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2.旦那様とのご対面

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「…私が10代前の当主の血を濃く引いているというのはご存知ですか?」
「ああ。それもあっての10歳での魔術師団入りだと聞いている」
「私が引いているのは血だけではないんです。アリーナ・ブラックストーンの記憶をそのまま引き継いでいます」
「記憶を…引き継ぐ?」
「アリーナは魔道国と帝国の血を引き、エイドリアン様と同じ祝福を受けて産まれた方と添い遂げました。200年以上前の話です。祝福を授けられる代に生まれるブラックストーン家の子孫には、前回の祝福が授けられた時代の、先代の血と記憶が引き継がれます。その内容と解放の仕方を引き継ぐために」

「…だとしたらどうして今まで何も言ってくれなかったんだよ?兄さんはずっと苦しんで…」
テオがアリシャナを責めるように言う
「やめなさいテオ」
「でも!」
「…申し訳ありません。私は魔術師団の事務所か屋敷の中にしかいることが許されませんでした。呪いを持った人がいるということも、噂しか耳にしたことがありませんでした。一度でもお会いしていればお伝えすることも出来たかもしれないのですが…」
アリシャナには謝る事しかできない

「テオのことは気にしなくてもいい。仮にあんたの言うことが真実だとして、なぜ書物に記さない?」
「その時の権力者により囲い込みや悪用を防ぐためです」
「…それだけ膨大な力という事かな?」
一瞬陥った沈黙を破ったのはバックスだった
「国の行く末を左右できるレベルだと言われています」
「「「「…」」」」
4人は顔を見合わせた

「私たちはそれを見定める役目も担っています。人格に問題がある者に真実を告げることは出来ませんから」
「…やっぱり呪いじゃないか…そんなの祝福なんかじゃない!」
テオの叫びからはエイドリアンが大切なのだと伝わってくる

「…エイドリアン様が羨ましいです」
「は…?何の冗談…」
「人より強い魔力を持ち、呪いだと周りに恐れられても、あなたの事をこんなに愛してくれる家族がいる。それが私には羨ましいです」
アリシャナはそう言って寂しそうに笑った

「…たわごとはもういい。呪いだろうと祝福だろうと関係ない。世間が恐れる魔力と入れ墨を纏った男があんたの旦那になったってだけのことだ。帝王の命で別れることも許されない以上、少しでもいい関係を築くのが妥協点だと思うが…あとはあんたにそれが可能かどうかだけの問題だ」
淡々と言うエイドリアンにアリシャナは小さく頷いた

「祝福でも呪いでも…私はエイドリアン様を怖いとは思いません。それに…」
「それに?」
エイドリアンがまっすぐアリシャナを見ていた
射貫くようなすべてを見透かすようその目に怯むことなくアリシャナはつづけた
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