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閑話8 暗闇に差す光(side:レティシアナ)

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「…あぅっ!!」
ひどい痛みと熱がふくらはぎを襲った
恐る恐るその場所を見るとナイフが突き刺さっていた
「ひっ…」
遠のきそうになる意識を必死でつなぎ留める
でもそのことを後悔した

「ぅあぁぁぁっ!!」
言いようのない痛みが襲ってきた
貴族は刺さったナイフを更に押し込みながら左右に回したのだ
私は悲鳴を上げながら、いつしか意識を手放していた



次に目が覚めた時には奴隷のように枷を嵌められていた
刺して抉られた場所は最低限の治療だけがされていた
それでも常に痛みに襲われる
結婚すると言えば枷を外してやると…でも断れば鞭で打たれて気を失った
それが捉えられてから3年、毎日続いていた

転機が訪れたのは色んなものが麻痺して、傷みも恐怖もほとんど感じなくなっていた頃だった
「今日から別の場所に行く」
そう言って荷物と一緒に積み込まれた
でもその道中で馬車が横転して私は貴族の元から逃れることが出来た

足を引きずりながら少しでも遠くにと動き続けて、疲れ果てて木陰で眠ってしまったのが悪かった
「おい、こんなとこに綺麗な姉ちゃんがいるぞ?」
そんな声に目を覚ますと身なりの汚い5人の男に囲まれていた
「ありがたいことに鎖で繋がれてる。こいつは奴隷か?なら自由にしていいってことだよな?」
「そんなの見りゃわかんだろ。とにかく俺が先だからな?」
「何を言ってる?俺だ!」
男たちは突然言い争いを始めた
話してる内容からこれから何が起こるか嫌でもわかる
逃げなきゃ…
そう思いながら立ち上がる

「あ、こら待て!」
足は傷むものの身体能力だけは普通の人間より高いはず
何とか逃げようと走り続けた
でも鎖が邪魔で思う様に手足が動かない
男達との距離が縮まるのはすぐだった
いやだ…
こんなところでこんな男たちに襲われるなんて、こんな男たちの玩具にされるなんて冗談じゃない
その想いだけで逃げ続けた
でも…

「つかまえたぜ?」
背後から腕を掴まれこれ以上逃げることがかなわなかった
「放して!」
「馬鹿が。放す分けねぇだろ?」
必死で抵抗したけど捕まれた腕を思いっきり引っ張られて、私はそのまま背後に倒れ込んだ
そんな私を上から見下ろす男達

「やーっ…!」
伸びて来る沢山の手にただ震えるしか出来ない
「それにしても本当にきれいな顔してんな?」
「放して!」
顎を掴まれ食い入るようにのぞき込まれた瞬間、言葉にしがたい臭いに顔を顰めた
男たちの全身から漂う酸っぱい臭いに加えて、口から溢れ出す不快な臭いは魔物の血なまぐささより遥かに酷かった
こんなおぞましい男たちにもてあそばれるなんて絶対に嫌だ

「誰か…!」
気付いたらそう口にしていた

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