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11.書類の山(side:ナイジェル)

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アリシャナが魔術師団を抜けて半月が過ぎた
俺の執務室がとんでもないことになっているのはなぜだ?

「この書類の山をどうしろというんだ?!」
執務机いっぱいに10センチ以上積み上げられた山が広がっている
「だいたいたった半月でこれだけの書類が出る等おかしいだろ…」
愚痴をこぼしたところで何も変わらないことは分かっている
でも言わずにはいられないのだ

「以前ならこの時間は女を連れ込んで楽しんでたというのに…」
吐き捨てるように言いながら書類の山を叩きつけた

『バサ……』
衝撃でいくつかの山が崩れ床に書類が散らばってしまったではないか
こうなったのも全てアリシャナのせいだ
あいつが余計なことを帝王に言ったせいでこんなことに…

その時ドアをノックする音がした
「入れ」
「失礼しま…うっ…師団長、掃除くらいしてくださいよ」
「…俺に指図をするな!」
「指図って…この部屋すごい臭いしてますよ?よく平気で入れますね?」
団員は呆れたように言う

「掃除など俺の仕事ではないわ!今すぐ誰かを寄越せ」
「それは無理ですよ」
「何?」
「だってこの部屋の物を持ち出さないようにと師団長が魔術施してるじゃないですか…」
言われて初めて思い出す
貴重品が盗まれないようにと俺かアリシャナが直接渡したものしか持ち出せないようにする魔術
それをアリシャナにかけさせた

「…思い出していただけましたか?魔術を解除していただければゴミくらい捨てますけど今のままじゃゴミ一つ一つを受け渡してもらわなきゃならないんですよ?そんなことするより師団長が捨てに行った方が楽でしょう?」
こいつ人を馬鹿にしたように…

腹が立つものの言い返す言葉が見つからない
それが余計に苛立ちを大きくしていた

「とにかく、そう言うことですから掃除はご自分でおねがいします。あと、これ急ぎの書類なので」
「分かった」
勢いよく差し出され、反射的に受け取っていた
「それじゃ、失礼します」
団員は形式的な挨拶だけして出て行った

一体俺にどうしろというんだ?!
「とにかく魔術を解かないことには…」
そう考えて固まった
まずい
どんな術が施されているか解析さえできない
あのバカどんな魔術を…
いくつか試してみるも解除された様子はない

こうなったら呼び出すか?
いや、でもそれは悪手だ
帝王にばれたらたまったものじゃない

せめてこの部屋の掃除と書類の山だけでも何とか…
かといって俺がゴミ捨て等ありえん!
あいつさえいれば問題なかったはずだ…
何としてでもあいつをここに戻す方法を考えねば…
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