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105.宿で迎える朝…

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「おはようございまーす」
5人と1匹で食堂に顔を出すとおかみさんが笑顔で寄って来る
「おはよう。すぐに持ってくるから開いてる席に座っててちょうだい」
朝食用のタグを渡すと笑顔でそう言って奥に引っ込んでいった

「どんな朝食かな?」
シャノンは伺う様に周りを見るものの、唯一いた人は既に食べ終わっていた
「家の朝ごはんと比べるのだけはやめた方がいいだろうけど…」
「セトイカに行く途中の宿はただの肉の塊ってとこもあったしね」
「それ普通でしょ」
「え?」
レティの言葉に驚いたのはケインだ
「ケイン、これだけは覚えとけ。家の飯は多分この世界で一番うまい」
そう言うとケインの目が輝いた

「さぁ召し上がれ」
少しして3人で手分けして運ばれてきた朝食が所せましと並ぶ
パンと具沢山のスープにソーセージ
「豪華な朝ごはんだね。宿なのに」
「そりゃ領主が泊まるとこだからな」
それにそれなりの時間をかけて母さんの料理が広まったってのも大きいか
「そう言えばそうだよね。ついつい忘れちゃう」
シャノンのその“忘れちゃう”がメニューに関することなのかコーラルさんが領主らしくないと言いたいのか…あえて追求しないでおこう

「今日は皆で行動するの?」
「いや。俺達はお前たちの買い物に付き合う気はないからな」
「僕薬草見に行く」
俺の言葉にケインが主張する
「そっか。私も薬草は遠慮したいかな。じゃぁ私とルークで回って来るね」
あっさり受け入れられた

「お昼は皆で一緒に食べたい」
「ん?そうだな。確かにご飯くらい一緒に食べたいな」
ケインの言葉にルークが同意する
「じゃぁ昼の鐘が鳴ったらギルド前な」
「了解」
冒険者にとって一番なじみのある場所はギルドだし同じ町にギルドが2つあることは無い
そういう意味では待ち合わせ場所にも最適だ
そんな簡単な打ち合わせをしている間にも2人は凄い勢いで食べている

「ルーク早い!」
「いつもと変わらないって」
苦笑しながら返すルークに、シャノンも決して遅いわけではないんだがと思うのは俺だけだろうか
「ご馳走様!私達先行くね。ルーク行こ」
「ああ。じゃぁまた昼に」
「買いすぎるなよ」
「行ってらっしゃい」
「気を付けてね」
それぞれ言いたいことを言って別れた

「さて、俺達も出るか」
のんびり食事を楽しんでケインが一息ついたタイミングで立ち上がる
「ギルド?」
「そうだな。ギルドに行って薬草売ってるところを聞いて…」
「依頼も見ていい?」
「いいよー」
ケインが答えた
こういうところはえらい
スカイなら間違いなく拗ねるだろう

「1日だけしかないとはいえ他に絶対見る場所があるわけじゃないしな。気になるところがあったらその都度寄って行けばいい」
「薬草は絶対行く!」
「はは…分かってるよ。ちゃんと連れて行ってやるから安心しろ」
その言葉にケインは満足気に頷いた
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