上 下
184 / 357
69.遭遇

1

しおりを挟む
食糧と言う名の魔物を狩りながら旅はかなり順調に進んでいた
「行きより短い日数で帰れそうだね」
「このまま何事も無ければな。油断だけはするなよ」
「は~い」
「順調な時ほど気が緩むもんな。改めて気を引き締めないと」
ルークがもっともらしい事を言う

「最近ルークがシアに似てきた気がする」
「は?」
俺に似てきたってどういう意味だ?
少し困惑しながらシャノンを見る

「大人発言」
「「大人発言?」」
「ついこの間まで一緒に怒られる側だったのに…」
シャノンが拗ねたように言うのを見て俺もルークも思わず噴き出した

「笑わなくても良くない?」
「いや、笑うだろ」
「あ~そういうとこはシャノンだよなぁ」
昔から大人ぶろうとして上手くいかない姿が微笑ましく見えていた
俺達が甘やかすせいもあるだけに多少申し訳ない気もするけどな

「シャノンはずっとそのままでいてくれよな」
「シア?そのままってガキのままってこと?」
「自覚あるなら問題ない。そのうち心の方も追いつくさ」
と言っても俺と1つしか違わないんだけど

『しあー』
「ん?」
笑いながら歩いていると突然リトスが遮った

『なんか、いるー』
そう言いながらもいつもと違いポーチに引っ込まない

「リトスが引っ込まないってことは魔物じゃないのか?」
「どういうこと?」
「何かいるって言ってんだけどな…」
俺達が周りを警戒し始めて少しすると揉めるような声と剣がぶつかり合う音が聞こえてきた

「盗賊とかかな?」
「行ってみよう」
もし誰かが襲われてるならほっておくのは目覚めが悪い
俺達は音のする方に向かった

「ほらほらほら!悔しかったらかかって来いよ」
「やめてくれ…!誰か…!!」
「助けなんて来るかよ?」
「さぁ、雇った護衛は皆寝てるしあとはお前だけだぞ?」
剣先を目の前に向けて男は言う
馬車の周りには護衛に雇われたのだろう冒険者が4人言葉通り寝転がっていた
果たして盗賊が強いのか、それとも護衛が弱いのか?

「賊は15人。ルークは右、シャノンは左。カウントは3」
「了解」
「分かった」
「3、2、1、行くぞ!」
その言葉と共に俺達は同時に盗賊の方に向かう
盗賊とはえいただの人間である以上BランクやCランクの魔物の群れより弱い
まぁ中には冒険者崩れの元Dランクや元Cランクってやつも含まれてたりはするけど…
相手が状況を把握する前に鎮圧は完了した
それはもう呆気ないくらい簡単に

「大丈夫ですか?」
へたり込んでいる男にシャノンが訊ねた
俺はその間に護衛だった男たちに回復魔法をかけていく
その上で盗賊を拘束するのを手伝ってもらうことにした

「シア、ロープまだある?」
「ああ。ほれ」
インベントリから数本取り出しルークに渡す

「こいつで最後。こいつらの処理は任せていいよな?」
「それは…仕留めたのは君達だからその報酬は君達が貰うべきだろ?」
護衛として雇われていた冒険者は申し訳なさそうに言う

「面倒だからいいよ。俺ら旅の途中だし」
「しかし…」
「気にしなくていいって。申し訳ないと思うなら俺らの取り分は孤児院にでも寄付してくれればいいからさ」
「盗賊捕縛の手続き面倒だもんね~」
「時間かかるから僕もパス」
シャノンに続きルークも言う

「そういうことだから、よろしく」
「…了解した。君達の取り分は責任もって寄付させてもらう」
冒険者は渋っていたものの最後には納得してくれた

しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

魅了の対価

しがついつか
ファンタジー
家庭事情により給金の高い職場を求めて転職したリンリーは、縁あってブラウンロード伯爵家の使用人になった。 彼女は伯爵家の第二子アッシュ・ブラウンロードの侍女を任された。 ブラウンロード伯爵家では、なぜか一家のみならず屋敷で働く使用人達のすべてがアッシュのことを嫌悪していた。 アッシュと顔を合わせてすぐにリンリーも「あ、私コイツ嫌いだわ」と感じたのだが、上級使用人を目指す彼女は私情を挟まずに職務に専念することにした。 淡々と世話をしてくれるリンリーに、アッシュは次第に心を開いていった。

私ではありませんから

三木谷夜宵
ファンタジー
とある王立学園の卒業パーティーで、カスティージョ公爵令嬢が第一王子から婚約破棄を言い渡される。理由は、王子が懇意にしている男爵令嬢への嫌がらせだった。カスティージョ公爵令嬢は冷静な態度で言った。「お話は判りました。婚約破棄の件、父と妹に報告させていただきます」「待て。父親は判るが、なぜ妹にも報告する必要があるのだ?」「だって、陛下の婚約者は私ではありませんから」 はじめて書いた婚約破棄もの。 カクヨムでも公開しています。

嘘つくつもりはなかったんです!お願いだから忘れて欲しいのにもう遅い。王子様は異世界転生娘を溺愛しているみたいだけどちょっと勘弁して欲しい。

季邑 えり
恋愛
異世界転生した記憶をもつリアリム伯爵令嬢は、自他ともに認めるイザベラ公爵令嬢の腰ぎんちゃく。  今日もイザベラ嬢をよいしょするつもりが、うっかりして「王子様は理想的な結婚相手だ」と言ってしまった。それを偶然に聞いた王子は、早速リアリムを婚約者候補に入れてしまう。  王子様狙いのイザベラ嬢に睨まれたらたまらない。何とかして婚約者になることから逃れたいリアリムと、そんなリアリムにロックオンして何とかして婚約者にしたい王子。  婚約者候補から逃れるために、偽りの恋人役を知り合いの騎士にお願いすることにしたのだけど…なんとこの騎士も一筋縄ではいかなかった!  おとぼけ転生娘と、麗しい王子様の恋愛ラブコメディー…のはず。  イラストはベアしゅう様に描いていただきました。

【完結】クビだと言われ、実家に帰らないといけないの?と思っていたけれどどうにかなりそうです。

まりぃべる
ファンタジー
「お前はクビだ!今すぐ出て行け!!」 そう、第二王子に言われました。 そんな…せっかく王宮の侍女の仕事にありつけたのに…! でも王宮の庭園で、出会った人に連れてこられた先で、どうにかなりそうです!? ☆★☆★ 全33話です。出来上がってますので、随時更新していきます。 読んでいただけると嬉しいです。

〖完結〗死にかけて前世の記憶が戻りました。側妃? 贅沢出来るなんて最高! と思っていたら、陛下が甘やかしてくるのですが?

藍川みいな
恋愛
私は死んだはずだった。 目を覚ましたら、そこは見知らぬ世界。しかも、国王陛下の側妃になっていた。 前世の記憶が戻る前は、冷遇されていたらしい。そして池に身を投げた。死にかけたことで、私は前世の記憶を思い出した。 前世では借金取りに捕まり、お金を返す為にキャバ嬢をしていた。給料は全部持っていかれ、食べ物にも困り、ガリガリに痩せ細った私は路地裏に捨てられて死んだ。そんな私が、側妃? 冷遇なんて構わない! こんな贅沢が出来るなんて幸せ過ぎるじゃない! そう思っていたのに、いつの間にか陛下が甘やかして来るのですが? 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。

元悪役令嬢はオンボロ修道院で余生を過ごす

こうじ
ファンタジー
両親から妹に婚約者を譲れと言われたレスナー・ティアント。彼女は勝手な両親や裏切った婚約者、寝取った妹に嫌気がさし自ら修道院に入る事にした。研修期間を経て彼女は修道院に入る事になったのだが彼女が送られたのは廃墟寸前の修道院でしかも修道女はレスナー一人のみ。しかし、彼女にとっては好都合だった。『誰にも邪魔されずに好きな事が出来る!これって恵まれているんじゃ?』公爵令嬢から修道女になったレスナーののんびり修道院ライフが始まる!

転生悪役令嬢に仕立て上げられた幸運の女神様は家門から勘当されたので、自由に生きるため、もう、ほっといてください。今更戻ってこいは遅いです

青の雀
ファンタジー
公爵令嬢ステファニー・エストロゲンは、学園の卒業パーティで第2王子のマリオットから突然、婚約破棄を告げられる それも事実ではない男爵令嬢のリリアーヌ嬢を苛めたという冤罪を掛けられ、問答無用でマリオットから殴り飛ばされ意識を失ってしまう そのショックで、ステファニーは前世社畜OL だった記憶を思い出し、日本料理を提供するファミリーレストランを開業することを思いつく 公爵令嬢として、持ち出せる宝石をなぜか物心ついたときには、すでに貯めていて、それを原資として開業するつもりでいる この国では婚約破棄された令嬢は、キズモノとして扱われることから、なんとか自立しようと修道院回避のために幼いときから貯金していたみたいだった 足取り重く公爵邸に帰ったステファニーに待ち構えていたのが、父からの勘当宣告で…… エストロゲン家では、昔から異能をもって生まれてくるということを当然としている家柄で、異能を持たないステファニーは、前から肩身の狭い思いをしていた 修道院へ行くか、勘当を甘んじて受け入れるか、二者択一を迫られたステファニーは翌早朝にこっそり、家を出た ステファニー自身は忘れているが、実は女神の化身で何代前の過去に人間との恋でいさかいがあり、無念が残っていたので、神界に帰らず、人間界の中で転生を繰り返すうちに、自分自身が女神であるということを忘れている エストロゲン家の人々は、ステファニーの恩恵を受け異能を覚醒したということを知らない ステファニーを追い出したことにより、次々に異能が消えていく…… 4/20ようやく誤字チェックが完了しました もしまだ、何かお気づきの点がありましたら、ご報告お待ち申し上げておりますm(_)m いったん終了します 思いがけずに長くなってしまいましたので、各単元ごとはショートショートなのですが(笑) 平民女性に転生して、下剋上をするという話も面白いかなぁと 気が向いたら書きますね

追放された宮廷錬金術師、彼女が抜けた穴は誰にも埋められない~今更戻ってくれと言われても、隣国の王子様と婚約決まってたのでもう遅い~

まいめろ
ファンタジー
錬金術師のウィンリー・トレートは宮廷錬金術師として仕えていたが、王子の婚約者が錬金術師として大成したので、必要ないとして解雇されてしまった。孤児出身であるウィンリーとしては悲しい結末である。 しかし、隣国の王太子殿下によりウィンリーは救済されることになる。以前からウィンリーの実力を知っていた 王太子殿下の計らいで隣国へと招かれ、彼女はその能力を存分に振るうのだった。 そして、その成果はやがて王太子殿下との婚約話にまで発展することに。 さて、ウィンリーを解雇した王国はどうなったかというと……彼女の抜けた穴はとても補填出来ていなかった。 だからといって、戻って来てくれと言われてももう遅い……覆水盆にかえらず。

処理中です...