263 / 349
103.隣町
3
しおりを挟む
「ところでコーラルさんの用事って?」
何となく気になったから尋ねてみる
「大したものじゃない」
「は?でも日程からすると急ぎだよな?」
「…隣町の領主が最近手に入れたドラゴンの鱗を展示しているらしい」
その言葉に俺とレティは心当たりがありすぎて固まった
最近手に入れたという時点でオークションに出品したレティの鱗に違いない
「コーラルはそれを見に行きたいらしい。だが執務のこともあって少しでも早く帰る必要がある。かといって馬でとなればあらぬ疑いを持たれるからな」
呆れながらに言う父さんにレティが申し訳なさそうな顔をする
馬で隣町まで行くということはどちらかに緊急事態が発生したということを指す
それは流石に避けるよな…
「…レティシアナがそう言う顔をするということはお前たちが関係しているのか?」
父さんが何かを悟ったかのように尋ねて来る
これは隠し通すより白状した方がよさそうだ
「こないだのオークションでレティが自分の鱗を出品した」
しかもオークションの中で最高額だった
てか隣町の領主はよくそんな金を持ってたな
この町より遥かに栄えてて上級の迷宮もあるからあり得ない話ではないんだろうけど
そう言えば親が王都の上位貴族だったか?
「おいおい…」
「まじか…」
俺がそんなことを考えているとアランさんとカルムさんが呟くように言った
残念ながらマジだ
「ごめんなさい!こんなことになるとは思わなくて…」
「コーラルさんのリストには無かったし、俺達が龍化できるの知ってても特に何も言わなかったから俺もそこまで気に止めもしなかったんだけど…」
そういいつつオークションで最高値を叩きだしたことは秘匿するつもりだったけど…
「まぁそうだよな…自分の物をどうしようと自由ではあるな。悪いな、レティシアナ。謝る必要はないからそんな顔をするな」
父さんは苦笑しながら言う
「まぁあれだ。今度手放していいと思うことがあればコーラルにやってくれ。あいつは昔から龍に憧れてるからな」
「憧れ?恐怖や畏怖じゃなく?」
それはそれで珍しい
領地持ちの貴族や領主にとって災害級のドラゴンなんて天敵でしかないだろうに…
現に自然災害に次いで怖れられる存在だしな
「子どもの頃から好きだったらしい。同時に尊敬もしているとか何とか」
「う…だから言えなかった感じ?」
「だろうな。今回も耳にして何とか仕事のやりくりして時間を作ったみたいだ」
そう言ったカルムさんは大笑いする
「なんか申し訳ないね」
レティ自身軽い気持ちで出しただけに困惑気味だ
「ん~じゃぁそのうち機会があればコーラルさんの前で龍化するとか?」
古い鱗はそのうち自然に落ちて来るけどそれがいつかは分からないから別の方向で考えてみる
龍化するか、龍化して飛ぶか…それくらいしか浮かばない辺り何とも言えないけど
「龍化…それは俺達も見たいぞ?」
父さんが食いついた
そう言えば皆の前でもしてなかったんだっけ
これは何かのタイミングで是非披露しようと心に決めた
何となく気になったから尋ねてみる
「大したものじゃない」
「は?でも日程からすると急ぎだよな?」
「…隣町の領主が最近手に入れたドラゴンの鱗を展示しているらしい」
その言葉に俺とレティは心当たりがありすぎて固まった
最近手に入れたという時点でオークションに出品したレティの鱗に違いない
「コーラルはそれを見に行きたいらしい。だが執務のこともあって少しでも早く帰る必要がある。かといって馬でとなればあらぬ疑いを持たれるからな」
呆れながらに言う父さんにレティが申し訳なさそうな顔をする
馬で隣町まで行くということはどちらかに緊急事態が発生したということを指す
それは流石に避けるよな…
「…レティシアナがそう言う顔をするということはお前たちが関係しているのか?」
父さんが何かを悟ったかのように尋ねて来る
これは隠し通すより白状した方がよさそうだ
「こないだのオークションでレティが自分の鱗を出品した」
しかもオークションの中で最高額だった
てか隣町の領主はよくそんな金を持ってたな
この町より遥かに栄えてて上級の迷宮もあるからあり得ない話ではないんだろうけど
そう言えば親が王都の上位貴族だったか?
「おいおい…」
「まじか…」
俺がそんなことを考えているとアランさんとカルムさんが呟くように言った
残念ながらマジだ
「ごめんなさい!こんなことになるとは思わなくて…」
「コーラルさんのリストには無かったし、俺達が龍化できるの知ってても特に何も言わなかったから俺もそこまで気に止めもしなかったんだけど…」
そういいつつオークションで最高値を叩きだしたことは秘匿するつもりだったけど…
「まぁそうだよな…自分の物をどうしようと自由ではあるな。悪いな、レティシアナ。謝る必要はないからそんな顔をするな」
父さんは苦笑しながら言う
「まぁあれだ。今度手放していいと思うことがあればコーラルにやってくれ。あいつは昔から龍に憧れてるからな」
「憧れ?恐怖や畏怖じゃなく?」
それはそれで珍しい
領地持ちの貴族や領主にとって災害級のドラゴンなんて天敵でしかないだろうに…
現に自然災害に次いで怖れられる存在だしな
「子どもの頃から好きだったらしい。同時に尊敬もしているとか何とか」
「う…だから言えなかった感じ?」
「だろうな。今回も耳にして何とか仕事のやりくりして時間を作ったみたいだ」
そう言ったカルムさんは大笑いする
「なんか申し訳ないね」
レティ自身軽い気持ちで出しただけに困惑気味だ
「ん~じゃぁそのうち機会があればコーラルさんの前で龍化するとか?」
古い鱗はそのうち自然に落ちて来るけどそれがいつかは分からないから別の方向で考えてみる
龍化するか、龍化して飛ぶか…それくらいしか浮かばない辺り何とも言えないけど
「龍化…それは俺達も見たいぞ?」
父さんが食いついた
そう言えば皆の前でもしてなかったんだっけ
これは何かのタイミングで是非披露しようと心に決めた
107
お気に入りに追加
598
あなたにおすすめの小説
〈本編完結〉ふざけんな!と最後まで読まずに投げ捨てた小説の世界に転生してしまった〜旦那様、あなたは私の夫ではありません
詩海猫
ファンタジー
こちらはリハビリ兼ねた思いつき短編として出来るだけ端折って早々に完結予定でしたが、予想外に多くの方に読んでいただき、書いてるうちにエピソードも増えてしまった為長編に変更致しましたm(_ _)m
ヒロ回だけだと煮詰まってしまう事もあるので、気軽に突っ込みつつ楽しんでいただけたら嬉しいです💦
*主人公視点完結致しました。
*他者視点準備中です。
*思いがけず沢山の感想をいただき、返信が滞っております。随時させていただく予定ですが、返信のしようがないコメント/ご指摘等にはお礼のみとさせていただきます。
*・゜゚・*:.。..。.:*・*:.。. .。.:*・゜゚・*
顔をあげると、目の前にラピスラズリの髪の色と瞳をした白人男性がいた。
周囲を見まわせばここは教会のようで、大勢の人間がこちらに注目している。
見たくなかったけど自分の手にはブーケがあるし、着ているものはウエディングドレスっぽい。
脳内??が多過ぎて固まって動かない私に美形が語りかける。
「マリーローズ?」
そう呼ばれた途端、一気に脳内に情報が拡散した。
目の前の男は王女の護衛騎士、基本既婚者でまとめられている護衛騎士に、なぜ彼が入っていたかと言うと以前王女が誘拐された時、救出したのが彼だったから。
だが、外国の王族との縁談の話が上がった時に独身のしかも若い騎士がついているのはまずいと言う話になり、王命で婚約者となったのが伯爵家のマリーローズである___思い出した。
日本で私は社畜だった。
暗黒な日々の中、私の唯一の楽しみだったのは、ロマンス小説。
あらかた読み尽くしたところで、友達から勧められたのがこの『ロゼの幸福』。
「ふざけんな___!!!」
と最後まで読むことなく投げ出した、私が前世の人生最後に読んだ小説の中に、私は転生してしまった。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
【毎日更新】元魔王様の2度目の人生
ゆーとちん
ファンタジー
人族によって滅亡を辿る運命だった魔族を神々からの指名として救った魔王ジークルード・フィーデン。
しかし神々に与えられた恩恵が強力過ぎて神に近しい存在にまでなってしまった。
膨大に膨れ上がる魔力は自分が救った魔族まで傷付けてしまう恐れがあった。
なので魔王は魔力が漏れない様に自身が張った結界の中で一人過ごす事になったのだが、暇潰しに色々やっても尽きる気配の無い寿命を前にすると焼け石に水であった。
暇に耐えられなくなった魔王はその魔王生を終わらせるべく自分を殺そうと召喚魔法によって神を下界に召喚する。
神に自分を殺してくれと魔王は頼んだが条件を出された。
それは神域に至った魔王に神になるか人族として転生するかを選べと言うものだった。
神域に至る程の魂を完全に浄化するのは難しいので、そのまま神になるか人族として大きく力を減らした状態で転生するかしか選択肢が無いらしい。
魔王はもう退屈はうんざりだと言う事で神になって下界の管理をするだけになるのは嫌なので人族を選択した。
そして転生した魔王が今度は人族として2度目の人生を送っていく。
魔王時代に知り合った者達や転生してから出会った者達と共に、元魔王様がセカンドライフを送っていくストーリーです!
元魔王が人族として自由気ままに過ごしていく感じで書いていければと思ってます!
カクヨム様、小説家になろう様にも投稿しております!
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
離縁された妻ですが、旦那様は本当の力を知らなかったようですね?~魔道具師として自立を目指します!~
椿蛍
ファンタジー
【1章】
転生し、目覚めたら、旦那様から離縁されていた。
――そんなことってある?
私が転生したのは、落ちこぼれ魔道具師のサーラ。
彼女は結婚式当日、何者かの罠によって、氷の中に閉じ込められてしまった。
時を止めて眠ること十年。
彼女の魂は消滅し、肉体だけが残っていた。
「どうやって生活していくつもりかな?」
「ご心配なく。手に職を持ち、自立します」
「落ちこぼれの君が手に職? 無理だよ、無理! 現実を見つめたほうがいいよ?」
――後悔するのは、旦那様たちですよ?
【2章】
「もう一度、君を妃に迎えたい」
今まで私が魔道具師として働くのに反対で、散々嫌がらせをしてからの再プロポーズ。
再プロポーズ前にやるのは、信頼関係の再構築、まずは浮気の謝罪からでは……?
――まさか、うまくいくなんて、思ってませんよね?
【3章】
『サーラちゃん、婚約おめでとう!』
私がリアムの婚約者!?
リアムの妃の座を狙う四大公爵家の令嬢が現れ、突然の略奪宣言!
ライバル認定された私。
妃候補ふたたび――十年前と同じような状況になったけれど、犯人はもう一度現れるの?
リアムを貶めるための公爵の罠が、ヴィフレア王国の危機を招いて――
【その他】
※12月25日から3章スタート。初日2話、1日1話更新です。
※イラストは作成者様より、お借りして使用しております。
追い出された万能職に新しい人生が始まりました
東堂大稀(旧:To-do)
ファンタジー
「お前、クビな」
その一言で『万能職』の青年ロアは勇者パーティーから追い出された。
『万能職』は冒険者の最底辺職だ。
冒険者ギルドの区分では『万能職』と耳触りのいい呼び方をされているが、めったにそんな呼び方をしてもらえない職業だった。
『雑用係』『運び屋』『なんでも屋』『小間使い』『見習い』。
口汚い者たちなど『寄生虫」と呼んだり、あえて『万能様』と皮肉を効かせて呼んでいた。
要するにパーティーの戦闘以外の仕事をなんでもこなす、雑用専門の最下級職だった。
その底辺職を7年も勤めた彼は、追い出されたことによって新しい人生を始める……。
【完結】婚約者が好きなのです
maruko
恋愛
リリーベルの婚約者は誰にでも優しいオーラン・ドートル侯爵令息様。
でもそんな優しい婚約者がたった一人に対してだけ何故か冷たい。
冷たくされてるのはアリー・メーキリー侯爵令嬢。
彼の幼馴染だ。
そんなある日。偶然アリー様がこらえきれない涙を流すのを見てしまった。見つめる先には婚約者の姿。
私はどうすればいいのだろうか。
全34話(番外編含む)
※他サイトにも投稿しております
※1話〜4話までは文字数多めです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる