20 / 80
7.新しい生活
3
しおりを挟む
「あなた方は私たちの入店を拒否なさいませんでした。であれば、私たちはあなた方にとって他の客と同じはずです。その客に対する態度として、先ほどのあなた方の態度は正しいのかとお伺いしているんです」
「…」
真っすぐ目を見て尋ねられたスタッフは目を反らした
「そもそも、先ほどのお話ですがあなた方の中に、エイドリアン様から直接何かの被害を受けられた方がいらっしゃいますか?」
「…いいえ」
「エイドリアン様のこの入れ墨が呪いだと噂されているのは私も存じてます。でもその呪いとされるものを受けられた方をあなた方はご存知なのですか?」
「それは…」
スタッフたちが顔を見合わせ首を横に振る
「あなた方の中にスターリング家の方から何か被害を被った方がおられるというなら謝罪させていたただきます。でも、被害を被ること自体あり得ない。エイドリアン様は噂を知ってるからと、必要以上に人前に姿を現すことさえ避けておられるような優しい方なのですから」
「アリシャナ…」
「アンジェラのことも同じです。あなた方は私とアンジェラが姉妹ということしか知らない。実際どんな関係性だったか等興味も示さない。あなた方はスターリング家に嫁いだ私を災難だとおっしゃいましたが、私にとったらブラックストーン家にいる方が災難でした。そんなことですら軽い気持ちで噂をするあなた達には関係ないのでしょうけれど」
「アリシャナ、もういいから…」
エイドリアンがアリシャナの肩を抱き寄せる
そのアリシャナの体は少し震えていた
「プライベートで貴方達が噂話を楽しまれるのは自由です。でも、あなた方の、興味本位の、無責任な噂話がその相手を傷つけることもあるんです。考えてもみてください。ご家族にただ痣があるからと虐げられても、あなた方は平気でいられますか?」
「…」
スタッフたちが黙り込む
「それに何より、少なくとも今、あなた方はこのお店の看板を背負っておられるはず。そんな方が無責任な噂話を店内でされる等私としては信じられないことです」
アリシャナが言い切った時奥から足音が近づいてきた
「あなたのおっしゃる通りです。彼女たちの分も謝罪させていただきます」
年配の女性がアリシャナ達の前で立ち止まり深く頭を下げた
それを見てスタッフたちも頭を下げている
「私共を含め国を守る総指揮を取られているバックス様のご家族の皆様に対して感謝こそすれ、根も葉もないうわさ話をするなどあってはならないことです。勿論アリシャナ様に対しても…随分立派になられましたね」
女性は目元に涙を浮かべてそう言った
「…」
真っすぐ目を見て尋ねられたスタッフは目を反らした
「そもそも、先ほどのお話ですがあなた方の中に、エイドリアン様から直接何かの被害を受けられた方がいらっしゃいますか?」
「…いいえ」
「エイドリアン様のこの入れ墨が呪いだと噂されているのは私も存じてます。でもその呪いとされるものを受けられた方をあなた方はご存知なのですか?」
「それは…」
スタッフたちが顔を見合わせ首を横に振る
「あなた方の中にスターリング家の方から何か被害を被った方がおられるというなら謝罪させていたただきます。でも、被害を被ること自体あり得ない。エイドリアン様は噂を知ってるからと、必要以上に人前に姿を現すことさえ避けておられるような優しい方なのですから」
「アリシャナ…」
「アンジェラのことも同じです。あなた方は私とアンジェラが姉妹ということしか知らない。実際どんな関係性だったか等興味も示さない。あなた方はスターリング家に嫁いだ私を災難だとおっしゃいましたが、私にとったらブラックストーン家にいる方が災難でした。そんなことですら軽い気持ちで噂をするあなた達には関係ないのでしょうけれど」
「アリシャナ、もういいから…」
エイドリアンがアリシャナの肩を抱き寄せる
そのアリシャナの体は少し震えていた
「プライベートで貴方達が噂話を楽しまれるのは自由です。でも、あなた方の、興味本位の、無責任な噂話がその相手を傷つけることもあるんです。考えてもみてください。ご家族にただ痣があるからと虐げられても、あなた方は平気でいられますか?」
「…」
スタッフたちが黙り込む
「それに何より、少なくとも今、あなた方はこのお店の看板を背負っておられるはず。そんな方が無責任な噂話を店内でされる等私としては信じられないことです」
アリシャナが言い切った時奥から足音が近づいてきた
「あなたのおっしゃる通りです。彼女たちの分も謝罪させていただきます」
年配の女性がアリシャナ達の前で立ち止まり深く頭を下げた
それを見てスタッフたちも頭を下げている
「私共を含め国を守る総指揮を取られているバックス様のご家族の皆様に対して感謝こそすれ、根も葉もないうわさ話をするなどあってはならないことです。勿論アリシャナ様に対しても…随分立派になられましたね」
女性は目元に涙を浮かべてそう言った
11
お気に入りに追加
218
あなたにおすすめの小説
攻略対象の王子様は放置されました
白生荼汰
恋愛
……前回と違う。
お茶会で公爵令嬢の不在に、前回と前世を思い出した王子様。
今回の公爵令嬢は、どうも婚約を避けたい様子だ。
小説家になろうにも投稿してます。
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
悪役令嬢に仕立て上げたいのならば、悪役令嬢になってあげましょう。ただし。
三谷朱花
恋愛
私、クリスティアーヌは、ゼビア王国の皇太子の婚約者だ。だけど、学院の卒業を祝うべきパーティーで、婚約者であるファビアンに悪事を突き付けられることになった。その横にはおびえた様子でファビアンに縋り付き私を見る男爵令嬢ノエリアがいる。うつむきわなわな震える私は、顔を二人に向けた。悪役令嬢になるために。
時間が戻った令嬢は新しい婚約者が出来ました。
屋月 トム伽
恋愛
ifとして、時間が戻る前の半年間を時々入れます。(リディアとオズワルド以外はなかった事になっているのでifとしてます。)
私は、リディア・ウォード侯爵令嬢19歳だ。
婚約者のレオンハルト・グラディオ様はこの国の第2王子だ。
レオン様の誕生日パーティーで、私はエスコートなしで行くと、婚約者のレオン様はアリシア男爵令嬢と仲睦まじい姿を見せつけられた。
一人壁の花になっていると、レオン様の兄のアレク様のご友人オズワルド様と知り合う。
話が弾み、つい地がでそうになるが…。
そして、パーティーの控室で私は襲われ、倒れてしまった。
朦朧とする意識の中、最後に見えたのはオズワルド様が私の名前を叫びながら控室に飛び込んでくる姿だった…。
そして、目が覚めると、オズワルド様と半年前に時間が戻っていた。
レオン様との婚約を避ける為に、オズワルド様と婚約することになり、二人の日常が始まる。
ifとして、時間が戻る前の半年間を時々入れます。
第14回恋愛小説大賞にて奨励賞受賞
今更困りますわね、廃妃の私に戻ってきて欲しいだなんて
nanahi
恋愛
陰謀により廃妃となったカーラ。最愛の王と会えないまま、ランダム転送により異世界【日本国】へ流罪となる。ところがある日、元の世界から迎えの使者がやって来た。盾の神獣の加護を受けるカーラがいなくなったことで、王国の守りの力が弱まり、凶悪モンスターが大繁殖。王国を救うため、カーラに戻ってきてほしいと言うのだ。カーラは日本の便利グッズを手にチート能力でモンスターと戦うのだが…
さよなら、皆さん。今宵、私はここを出ていきます
結城芙由奈@12/27電子書籍配信
恋愛
【復讐の為、今夜私は偽の家族と婚約者に別れを告げる―】
私は伯爵令嬢フィーネ・アドラー。優しい両親と18歳になったら結婚する予定の婚約者がいた。しかし、幸せな生活は両親の突然の死により、もろくも崩れ去る。私の後見人になると言って城に上がり込んできた叔父夫婦とその娘。私は彼らによって全てを奪われてしまった。愛する婚約者までも。
もうこれ以上は限界だった。復讐する為、私は今夜皆に別れを告げる決意をした―。
※マークは残酷シーン有り
※(他サイトでも投稿中)
とある侯爵令息の婚約と結婚
ふじよし
恋愛
ノーリッシュ侯爵の令息ダニエルはリグリー伯爵の令嬢アイリスと婚約していた。けれど彼は婚約から半年、アイリスの義妹カレンと婚約することに。社交界では格好の噂になっている。
今回のノーリッシュ侯爵とリグリー伯爵の縁を結ぶための結婚だった。政略としては婚約者が姉妹で入れ替わることに問題はないだろうけれど……
完結 冗談で済ますつもりでしょうが、そうはいきません。
音爽(ネソウ)
恋愛
王子の幼馴染はいつもわがまま放題。それを放置する。
結婚式でもやらかして私の挙式はメチャクチャに
「ほんの冗談さ」と王子は軽くあしらうが、そこに一人の男性が現れて……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる