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49.庭の拡張

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「サラサ整地終わったぞ」
「お疲れさまー」
「腹減ったー」
「飯何?」
皆が口々に言いながら入ってくる

「バーベキューだよ。ってことで外の準備お願いね」
「お、肉」
トータさんが嬉しそうに再び飛び出していく

「コンロは…3…4つか?」
「…だね」
「もう火熾していいんだな?」
「うん。よろしくー」
キッチンでは食材が、庭ではコンロを囲うように切り倒した木を椅子代わりに並べ、コンロの側には大きめの簡易テーブルが、椅子代わりの木の両端には小さめの簡易テーブルが用意されていく

「マリク、リアム」
「「なに?」」
「ジュースを容器ごと持って行ってパパに渡して」
「「はーい」」
2人は役目ができたことが嬉しいのが楽しそうに持って行っている

「それにしてもすごい量ね」
「これでもまだ足りないでしょ。ジーナとメルはここにあるの先に向こうに運んでくれる?先に焼き始めてって伝えてね」
「はーい」
ジーナとメルは2皿ずつ手に持って庭に向かう
受け取ったレイがコンロの側にあるテーブルに1皿ずつ置いていくと、すでにスタンバっていた弾丸の4人が各コンロで焼き始めた

「ごめん、これも運んでくれる?」
「これは?」
「ポテトサラダとシーザーサラダよ」
「サラダ…って…野菜?」
「びっくりするくらいおいしいわよ」
顔を曇らせた2人にリルが言う
いまだに野菜の活用は広まっていないようだ

「あとこれもね」
少し深めの取り皿とカトラリーを刺した4つのカップ、ジュース用のグラスを乗せたとレイを指して言う

「何かすごいんだけど…」
ジーナとメルが顔を見合わせていた
バタバタと用意している間にナターシャさんたちは先ほどと同量の串の準備を済ませてしまったようだ
あとはスープをカップに入れて準備は完了だ

「バルドありがと。助かったわ」
全て準備が終わると私とメリッサさんは玩具部屋に向かった

「ほんとに助かるわ」
メリッサさんも嬉しそうに言いながらヘンリーを抱き受ける

「バーベキューの準備ができたからバルドもお庭に行きましょう」
「うん」
促すとバルドはワクワクした様子で庭に向かって行った
リルやトータさんと楽しそうに話しているのを見るとほっとする

「2人ともよく笑うようになったよね」
メリッサさんが言った

「ほんとに。初めて会った時が限界だったんだってよくわかる」
「2人とも泣いちゃったもんね」
「メリッサさんも」
「え?」
「やっと穏やかに笑うようになったよね」
そう言うとメリッサさんは苦笑する

「この間話をしに行ったときにアランが言ってくれたの」
「何を?」
「私たちが尋ねるとき以外には会わないってことと、今後私たちのやることに口を出したらヘンリーには会わせないって」
「大丈夫だったの?」
「最初は逆切れされたけどこっちは縁を切ってもいいと思ってるからって言ったら静まった」
メリッサさんはそう言いながらもどこか複雑そうな表情だ

「ただね、ヘンリーを自分たちから取り上げるつもりかってつかみかかられたときに、私に対して同じことをしようとしたんだろうって、もうすぐ生まれてくる子供を奪うと脅してきたあなた達を簡単には許すことは出来ないって言い返したら何か思うところがあったみたい」
「そっか…本当の意味で理解してくれるといいね」
「本当にそう思うわ」
そんな話をしながら庭に出るとすでにみんな食べ始めていた

「あ、お前らそっち座れよ」
レイが気づき切り倒した木ではなく背もたれのある椅子をすすめてくれる
そして焼けた串を皿に乗せて持ってきてくれた

「ありがと」
受け取って食べ始めるとシアも手を伸ばしてくる

「シアにはちょっと早いかなぁ…こっちはどう?」
インベントリから一口サイズのおにぎりを取り出して渡すとしっかりつかんで食べ始めた

「こいつ本当におにぎり好きだな?」
レイは満足げに食べるシアの頬をつつきながら言う
皆が夢中になって肉にくらいついていた

「サラサ姉ちゃん」
「なーにバルド?」
「おにぎりにこのタレつけて焼いたら焼きおにぎりみたいになる?」
「似たようなのは出来るよ。塩結びのストックあるからやってみる?」
「うん!」
「あ、俺にも」
「俺もー」
バルドに渡していると他にも声が飛んでくる

「…全部出しちゃえ」
私はそう言って皿ごと塩結びを取り出した

「これ全部やっちゃって」
そう言うと子供たちが喜んでタレをつけ、トータさんとアランさんが必死で焼いていた
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