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15.ミュラーリアの婚姻の形

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「レイ」
私の震える声を何とか抑えながらレイの手を握る

「どうした?」
「…この世界から…第3皇子、レイノスハーン・ミュラーリア・キングストンの存在自体がなくなったみたい」
「まさかそんなこと…」
否定しようとするがステータスはそれが事実だと示している

「サラサ、俺の髪と目を戻してくれ」
レイは事情を知っていたカルムさんに念のため髪と目の色を変えてもらっていた

その魔法の事はカルムさんからも聞いていたため解除しようとした…が
「変わらない…?」
その瞬間レイが笑い出した

「これで…もう怯えなくていいのか…?」
笑いながら言うレイの目から涙があふれて零れ落ちる

史実として死んだことになっているにもかかわらず、数年ごとに城内で生きているかもしれないと騒がれ、そのたび同年代の者に嫌疑がかけられレイは危機にさらされてきた
だからこそレイは王家を憎み続けてきたのだ
でも存在しない皇子を探すことはもうない
レイノスハーンという第3皇子は2人だけが知る幻の皇子になったのだろう

「最高だ…これでお前を危険なことに巻き込む心配もなくなった…」
私を抱きしめたレイの手が震えていた
それだけで王家の問題に私を巻き込むことをどれだけ恐れていたのかが分かる

「サラサを…この世界に送ってくれた神に…サラサに出会えた奇跡に感謝する…」
レイがそうささやいた瞬間私たちは光に包まれた

『我々の愛し子を心から愛し、慈しみ、支えてくれるそなたに祝福を』
「「え…?」」
2人顔を見合わせる

「今、ゼノビアの声が…」
「俺も聞こえた。今のが神の声?」
光が少しずつ消えていく

「レイに祝福をって…」
私のつぶやきに私たちは同時にレイのステータスを見ていた

「…耐性MAXってお前と同じか?」
「それだけじゃないみたい。称号も…」
レイの称号に神々の加護を受けし者と追加されていた

「…ここまでくると現実味がないな…」
レイが苦笑しながら髪をかき上げた

「嬉しすぎてヤバイ…」
私はレイから少し体を離し頬に触れた
「私も…」
自分の中の喜びに突き動かされるようにレイに口づけていた

「サラ…サ…?」
「あ…」
驚くレイに自分のしたことを自覚する

「もーなんも考えらんね…」
そのままタガの外れたレイに絶え間なく与えられる快楽に溺れていった


まどろみの中目を覚ます

「…っ……!」
寝返りをうったレイの手が乳房を包み込んだかと思うとそのまま愛撫し始めた
明け方まで何度も抱かれ、そのまま眠ったらしくその身には何も身に着けていない

「レイ…?」
声をかけても寝息しか返ってこない
レイの手をどけようにも抱きしめられたままで身動きが取れない
寝ているにもかかわらず動き続けるレイの手に体が反応し続けていた
その動きがあまりにも不規則でもどかしさまで感じてしまう

「レ…イ…起きて…!」
「ん…?」
耐えきれなくなり声を上げる
返ってきた返答にようやく気付いてくれたのだと安堵する

やっとこの状況から解放してもらえるとそう思っていた
「も…むりぃ…」
寝ぼけながらも状況を理解したレイが苦笑しながら乳房の先端を弾いた
「…んぁ…っ…!!」
解放されると思っていた矢先の刺激に体がのけ反った

「なんだ、もっと?」
「ちが…ひぁっ…!」
明け方まで快楽を与えられていた体はいつも以上に敏感になっていた

「こないだも思ったけど耐性MAXって快楽には効かないのな」
変なところで感心しているレイを思わず睨もうとするが叶わない

「もっと感じて…何も考えなくていい」
耳元でどこまでも甘いささやきが繰り返される
時間をかけて執拗な愛撫を繰り返され、絶頂を迎える瞬間動きは止まる
何度も繰り返されるうちにもどかしさだけが募っていく

「レイ…もぅ許して……変になる…」
レイは自分の背筋がゾクっとするのを感じた
不意打ちだと思いながら、自分のタガが簡単に崩れてしまうことに苦笑する

「好きなだけ変になって壊れろ」
そのままレイに抱かれ、体が喜んでいるのを何度も自覚させられた

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