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121.魔道具店

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「今日、魔道具店に行くけど何かいるものある?」
朝食を食べながらふと聞いてみる
「魔道具店?」
珍しくユリアが興味を持ったらしい
「ランプとかコーヒー淹れるやつとか、魔石で動いてる道具を置いてる店だ」
簡単に説明すると目が輝いた
「ユリアも一緒に行くか?」
訊ねてみると大きく首を縦に振っていた
ナターシャさんを見ると苦笑しながらも頷いたからOKなんだろう

「シア、水差しがあったら買って来て」
「水差し?なんでまた」
「今ある水差しはケインには大きすぎるのよ」
「あぁ、薬草の水やりに使ってるやつか」
確か今あるのはバルドさんが結婚する前に使ってたやつだ
そりゃケインには大きいか
「ならケインも一緒に見に行くか?」
「いいの?」
キラキラした目で見つめて来る
こいつら本当に純粋だよなと思ってしまうのは俺だけか?

「いいぞ。足が辛かったら風魔法で浮かせてやるよ」
ケインが心配してるのはそこだ
この家の周りならカーロに乗れるけど町ではそうもいかない
それに、10歳になったことで歩けず抱っこされたり、おんぶされたりするのが恥ずかしいと感じる様にもなったらしい
「じゃぁ行きたい!」
「わかった。ケインもユリアも朝ごはん食べたら準備して来い」
「「うん!!」」
2人は頷いて朝ごはんを掻き込み始めた


食べ終わって準備が出来たとはしゃぐ2人を連れて俺達は町にやってきた
「魔道具店はこっちであってる?」
「ああ」
レティに頷いて返すとユリアがレティの手を引っ張ってどんどん進んでいく
「ケインどうする?」
「僕ゆっくり行く」
てっきり浮かせてくれと言ってくるかと思ったが違ったらしい
ケインに合わせてのんびり歩きながら俺達が魔道具店に着いたときには、ユリアは色んな魔道具を手に取って眺めていた

「クロムはランプを選んでくるといい」
『わかった』
頷いてリトスと一緒に店内を飛びまわっていた

「水差しはこっちだな」
目的の場所に向かいながらもケインは並んでいる魔道具を興味深げに眺めていた
「シアこれなに?」
「ん?これはコンロだな」
「コンロ?料理に使うやつ?」
「ああ。冒険者たちが外で使うためのヤツだ。家で使うような大きいのだと持ち運びが大変だろう?」
「そっか。シアみたいにインベントリがあればいいけどマジックバックですら持てない人の方が多いもんね」
「そういうこと」
よくできましたと頭をなでてやると照れ臭そうに笑った

「シア」
「ん?」
「このコンロ、外で使えるなら家の庭でも使える?」
「庭で?何でまた」
庭で火を使うなんてBBQくらいじゃないのか?
「…庭で薬草煮詰めれたら楽だなって」
「そういや今はキッチンでやってるんだっけ?」
「うん」
「なるほど…」
庭で洗った薬草をキッチンまで運んで煮詰めてそのあとまた庭で絞ったり乾かしたりする
確かに庭で煮詰めた方が色んな意味で効率がいいな
「試しに1個買ってみるか?」
実際庭でやって見ないことには分からない
「いいの?」
「ああ、ただし使うのは火を使っていい人が側にいる時だけだぞ?」
「分かった!」
中々の喜びようだ
これまでキッチンと庭を行き来する時に運ぶのは多分母さん達だったんだろう
ケインは自分で全てしたいと思うタイプだから当然なのかもしれない

「じゃぁこのコンロと水差しだな。水差しは好きなの選べ」
並んでいる水差しを次々と手に取りながら比べているケインに苦笑しながらユリア達に目を向ける
なぜか店のおっさんと盛り上がっているんだが…
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