チートな親から生まれたのは「規格外」でした

102.2度目のオークション

4

「よし、俺のも終わり。ここも共通に切り替えでいいか？」
毒持ちはそこまで多くないからな
既にシャノンとルークの分を終えて今はレティの分にかかってるし
「ああ。構わない」
職人の返事を聞いてから共通の素材や魔物を取り出していく
ちなみに俺達が出してる最中にも上の階から大きなどよめきが時々聞こえて来る
オークションは現在進行形
量があるから競らずに次に期待する人もそこそこいるらしい
ただ、その次が必ずあるとは限らないけどな
結局俺達の素材が出し終えたのは4時を回っていた

「ありがとうねシア。助かったわ」
キアナさんは休憩だと言いながら下に降りてきた
「ローラ、代わりにお願い」
「はーい」
ローラは奥から出て来ると階段を上がっていこうとする
「あ、ローラ」
「ん？」
「プロポーズ、受けたんだろ？おめでとう」
俺は手首に巻かれたブレスレットを見ながら言う
「ありがと。まだ実感わかないんだけどね」
「それは…マリクには言わないでやってくれよ？流石に凹みそうだ」
「言わないわよ。嬉しいのは事実だし私自身マリク以外考えられないもの」
即答したローラにキアナさんが苦笑する
「あんたがマリクにべたぼれなのは分かったから上お願いね」
「ちょっ…お母さん？」
ローラが反論しようとするのをキアナさんはまるっと無視して2階に追いやってしまった

「あの子もようやくって感じよね。シアもそのうちなんでしょうけど」
「…」
「マリクもシアも同年代の子に比べて優良物件だものね。本当にレイの頃を思い出すわ」
「父さんも優良物件って言われてたんだっけ？」
「そうよ。高ランクで見た目もいいと来れば女の子がほっとくわけないもの。まぁ、レイにしてもあなた達にしても女の子に興味ないとこまで似てる辺り何とも言えないものがあるけどね」
キアナさんの言葉にどう返していいかわからなくなった
正直居たたまれない

「シアの事だからしょうもないことはしないだろうけど、トラブル体質なんだからあの子が巻き込まれないようにだけは注意しなさいよ」
「ああ、わかってる」
それは流石に自覚がある
「ならいいわ。とにかく、今日はありがとう。あの子たちにも伝えて」
「了解」
頷いてキアナさんと別れた

「悪いなレティ」
時おり依頼ボードを見に行ったりしながら待ってくれていたレティに声をかける
シャノンとルークは自分たちの分が終わって少しした頃に、依頼を受けに飛び出して行った
「終わり？」
「ああ。あとはオークションが終わってからだな」
そう答えるとレティは側にやってきた
「オークションは明日の夕方までの予定だ。明日の晩にはそれぞれの口座に振り込むから近いうちに確認してくれ」
「了解。あ、最後にこれ、皆で食って」
そう言って取り出したのはファイアスネークの肉
「おいおい…いいのか？」
「まだいっぱいあるからな。稼がせてもらったお礼」
「はは！稼がせてもらったのはギルドもだが…正直有り難い」
「みんなで食わせてもらうよ」
職人たちの疲れ切った顔に笑顔が浮かぶ
朝からぶっ通しで処理してくれたことを考えればこれくらいは安いもんだ
といってもこのオークション自体ギルドからの依頼ではあるが…
何にしても2度目のオークションは前回以上の盛り上がりを見せたらしい
ちなみに翌日、俺達が受け取ったのはとんでもない金額だった
中でも一番の値を付けたのがレティの鱗だったということはコーラルさんには秘密だ