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5.帝王との面会

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「…私にどういった御用でしょうか?」
「用があるのはそなただろう?何を聞きたい?」
「…」
アリシャナは一瞬ハッとした表情をしてから帝王を真っすぐ見た
「…帝王はどこまでご存知なのでしょう?」

あえて何のこととは言わないアリシャナに帝王はため息をつく
「エイドリアンの祝福を解放するカギはそなただ」
「いつから?」
「初めてエイドリアンを見た時からだ」
「…やはり『超鑑定』をお持ちなのですね?」
「やはり?」
「帝王はすべてを見通しておられるようですから」
「それだけで気づくはずがなかろう?」
「『祝福』と…」
「?」
「10人いればその10人全てが『呪い』と言う入れ墨を『祝福』とおっしゃいました。そして『祝福』についてはブラックストーン家の記憶を継いだものしか存じ上げないことですので」
アリシャナはキッパリ言った

「なるほどな。書物より…は通用しないということか。で、その上で何が言いたい?」
「…なぜですか?」
震える声に帝王は首を傾げる

「最初からカギの事もご存知だったはずです。なのになぜエイドリアン様を必要以上に苦しめたのですか?」
「…その答えもわかっているのではないのか?」
「…」
「我が望むのは国の平和だ」
「そのためにエイドリアン様が犠牲になっても構わないと?あれほど繊細な心をした方を…!」
「最小限の犠牲だ」
その言葉にアリシャナは信じられないという目で帝王を見る

「そなたが18になるまで時を稼ぐ必要があった。それに今のそなたにはエイドリアンの傷ついた心も癒すことが出来る」
「癒せたからといって傷ついた過去が消えるわけではありません」
「…そうだな…」
少しも引かないアリシャナから帝王は目を反らした

「私は…エイドリアン様が自ら望まない限り私の力でカギを引き出すつもりはありません」
「何?」
「エイドリアン様の代わりに国を守るために私が出来ることはします。もう…これ以上傷ついてほしくないんです」
その目には強い意志が宿っていた

「…そなたの言いたいことは分かった。そなたが動いてくれるなら我はこれ以上誰も仕向けないと誓おう。ただしそなたがその役目を果たせているうちだけのことだがな」
「約束です。もし違えることがあれば…」
「そなたがこの国を出る、か?」
「はい」
「それは流石に困る。そなたはこの国にいるだけでこの国を守っている」
帝王は苦笑する

「エイドリアンに渡したのは魔力を抑える魔道具だ。解放直後、コントロールを覚えるまでは役に立つだろう」
アリシャナはあえてその言葉に何も返さなかった
ただ頭を下げ帝王の執務室を後にした

「お待たせしました。リアン様」
「ああ」
応接室でくつろいでいたエイドリアンは立ち上がる
「帝王は何と?」
「…ブラックストーン家の事を少し。大したことではありません」
「そうか…」
エイドリアンはアリシャナが嘘をついたと気づいたが相手が帝王だけに他言できないこともあるのだろうとそれ以上問いただすことはしなかった
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