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61.妖精の住処

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ケリーとのことがあってからシャノンは1人でいるのを怖れる様になった
「今日もこっちで寝ていい?」
一旦自室に戻って着替えてきたシャノンが入ってきた

「…ああ、好きにしろ」
答えると飛びついてくる
年頃の女が兄貴と寝るってどうなのかと思わなくもないんだが…
まぁ死にかけたと同時に、好意を寄せてた相手からの悪意はシャノンの心にかなりダメージをあたえたんだろう

「しばらく部屋替えてもらうか?」
「いいの?」
「この状態のお前を突き放す気はないよ」
頭をなでてベッドに促した
シャノンが寝たのを確認してから俺はテントを取り出した
これがあるからこのままでも大して問題はないけど、シャノンの精神的な問題を考えれば部屋を変えた方がよさそうだ
翌朝早速宿に交渉をした

「個室二つをダブルに変更?」
「ああ、多分一時的なんだけどな」
「…」
「こっちの我儘だから金はそのままでいいよ」
「は?」
「少ししたらまた個室に戻してもらうと思うし迷惑料と思ってくれればいい」
個室2部屋だと1泊1500G×2で3000G、ダブルだと2500G
この世界では人にじゃなく部屋に支払いが発生するから、個室からダブルに変更すると500Gずつバックしてもらう必要がある

「…まぁそれでいいならこっちに損はないが…」
「悪い。こないだの騒動でシャノンの精神がちょっと参っててさ」
「あぁ…例の…」
宿主も無関係ではなかった
ケリーは宿主に掴みかかり、魔法を練り上げながらシャノンが飛び込んだ部屋を聞きだしたらしい

「あの時は俺が漏らしちまったからなぁ…」
「それは気にしなくていい。魔法で脅されてたんだろ?」
「まぁ…な。でもそういうことなら仕方ないな。シアが使ってる部屋の向かいがダブルだからしばらくそっちを」
そう言いながらカギを渡してくれる

「助かるよ。荷物移したら個室の鍵を返しに来る」
「分かったよ」
受け取ったカギを持って部屋に戻るとルークがいた

「何かあった?」
「シャノンが大分参ってるからしばらくダブルに変えてもらう」
「あぁ…ここ1週間、ずっとこっちで寝てるもんね」
ルークは心配そうにシャノンを見ながら言った

「場所は?」
「この向かいだ」
「それは良かった。離れてたら行き来がちょっと面倒だし」
「そうだな」
それはともかくどうしたもんか

「あれから自由行動でも必ずどっちかにくっついてるもんね。僕は別にいいんだけど」
「俺もその点は構わない。むしろ女避けになって丁度いい」
「シャノンもリアムに目を向けてくれればいいのにな」
「そればっかりは強制できるもんでもないだろ。リアムになら安心して任せられるのは確かだけどな」
リアムがシャノンを大切にしてくれているからと言って、シャノンがリアムを好きになるわけではない
一緒に育ったからこそ兄として見てしまうのも当然なんだけど…

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