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13.サラサの危機
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この状況で悩む時間は与えてもらえないらしい
「とにかくこっちが先だ。この4匹とっとと倒すぞ。そこのチビ!お前はそこから動くな」
カルムさんの言葉にそれぞれが倒しにかかる
子供は勢いに飲まれたまま首をコクコクと縦に振ったままフリーズしたように立ち尽くしていた
私は最初の時同様火の壁で行く手を阻み、ナターシャさんがとどめを刺した
「もっかい来るぞ…ったく群ればっかり次々と…」
レイが回収を終えた直後、さらに5匹が襲い掛かってくる
これが続けば本当にシャレにならないと思いながらも目の前の魔物を真っすぐ見据えた
「!?」
魔法を放とうとした瞬間何かに足を取られて倒れこむ
反射的に足元を見るとさっきの子どもがしがみついていた
「な…」
何が起こったか把握するのは簡単だった
でも次の瞬間、自分の周りが暗くなる
顔を上げるとブラックベアが今にも前足を振り下ろそうとしていた
「危ない!」
咄嗟に子供をかばっていた
「サラサちゃん!!」
ナターシャさんの悲鳴のような声が上がった直後左腕と腹部に強烈な痛みが走った
「っ…!」
熱さと痛みに飛びそうになる意識を必死でつなぎとめる
駆け寄ったナターシャさんがヒールをかけつづけてくれているのが分かった
「サラサ!」
その場にいたブラックベアが全て片付いたのを確認してからレイが駆け寄ってきた
「一体何が…」
「その子がサラサちゃんの足にしがみ付いて…襲われる瞬間に庇って…」
当の子どもはそばでうずくまり震えながら泣いている
「サラサちゃんがその子に覆いかぶさった瞬間攻撃されて…」
私の左腕は二の腕の辺りで内側の皮とわずかな肉でかろうじてつながっていた
腹部も抉れるように損傷している
体中から急激に血が失われていくのを感じるからひょっとしたら内臓が出ているかもしれない
「大丈夫か?!」
他の3人も駆け寄ってきた
誰の目から見てもナターシャさんのヒールで治るような傷じゃないことが分かったのだろう
トータさんとアランさんは悔しそうに顔をそらし、カルムさんはそばの木を殴りつけた
丁度その時遠くからスタンピードが収まったことを告げる合図が聞こえてきた
迷宮核を戻すことが出来たのだろう
今は魔物の脅威がなくなった事にほっとした
「レイ…」
何とか声を出す
「なんだ?」
強張った声が返ってくる
「…口止め…お願い」
かなりの血液を失ってショック症状が出てきたのが分かる
寒気に襲われ指先の感覚はもうほとんどない
これ以上遅れると最悪の事態になるのが分かった
レイは私がチートスキルを使うことをさとったのか無言のままうなずいた
でもその目は不安げに揺れているように見えた
私は意識が途切れる直前に傷口のない自分の体を強くイメージした
ただでさえ血が足りないのに魔力まで一気に抜けていくのが分かる
『ドクンッ』と心臓が脈打った瞬間意識を手放していた
◇ ◇ ◇
「…なに…これ…」
サラサの体が光に包まれた
光の強さにみんなの目がくらむ
視界が正常に戻ったとき目の前のサラサを見てレイ以外のみんなが絶句する
「…一体何が?」
最初に言葉を発したのはカルムだった
「傷口が…消えた?」
信じられないことだった
誰の目から見ても助からないだろう状態だったはずだ
「どういうことだよレイ?お前何を知ってる?」
驚いた素振りもなく目の前で起こったことを受け止めているレイにカルムが尋ねた
「…サラサの力だ」
「は…?」
「詳しいことはここでは話せない。うちで説明する」
レイはそれだけ言ってサラサを抱き上げる
少し離れているとはいえ周りにはかなりの冒険者がいる
さっきの光に気付いた者が原因を突き止めるために動きだしたのもわかる
カルムはそれに気づき頷いた
「ナターシャ、その子供を頼む。俺らは馬だけ拾ってレイの家に行く」
「わかった」
ナターシャは3人を見送ると、恐怖と罪悪感で気を失った子供の傷口にヒールをかけ、通りがかった冒険者に声をかけ合流した
「とにかくこっちが先だ。この4匹とっとと倒すぞ。そこのチビ!お前はそこから動くな」
カルムさんの言葉にそれぞれが倒しにかかる
子供は勢いに飲まれたまま首をコクコクと縦に振ったままフリーズしたように立ち尽くしていた
私は最初の時同様火の壁で行く手を阻み、ナターシャさんがとどめを刺した
「もっかい来るぞ…ったく群ればっかり次々と…」
レイが回収を終えた直後、さらに5匹が襲い掛かってくる
これが続けば本当にシャレにならないと思いながらも目の前の魔物を真っすぐ見据えた
「!?」
魔法を放とうとした瞬間何かに足を取られて倒れこむ
反射的に足元を見るとさっきの子どもがしがみついていた
「な…」
何が起こったか把握するのは簡単だった
でも次の瞬間、自分の周りが暗くなる
顔を上げるとブラックベアが今にも前足を振り下ろそうとしていた
「危ない!」
咄嗟に子供をかばっていた
「サラサちゃん!!」
ナターシャさんの悲鳴のような声が上がった直後左腕と腹部に強烈な痛みが走った
「っ…!」
熱さと痛みに飛びそうになる意識を必死でつなぎとめる
駆け寄ったナターシャさんがヒールをかけつづけてくれているのが分かった
「サラサ!」
その場にいたブラックベアが全て片付いたのを確認してからレイが駆け寄ってきた
「一体何が…」
「その子がサラサちゃんの足にしがみ付いて…襲われる瞬間に庇って…」
当の子どもはそばでうずくまり震えながら泣いている
「サラサちゃんがその子に覆いかぶさった瞬間攻撃されて…」
私の左腕は二の腕の辺りで内側の皮とわずかな肉でかろうじてつながっていた
腹部も抉れるように損傷している
体中から急激に血が失われていくのを感じるからひょっとしたら内臓が出ているかもしれない
「大丈夫か?!」
他の3人も駆け寄ってきた
誰の目から見てもナターシャさんのヒールで治るような傷じゃないことが分かったのだろう
トータさんとアランさんは悔しそうに顔をそらし、カルムさんはそばの木を殴りつけた
丁度その時遠くからスタンピードが収まったことを告げる合図が聞こえてきた
迷宮核を戻すことが出来たのだろう
今は魔物の脅威がなくなった事にほっとした
「レイ…」
何とか声を出す
「なんだ?」
強張った声が返ってくる
「…口止め…お願い」
かなりの血液を失ってショック症状が出てきたのが分かる
寒気に襲われ指先の感覚はもうほとんどない
これ以上遅れると最悪の事態になるのが分かった
レイは私がチートスキルを使うことをさとったのか無言のままうなずいた
でもその目は不安げに揺れているように見えた
私は意識が途切れる直前に傷口のない自分の体を強くイメージした
ただでさえ血が足りないのに魔力まで一気に抜けていくのが分かる
『ドクンッ』と心臓が脈打った瞬間意識を手放していた
◇ ◇ ◇
「…なに…これ…」
サラサの体が光に包まれた
光の強さにみんなの目がくらむ
視界が正常に戻ったとき目の前のサラサを見てレイ以外のみんなが絶句する
「…一体何が?」
最初に言葉を発したのはカルムだった
「傷口が…消えた?」
信じられないことだった
誰の目から見ても助からないだろう状態だったはずだ
「どういうことだよレイ?お前何を知ってる?」
驚いた素振りもなく目の前で起こったことを受け止めているレイにカルムが尋ねた
「…サラサの力だ」
「は…?」
「詳しいことはここでは話せない。うちで説明する」
レイはそれだけ言ってサラサを抱き上げる
少し離れているとはいえ周りにはかなりの冒険者がいる
さっきの光に気付いた者が原因を突き止めるために動きだしたのもわかる
カルムはそれに気づき頷いた
「ナターシャ、その子供を頼む。俺らは馬だけ拾ってレイの家に行く」
「わかった」
ナターシャは3人を見送ると、恐怖と罪悪感で気を失った子供の傷口にヒールをかけ、通りがかった冒険者に声をかけ合流した
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