6 / 80
2.旦那様とのご対面
3
しおりを挟む
「…私が10代前の当主の血を濃く引いているというのはご存知ですか?」
「ああ。それもあっての10歳での魔術師団入りだと聞いている」
「私が引いているのは血だけではないんです。アリーナ・ブラックストーンの記憶をそのまま引き継いでいます」
「記憶を…引き継ぐ?」
「アリーナは魔道国と帝国の血を引き、エイドリアン様と同じ祝福を受けて産まれた方と添い遂げました。200年以上前の話です。祝福を授けられる代に生まれるブラックストーン家の子孫には、前回の祝福が授けられた時代の、先代の血と記憶が引き継がれます。その内容と解放の仕方を引き継ぐために」
「…だとしたらどうして今まで何も言ってくれなかったんだよ?兄さんはずっと苦しんで…」
テオがアリシャナを責めるように言う
「やめなさいテオ」
「でも!」
「…申し訳ありません。私は魔術師団の事務所か屋敷の中にしかいることが許されませんでした。呪いを持った人がいるということも、噂しか耳にしたことがありませんでした。一度でもお会いしていればお伝えすることも出来たかもしれないのですが…」
アリシャナには謝る事しかできない
「テオのことは気にしなくてもいい。仮にあんたの言うことが真実だとして、なぜ書物に記さない?」
「その時の権力者により囲い込みや悪用を防ぐためです」
「…それだけ膨大な力という事かな?」
一瞬陥った沈黙を破ったのはバックスだった
「国の行く末を左右できるレベルだと言われています」
「「「「…」」」」
4人は顔を見合わせた
「私たちはそれを見定める役目も担っています。人格に問題がある者に真実を告げることは出来ませんから」
「…やっぱり呪いじゃないか…そんなの祝福なんかじゃない!」
テオの叫びからはエイドリアンが大切なのだと伝わってくる
「…エイドリアン様が羨ましいです」
「は…?何の冗談…」
「人より強い魔力を持ち、呪いだと周りに恐れられても、あなたの事をこんなに愛してくれる家族がいる。それが私には羨ましいです」
アリシャナはそう言って寂しそうに笑った
「…たわごとはもういい。呪いだろうと祝福だろうと関係ない。世間が恐れる魔力と入れ墨を纏った男があんたの旦那になったってだけのことだ。帝王の命で別れることも許されない以上、少しでもいい関係を築くのが妥協点だと思うが…あとはあんたにそれが可能かどうかだけの問題だ」
淡々と言うエイドリアンにアリシャナは小さく頷いた
「祝福でも呪いでも…私はエイドリアン様を怖いとは思いません。それに…」
「それに?」
エイドリアンがまっすぐアリシャナを見ていた
射貫くようなすべてを見透かすようその目に怯むことなくアリシャナはつづけた
「ああ。それもあっての10歳での魔術師団入りだと聞いている」
「私が引いているのは血だけではないんです。アリーナ・ブラックストーンの記憶をそのまま引き継いでいます」
「記憶を…引き継ぐ?」
「アリーナは魔道国と帝国の血を引き、エイドリアン様と同じ祝福を受けて産まれた方と添い遂げました。200年以上前の話です。祝福を授けられる代に生まれるブラックストーン家の子孫には、前回の祝福が授けられた時代の、先代の血と記憶が引き継がれます。その内容と解放の仕方を引き継ぐために」
「…だとしたらどうして今まで何も言ってくれなかったんだよ?兄さんはずっと苦しんで…」
テオがアリシャナを責めるように言う
「やめなさいテオ」
「でも!」
「…申し訳ありません。私は魔術師団の事務所か屋敷の中にしかいることが許されませんでした。呪いを持った人がいるということも、噂しか耳にしたことがありませんでした。一度でもお会いしていればお伝えすることも出来たかもしれないのですが…」
アリシャナには謝る事しかできない
「テオのことは気にしなくてもいい。仮にあんたの言うことが真実だとして、なぜ書物に記さない?」
「その時の権力者により囲い込みや悪用を防ぐためです」
「…それだけ膨大な力という事かな?」
一瞬陥った沈黙を破ったのはバックスだった
「国の行く末を左右できるレベルだと言われています」
「「「「…」」」」
4人は顔を見合わせた
「私たちはそれを見定める役目も担っています。人格に問題がある者に真実を告げることは出来ませんから」
「…やっぱり呪いじゃないか…そんなの祝福なんかじゃない!」
テオの叫びからはエイドリアンが大切なのだと伝わってくる
「…エイドリアン様が羨ましいです」
「は…?何の冗談…」
「人より強い魔力を持ち、呪いだと周りに恐れられても、あなたの事をこんなに愛してくれる家族がいる。それが私には羨ましいです」
アリシャナはそう言って寂しそうに笑った
「…たわごとはもういい。呪いだろうと祝福だろうと関係ない。世間が恐れる魔力と入れ墨を纏った男があんたの旦那になったってだけのことだ。帝王の命で別れることも許されない以上、少しでもいい関係を築くのが妥協点だと思うが…あとはあんたにそれが可能かどうかだけの問題だ」
淡々と言うエイドリアンにアリシャナは小さく頷いた
「祝福でも呪いでも…私はエイドリアン様を怖いとは思いません。それに…」
「それに?」
エイドリアンがまっすぐアリシャナを見ていた
射貫くようなすべてを見透かすようその目に怯むことなくアリシャナはつづけた
10
お気に入りに追加
218
あなたにおすすめの小説
攻略対象の王子様は放置されました
白生荼汰
恋愛
……前回と違う。
お茶会で公爵令嬢の不在に、前回と前世を思い出した王子様。
今回の公爵令嬢は、どうも婚約を避けたい様子だ。
小説家になろうにも投稿してます。
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
悪役令嬢に仕立て上げたいのならば、悪役令嬢になってあげましょう。ただし。
三谷朱花
恋愛
私、クリスティアーヌは、ゼビア王国の皇太子の婚約者だ。だけど、学院の卒業を祝うべきパーティーで、婚約者であるファビアンに悪事を突き付けられることになった。その横にはおびえた様子でファビアンに縋り付き私を見る男爵令嬢ノエリアがいる。うつむきわなわな震える私は、顔を二人に向けた。悪役令嬢になるために。
時間が戻った令嬢は新しい婚約者が出来ました。
屋月 トム伽
恋愛
ifとして、時間が戻る前の半年間を時々入れます。(リディアとオズワルド以外はなかった事になっているのでifとしてます。)
私は、リディア・ウォード侯爵令嬢19歳だ。
婚約者のレオンハルト・グラディオ様はこの国の第2王子だ。
レオン様の誕生日パーティーで、私はエスコートなしで行くと、婚約者のレオン様はアリシア男爵令嬢と仲睦まじい姿を見せつけられた。
一人壁の花になっていると、レオン様の兄のアレク様のご友人オズワルド様と知り合う。
話が弾み、つい地がでそうになるが…。
そして、パーティーの控室で私は襲われ、倒れてしまった。
朦朧とする意識の中、最後に見えたのはオズワルド様が私の名前を叫びながら控室に飛び込んでくる姿だった…。
そして、目が覚めると、オズワルド様と半年前に時間が戻っていた。
レオン様との婚約を避ける為に、オズワルド様と婚約することになり、二人の日常が始まる。
ifとして、時間が戻る前の半年間を時々入れます。
第14回恋愛小説大賞にて奨励賞受賞
今更困りますわね、廃妃の私に戻ってきて欲しいだなんて
nanahi
恋愛
陰謀により廃妃となったカーラ。最愛の王と会えないまま、ランダム転送により異世界【日本国】へ流罪となる。ところがある日、元の世界から迎えの使者がやって来た。盾の神獣の加護を受けるカーラがいなくなったことで、王国の守りの力が弱まり、凶悪モンスターが大繁殖。王国を救うため、カーラに戻ってきてほしいと言うのだ。カーラは日本の便利グッズを手にチート能力でモンスターと戦うのだが…
さよなら、皆さん。今宵、私はここを出ていきます
結城芙由奈@12/27電子書籍配信
恋愛
【復讐の為、今夜私は偽の家族と婚約者に別れを告げる―】
私は伯爵令嬢フィーネ・アドラー。優しい両親と18歳になったら結婚する予定の婚約者がいた。しかし、幸せな生活は両親の突然の死により、もろくも崩れ去る。私の後見人になると言って城に上がり込んできた叔父夫婦とその娘。私は彼らによって全てを奪われてしまった。愛する婚約者までも。
もうこれ以上は限界だった。復讐する為、私は今夜皆に別れを告げる決意をした―。
※マークは残酷シーン有り
※(他サイトでも投稿中)
とある侯爵令息の婚約と結婚
ふじよし
恋愛
ノーリッシュ侯爵の令息ダニエルはリグリー伯爵の令嬢アイリスと婚約していた。けれど彼は婚約から半年、アイリスの義妹カレンと婚約することに。社交界では格好の噂になっている。
今回のノーリッシュ侯爵とリグリー伯爵の縁を結ぶための結婚だった。政略としては婚約者が姉妹で入れ替わることに問題はないだろうけれど……
完結 冗談で済ますつもりでしょうが、そうはいきません。
音爽(ネソウ)
恋愛
王子の幼馴染はいつもわがまま放題。それを放置する。
結婚式でもやらかして私の挙式はメチャクチャに
「ほんの冗談さ」と王子は軽くあしらうが、そこに一人の男性が現れて……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる