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17.レイのパーティー加入

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◇ ◇ ◇


カルムとトータ、レイの3人は町の反対側にある中級の迷宮に来ていた
当然のように最下層の手前まで移転装置で移動する
すでにそれを5回ほど繰り返している

「いやー貴族の後ろ盾つけた甲斐があったな」
カルムがレイの肩をたたいていう

「レイは俺以上に貴族避けてるもんな?」
「そりゃしゃーねーわ。10歳なったばかりのガキが試練の森の入り口に囮として捨て置かれたんだから」
「確か伯爵だっけ?」
「そーだな。伯爵家とつながってた奴隷商人」
2人の話を聞きながらレイは一人そんな話に書き換えられていたのかと感心していた

「まー契約ケチったおかげで奴隷にならずに済んだのは儲けもんか?親父と通りかかるのがちょっと遅けりゃこの世にいなかったけど」
「…エゲツないことサラっというあたりカルムだよな」
レイは苦笑する

「事実だろ?親父が直前に潜った迷宮で特急ポーション手に入れてなけりゃ命があったとしても手足ほとんど無くなってたし」
「…」
想像したのかトータが顔をしかめていた

「確かにそう考えたらカルムの親父さんには一生頭上がんねぇな」
「そこは気にすんな。今ではお前の実力にほれ込んで楽しんでる」
「実力と言えば…実際レイの実力ってどーなんだ?」
「SSは軽いな」
カルムがあっさりと言う

「まじかーBじゃないのは明らかだけどそこまでとは…」
「でもお前としてはS以上にはしないんだろ?」
「ああ。上げてもAまでだな。ギルマスが顔合わすたびに手続きしろって言ってくるから次行った時に処理する」
「やっぱそうなるんだ?カルムもSに上がれんのに上げてないんだろ?」
トータは尋ねながら目の前に迫ってきた魔物を一太刀で倒す

「S以上は興味ねぇな。国からの指名依頼だけでも勘弁して欲しいのに、城でパーティーがある度に呼びつけられるなんてたまったもんじゃねぇ」
心底うんざりだというようにカルムは言った

「それは確かに嫌だな」
トータは何度も頷いている
3人とも普通に会話しているにもかかわらず飛び掛かってくる魔物は確実に仕留めている

「ナターシャ抜けると面倒な依頼の時薬いる?」
トータが思い出したように尋ねる

「念のため多めに持っとくべきだろうな」
「だよなぁ…あ、レイ」
「?」
「サラサって光魔法使えるよな?」
「エクストラヒールまで使えるけどおすすめはしない」
「何で?」
「あいつ連れてったら俺らの出番無いけどいいか?今は全属性60超えてるから俺らが魔物に切りかかるより先に魔法で片付くな」
「…薬でいい」
へこむトータを見てカルムもレイも笑い出す
回復できる人がいるのは助かるものの何もせずに依頼を完了するのは嫌らしい

「あいつどーやってレベル上げてんだ?」
「反対属性の魔法と相殺しながら楽しそうに何かやってる」
「「…」」
「そういや今度従魔契約してみたいとかいってたな。ネコ科の大型がご所望らしい」
カルムとトータが顔を見合わせる

「明日買い物行ってくる的なテンションで言うサラサもだが、気ー付けてなー的なテンションで受け止めてるお前も大概だな…」
「いや、俺も最初のうちは意味わかんなかったぞ?取得する経験値増やすとか魔法の合成とか…」
「「は?」」
カルムとトータの声は同時だった

「そんなん当たり前のように言われ続けりゃ嫌でも慣れる」
レイの言葉に2人はすでに何も返せずにいた

「それに無詠唱の連続魔法見せられた時点で驚くのもばかばかしくなった」
「無詠唱の連続魔法…」
「喧嘩しても勝ち目ねぇだろうな。まぁそれ以前にあいつを傷つける気も怒らせる気もないけど」
そう言って笑ったレイに脱力する

「お前らを敵に回すのだけはやめとくよ」
「俺も」
カルムがため息交じりに言うとトータも同意する

「大げさだって。サラサにしたら俺らがボス倒すためだけに最下層ばっか目指す方が変らしいし」
レイが最下層を狙うのは運動不足解消のためでしかない
そう言った時サラサは心底呆れていた

「あ~まぁ、とにかく、最後の仕上げだ」
カルムが気を取り直すようにそう言って最下層のボスの部屋の扉を開けると、3人は同時に動き一瞬で倒してしまった
そして一度外に出てまた入る

「たまには順当に下っていくか?」
「まぁ…運動不足の解消にはなるか?」
トータの提案に2人は頷いた

「じゃぁ各フロアごとに倒した数で勝負しようぜ?魔法は無しで」
「面白そうだな。負けた奴が酒1本」
「20階層あるから16本か。ボスは除外でいいんだろ?」
「決まりだな。じゃぁ…Go!」
カルムの掛け声で3方向に散らばる

それぞれが声を出しながらカウントしていく
遊びながら迷宮を攻略する規格外の男たちがそこにいた


◇ ◇ ◇


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