272 / 349
107.薬屋
2
しおりを挟む
ルーシーさんは一通り説明を終えるとお茶を出してくれた
「ケイン、成人して薬師になりたいと思ったら家に来な。鍛えてやる」
「本当?本当に僕を弟子にしてくれるの?」
「嘘なんてつかないよ。残念ながら私に跡継ぎはいないからね、ケインのようにどん欲に知識を求めるなら育て甲斐もある」
「シア聞いた?」
「ああ聞いた。ルーシーさんは本当にいいのか?この様子だとあと5年あるとはいえケインは確実にここに来る」
「望むところだ。息子が使ってた部屋もあるから住む場所も食事の心配もいらないさね」
随分好待遇だ
ギルドと商会が取引してるなら人柄も問題ないだろう
何より母さんたちの事を知ってるならなおさらだ
「それまでに気になることがあったら手紙を送ってもいい?」
「それは構わないが手紙なんて書けるのかい?」
「書けるよ。シアが旅に出てる間、文字を書く練習も兼ねていっぱい書いたんだ」
「それはえらいね?ひょっとして計算も出来たり…」
「出来るよ?」
「これは楽しみだ。今すぐにでも来てもらいたくなるねぇ」
「ルーシーさん…」
本気にするからやめてくれ
情緒不安定で俺から離れない状況ではまず無理だ
「今はまだ家に居たい。でも一人で大丈夫だって思えるようになったら来てもいい?」
ケインのその言葉に俺はレティと顔を見合わせていた
自覚がある事に驚いた
「自分で分かってるのはいいことだね。ならケインが自分で大丈夫だと思えて、サラサ達に許可してもらえたらくればいい」
「わかった!」
「シア、私の方からもサラサに手紙を出しておくよ」
「それは助かる」
母さんたちの子供への愛情は重い
ケインが勢いで話せばトラブルになる未来しか見えないからな
「さて、そろそろギルド前に戻るぞ」
「お昼?」
「ああ、お昼だ」
「何か用事があるのかい?」
「弟妹と一緒に飯を食う約束をしてるんだ」
「そうかい。それは残念だね」
ひょっとしてケインと食いたかった感じだろうか
「シア、ボクお昼の後もここに来てもいい?ルーシーさんともっとお話ししたい」
「それはいい考えだね?シア、どうだろうか?」
ルーシーさんも乗り気だ
「そうだなぁ…俺達はケインを送り届けて町をぶらつくけどそれでもいいなら」
「…わかった。でも迎えに来てくれるよね?」
ケインは少し戸惑い、考えてからそう尋ねてきた
「流石に一人で宿に戻れとは言わないさ」
「ならボクは後でもう一度ここに来るね。リトスも一緒でもいい?」
「むしろリトスは一緒にいてくれ」
ここで何かがあるとは思わないが保険だ
ルーシーさんもリトスを可愛いと思ってくれてる感じだし問題はないだろう
『わかったー。ぼくケインといるー』
「頼むな」
『うん』
「じゃぁルーシーさん、一旦昼飯食ってからもう一回連れて来るんで」
「ああ、楽しみにしてるよケイン」
すっかりなじんだ二人にケインがここに来る日はそう遠くないのかもしれないと思うと少し寂しい感じがした
「ケインがシアのことを大好きなのには変わりないと思うよ?」
小声で俺だけに聞こえる様に言ったレティの言葉に苦笑する
「そうだな。情緒不安定なままよりずっといいしな」
自分に言い聞かせるように言いながら気持ちを切り替えてギルドに向かった
「ケイン、成人して薬師になりたいと思ったら家に来な。鍛えてやる」
「本当?本当に僕を弟子にしてくれるの?」
「嘘なんてつかないよ。残念ながら私に跡継ぎはいないからね、ケインのようにどん欲に知識を求めるなら育て甲斐もある」
「シア聞いた?」
「ああ聞いた。ルーシーさんは本当にいいのか?この様子だとあと5年あるとはいえケインは確実にここに来る」
「望むところだ。息子が使ってた部屋もあるから住む場所も食事の心配もいらないさね」
随分好待遇だ
ギルドと商会が取引してるなら人柄も問題ないだろう
何より母さんたちの事を知ってるならなおさらだ
「それまでに気になることがあったら手紙を送ってもいい?」
「それは構わないが手紙なんて書けるのかい?」
「書けるよ。シアが旅に出てる間、文字を書く練習も兼ねていっぱい書いたんだ」
「それはえらいね?ひょっとして計算も出来たり…」
「出来るよ?」
「これは楽しみだ。今すぐにでも来てもらいたくなるねぇ」
「ルーシーさん…」
本気にするからやめてくれ
情緒不安定で俺から離れない状況ではまず無理だ
「今はまだ家に居たい。でも一人で大丈夫だって思えるようになったら来てもいい?」
ケインのその言葉に俺はレティと顔を見合わせていた
自覚がある事に驚いた
「自分で分かってるのはいいことだね。ならケインが自分で大丈夫だと思えて、サラサ達に許可してもらえたらくればいい」
「わかった!」
「シア、私の方からもサラサに手紙を出しておくよ」
「それは助かる」
母さんたちの子供への愛情は重い
ケインが勢いで話せばトラブルになる未来しか見えないからな
「さて、そろそろギルド前に戻るぞ」
「お昼?」
「ああ、お昼だ」
「何か用事があるのかい?」
「弟妹と一緒に飯を食う約束をしてるんだ」
「そうかい。それは残念だね」
ひょっとしてケインと食いたかった感じだろうか
「シア、ボクお昼の後もここに来てもいい?ルーシーさんともっとお話ししたい」
「それはいい考えだね?シア、どうだろうか?」
ルーシーさんも乗り気だ
「そうだなぁ…俺達はケインを送り届けて町をぶらつくけどそれでもいいなら」
「…わかった。でも迎えに来てくれるよね?」
ケインは少し戸惑い、考えてからそう尋ねてきた
「流石に一人で宿に戻れとは言わないさ」
「ならボクは後でもう一度ここに来るね。リトスも一緒でもいい?」
「むしろリトスは一緒にいてくれ」
ここで何かがあるとは思わないが保険だ
ルーシーさんもリトスを可愛いと思ってくれてる感じだし問題はないだろう
『わかったー。ぼくケインといるー』
「頼むな」
『うん』
「じゃぁルーシーさん、一旦昼飯食ってからもう一回連れて来るんで」
「ああ、楽しみにしてるよケイン」
すっかりなじんだ二人にケインがここに来る日はそう遠くないのかもしれないと思うと少し寂しい感じがした
「ケインがシアのことを大好きなのには変わりないと思うよ?」
小声で俺だけに聞こえる様に言ったレティの言葉に苦笑する
「そうだな。情緒不安定なままよりずっといいしな」
自分に言い聞かせるように言いながら気持ちを切り替えてギルドに向かった
119
お気に入りに追加
598
あなたにおすすめの小説
記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。
せいめ
恋愛
メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。
頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。
ご都合主義です。誤字脱字お許しください。
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
ここは私の邸です。そろそろ出て行ってくれます?
藍川みいな
恋愛
「マリッサ、すまないが婚約は破棄させてもらう。俺は、運命の人を見つけたんだ!」
9年間婚約していた、デリオル様に婚約を破棄されました。運命の人とは、私の義妹のロクサーヌのようです。
そもそもデリオル様に好意を持っていないので、婚約破棄はかまいませんが、あなたには莫大な慰謝料を請求させていただきますし、借金の全額返済もしていただきます。それに、あなたが選んだロクサーヌは、令嬢ではありません。
幼い頃に両親を亡くした私は、8歳で侯爵になった。この国では、爵位を継いだ者には18歳まで後見人が必要で、ロクサーヌの父で私の叔父ドナルドが後見人として侯爵代理になった。
叔父は私を冷遇し、自分が侯爵のように振る舞って来ましたが、もうすぐ私は18歳。全てを返していただきます!
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
夫から国外追放を言い渡されました
杉本凪咲
恋愛
夫は冷淡に私を国外追放に処した。
どうやら、私が使用人をいじめたことが原因らしい。
抵抗虚しく兵士によって連れていかれてしまう私。
そんな私に、被害者である使用人は笑いかけていた……
【完結】婚約破棄されたので、引き継ぎをいたしましょうか?
碧桜 汐香
恋愛
第一王子に婚約破棄された公爵令嬢は、事前に引き継ぎの準備を進めていた。
まっすぐ領地に帰るために、その場で引き継ぎを始めることに。
様々な調査結果を暴露され、婚約破棄に関わった人たちは阿鼻叫喚へ。
第二王子?いりませんわ。
第一王子?もっといりませんわ。
第一王子を慕っていたのに婚約破棄された少女を演じる、彼女の本音は?
彼女の存在意義とは?
別サイト様にも掲載しております
〖完結〗死にかけて前世の記憶が戻りました。側妃? 贅沢出来るなんて最高! と思っていたら、陛下が甘やかしてくるのですが?
藍川みいな
恋愛
私は死んだはずだった。
目を覚ましたら、そこは見知らぬ世界。しかも、国王陛下の側妃になっていた。
前世の記憶が戻る前は、冷遇されていたらしい。そして池に身を投げた。死にかけたことで、私は前世の記憶を思い出した。
前世では借金取りに捕まり、お金を返す為にキャバ嬢をしていた。給料は全部持っていかれ、食べ物にも困り、ガリガリに痩せ細った私は路地裏に捨てられて死んだ。そんな私が、側妃? 冷遇なんて構わない! こんな贅沢が出来るなんて幸せ過ぎるじゃない!
そう思っていたのに、いつの間にか陛下が甘やかして来るのですが?
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
不貞の子を身籠ったと夫に追い出されました。生まれた子供は『精霊のいとし子』のようです。
桧山 紗綺
恋愛
【完結】嫁いで5年。子供を身籠ったら追い出されました。不貞なんてしていないと言っても聞く耳をもちません。生まれた子は間違いなく夫の子です。夫の子……ですが。 私、離婚された方が良いのではないでしょうか。
戻ってきた実家で子供たちと幸せに暮らしていきます。
『精霊のいとし子』と呼ばれる存在を授かった主人公の、可愛い子供たちとの暮らしと新しい恋とか愛とかのお話です。
※※番外編も完結しました。番外編は色々な視点で書いてます。
時系列も結構バラバラに本編の間の話や本編後の色々な出来事を書きました。
一通り主人公の周りの視点で書けたかな、と。
番外編の方が本編よりも長いです。
気がついたら10万文字を超えていました。
随分と長くなりましたが、お付き合いくださってありがとうございました!
【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。
くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」
「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」
いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。
「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と……
私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。
「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」
「はい、お父様、お母様」
「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」
「……はい」
「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」
「はい、わかりました」
パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、
兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。
誰も私の言葉を聞いてくれない。
誰も私を見てくれない。
そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。
ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。
「……なんか、馬鹿みたいだわ!」
もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる!
ふるゆわ設定です。
※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい!
※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ!
追加文
番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる