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103.隣町

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「ところでコーラルさんの用事って?」
何となく気になったから尋ねてみる
「大したものじゃない」
「は?でも日程からすると急ぎだよな?」
「…隣町の領主が最近手に入れたドラゴンの鱗を展示しているらしい」
その言葉に俺とレティは心当たりがありすぎて固まった
最近手に入れたという時点でオークションに出品したレティの鱗に違いない
「コーラルはそれを見に行きたいらしい。だが執務のこともあって少しでも早く帰る必要がある。かといって馬でとなればあらぬ疑いを持たれるからな」
呆れながらに言う父さんにレティが申し訳なさそうな顔をする
馬で隣町まで行くということはどちらかに緊急事態が発生したということを指す
それは流石に避けるよな…

「…レティシアナがそう言う顔をするということはお前たちが関係しているのか?」
父さんが何かを悟ったかのように尋ねて来る
これは隠し通すより白状した方がよさそうだ
「こないだのオークションでレティが自分の鱗を出品した」
しかもオークションの中で最高額だった
てか隣町の領主はよくそんな金を持ってたな
この町より遥かに栄えてて上級の迷宮もあるからあり得ない話ではないんだろうけど
そう言えば親が王都の上位貴族だったか?

「おいおい…」
「まじか…」
俺がそんなことを考えているとアランさんとカルムさんが呟くように言った
残念ながらマジだ
「ごめんなさい!こんなことになるとは思わなくて…」
「コーラルさんのリストには無かったし、俺達が龍化できるの知ってても特に何も言わなかったから俺もそこまで気に止めもしなかったんだけど…」
そういいつつオークションで最高値を叩きだしたことは秘匿するつもりだったけど…
「まぁそうだよな…自分の物をどうしようと自由ではあるな。悪いな、レティシアナ。謝る必要はないからそんな顔をするな」
父さんは苦笑しながら言う

「まぁあれだ。今度手放していいと思うことがあればコーラルにやってくれ。あいつは昔から龍に憧れてるからな」
「憧れ?恐怖や畏怖じゃなく?」
それはそれで珍しい
領地持ちの貴族や領主にとって災害級のドラゴンなんて天敵でしかないだろうに…
現に自然災害に次いで怖れられる存在だしな
「子どもの頃から好きだったらしい。同時に尊敬もしているとか何とか」
「う…だから言えなかった感じ?」
「だろうな。今回も耳にして何とか仕事のやりくりして時間を作ったみたいだ」
そう言ったカルムさんは大笑いする

「なんか申し訳ないね」
レティ自身軽い気持ちで出しただけに困惑気味だ
「ん~じゃぁそのうち機会があればコーラルさんの前で龍化するとか?」
古い鱗はそのうち自然に落ちて来るけどそれがいつかは分からないから別の方向で考えてみる
龍化するか、龍化して飛ぶか…それくらいしか浮かばない辺り何とも言えないけど
「龍化…それは俺達も見たいぞ?」
父さんが食いついた
そう言えば皆の前でもしてなかったんだっけ
これは何かのタイミングで是非披露しようと心に決めた
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