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閑話5 砕けた恋心(side:シャノン)

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「だからさ、シャノン俺達と一緒に迷宮にいかないか?」
ケリーがそう言いだしたのは付き合いだして2週間ほどしてからだった

「でも上級でしょ?推奨のパーティーランクはAだよ?」
「そうはいってもシャノンは兄妹で入ってるだろ?たしかパーティーランクはBって言ってたよな?」
「そうだけど…」
でも実力はそれ以上なんだよね。特にシアは別格だし、ルークも剣聖のスキルを使えばSランク以上だもの
普通の冒険者とはわけが違う

「とりあえず最初の5階層だけでも試してみないか?何かあった時は俺が守ってやるから」
いつもの甘い声で言われれば私はこれ以上断わり続けることは出来なかった
シアとルークには迷宮に行くことを報告したけど、朝、宿を出る時までずっと反対されてた
そのことにすごく気が引けたけどケリーと一緒に居られるということの方が今の私にとって大切だった
そう“だった”のに…
迷宮に入ってすぐから私は後悔していた

「ケリーそっちお願い!」
Cランクの魔物5体が群れで襲い掛かってきた
普通なら1人1体倒せばいいだけのことなのにそれが出来ない
ブルーとグリス、メリーは完全なる防御態勢だ

「シャノンそれも頼む」
ケリーの声に振り向くと1体と対峙したまま動かない
私既に3体倒したんだけど…
最初からずっとこんな感じだった
ケリーはAランクだと言っていたはずなのにCランクの魔物さえ苦戦する
他の3人も私と同じBランクのはず
なのに防御に専念するか逃げ遅れて邪魔になる
こんな実力だと知っていたら絶対に一緒には入らなかった

「助かったよシャノン」
ようやく倒してこっちに寄ってきたケリーに昨日までのときめきも何も一切感じなかった
別に弱いからってわけじゃ無い
口だけだからだ
今はもうケリーが何を言っても耳には入ってこなかった
ブルーたちに偉そうにちょっとくらい倒せと怒鳴りつけてるけど、私から言わせれば私よりランクの高いケリーが一番率先して倒してと言いたい
シアとルークを見てると余計にそう思ってしまう
だってケリーは自分が危うい時は助けろという癖に私が危なくても何もしてくれない
すでに何度か、かなり危ない目にあってたのに…
私は一体ケリーの何を好きになったんだろ…
結局1階層クリアするのに丸1日かかった

「流石に疲れたな。飯にしようぜ」
そう言いながらテントを張り始めた
「…これ以上は無理だよ」
私は声を絞り出すように言った
このメンバーでこれ以上進むのは明らかに無理だ

「何だって?」
「これ以上は無理って言ったの」
「そんなこと言うなよ。俺らは3階層の魔物が出すドロップが必要なんだ。だから…」
「そのドロップが出るまで私一人に戦わせる気なんでしょ?」
「は?」
「迷宮に入ってからあなた達何もしてないじゃない。やったことと言えば私が倒した魔物のドロップ拾いと、私の邪魔。かろうじてCランクの魔物をケリーが数体倒しただけじゃない」
こんな状態でこれ以上進むなんてお断り
そう思いながら吐き捨てる様に言った

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