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82.帰郷

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ようやく?
やっと?
とうとう?
どう表現していいか自分でもよくわからない
でも俺達は生まれ育った最寄りの町の入り口に立っていた

「懐かしい…」
「たった1年だったのにね」
ルークとシャノンも言葉に出来ない気持ちを持て余してる感じが見て取れる

「おー?シア達か?」
憲兵の親父が俺達に気付いた

「無事だったか?!どれくらいぶりだ?」
「1年かな」
「そうか1年か…って1人増えてないか?」
「ああ。旅の途中で出会ったレティシアナだ。当分家にいることになったから頼むな」
「なるほど。訳ありってことだな?了解した」
昔から弾丸が頻繁に誰かを保護してたせいか受け入れられるのも早かった

「家には寄ってきたのか?」
「いや。ギルドに寄ってからかな。帰還報告があるから」
「あぁ、そんなものがあったか。何にしてもお帰りだな。そっちのあんたはようこそ」
笑顔で迎えられ俺達はそのままギルドに向かった

「おや、シア達帰ってきたのか?お帰り」
「ただいまー」
「ちょっと見ないうちにしっかりした顔つきになったじゃないか?」
「丁度いい。シャノン!これ持って行きな」
「ありがと!」
八百屋の主人であるヨハンさんからシャノンは果物を数種類受け取っていた

「久しぶりだなルーク!」
「ああ、久しぶり」
そこら中からそんな感じで声がかかるのをレティが驚いた顔で見ていた

「どうかしたの?」
「ううん。ただこんなに顔が広かったんだって」
「あぁ、その事か。それは俺達というよりは俺達の親のせいだな」
「親?」
「そ。僕たちの親は『弾丸』だからね。国内唯一のSSランクパーティー」
「えー?!」
レティが悲鳴のような声を上げる
そういえばそんな話題も出なかったから言ってなかったな

「そんなに驚かなくても…」
「だって『弾丸』って私でも知ってるのよ?あ~でも、シア達が普通じゃない理由がやっとわかったわ」
ブツブツと呟きながら一人納得したような顔をする
そんなレティを誘導しながらギルドに到着した

「え…?」
扉を開けて中に入ると騒がしかったギルド内が静まり返った
ん?俺ら何かしたか?
首を傾げながらカウンターの前に立つと奥からキアナさんが飛び出してきた

「あなた達!」
中から出てきたキアナさんに俺達はまとめて抱きしめられていた

「…キアナさん?」
沈黙を破ったのはシャノン
何が起こってるのかわからずただ目をパチパチさせている

「お帰りなさい!無事でよかったわ!本当に…」
真っすぐ俺達を捉えるその目から涙が溢れてた

「…ただいま?」
ためらいながらもそう返すとくしゃくしゃの顔で笑う
そして…

「ようやく戻ったか。何にしても無事で何よりだ」
少し遅れて2階から降りてきたのはギルマスだった
どうやら俺達はここでも心配されていたらしい
本当にありがたい
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