきながら中庭に目をやって、そんな自分に後悔した
そこには姉を腕にぶら下げるヨハンがいた
幸せそうに笑う姉を哀れに思う
だからと言って全てを教えてあげようという気にもならないけど

「やっぱり2人はお似合いよね」
いつの間にか背後に3人の女生徒がいた
リボンの色を見れば姉と同じ色だった
つまり、姉の取り巻きというあたりかしら?

「あなた、シャロンの妹でしょう?」
「それが何か?」
「あのお似合いの2人を見て心が痛まないのかしら?」
「おっしゃっている意味が分かりませんが」
あえてそう返してみる

「…本気で言ってるなら救いようがないわね」
「本当に。愛し合っている2人を苦しめるのがそんなに楽しいのかしら?自分は全く相手にもされてないのに」
「どの口が言うのか疑問ですね。それに苦しんでるようには見えませんが」
そう言いながら中庭の2人を見る
はたから見れば仲睦まじいカップルだ
もっともその振る舞いは下品にしか見えないが

「それに、私が彼を引き留めているわけではありませんので」
「何ですって?」
「私は別にいつ婚約を破棄していただいても構わないということです。すべてはヨハン様次第」
「そんな負け惜しみ…」
明らかにためらっているのが分かった
自分たちの持っている情報とずれが生じているのだろう

「姉に何を言われたかは存じませんけど、少し考えればお判りでしょう?インディペイト家を相手に我が家が何かを強要する等出来ないことくらい」
つまり続行も解消も我が家の意思は汲み取られないということだ
それくらい子供でも分かるだろうにと逆に哀れになる

「姉を隠れ蓑にして自分の望みを伝えるのはどうかと思いますよ?」
「な…んの事かしら?」
「そうよ。何が言いたいのかしら?」
「失礼なこと言わないでちょうだい」
彼女たちは少し引きつった顔で笑顔を作ろうとしていた

「あなた方3人とも、入学早々ヨハン様に迫って抱いていただいた方ですものね。皆様揃って1度だけのようですし姉に負けた立場ということでしょうけど」
私はヨハンを監視させている
この先、何があっても自分の身を守るために相手の情報は不可欠だからだ
ヨハンが関係を持った女性は情事の事も含めて、詳細に全てが報告されているし、証拠も全て手の内に抑えてある
その報告の中にこの3人は入っていた
幸か不幸か大抵のものは一度目にすれば忘れない記憶力のおかげでこの場はすぐに片付きそうだ

「は?」
「ちょっと待って、あんた達まさか…」
「あんたこそ…!」
思った通り、お互いに隠していたのか醜くもめ始めた3人を放置し私はその場所を後にした
この後、3人と姉との関係がどうなろうと私の知ったことじゃないのだから

「入学早々ここまでとはね…」
寮の自室に入るなりベッドに突っ伏した
好奇の目に晒され、陰口を言われ、絡まれる
これがこれからの日常になるのかと考えると何もかもがイヤになってくる

「レオン…」
本来ならレオンもいたはずの学園
でもレオンはヨハンの嫌がらせで隣国に留学させられた
彼の企みを考えればその方が都合がいいものの、この場に彼がいないことは私にとってかなりのダメージだった

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