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40.テイム

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「もしかして…?」
ルークの言葉にステータスを確認すると、そのモモンガをテイムしたことが表示されていた

「何かテイムされたみたいだな」
「やっぱこの子が望んでたってことよね?」
この世界では、母さんの様に闇魔法を使う契約獣と違ってテイムは誰でもできる
テイムと唱えて相手が了承の意を示しさえすれば契約が完了するというお手軽仕様だ
ただ、了承するにはたいていの場合、テイムする側がそれだけの強さを見せる必要がある
そういう意味では保護されてテイムされるこの子は異例と言えるだろう
俺としてはテイムする気はなかったんだけどな…

影に入れることは出来ないし連れて歩くことになるけど、大したサイズにはならないみたいだから問題ないか?
その辺りは一応鑑定で確認済みだ

「次の町に付いたらギルドで登録だね」
テイムした魔物はギルドで登録して、その証明となるタグを魔物の身に着ける必要がある

「タグ付けてないと殺されても文句言えないからね。こんなかわいい子がそんな目に合ったらかわいそすぎる」
まだ指にしがみ付いたまま震えているモモンガは縋るような目で俺を見て来る

「大丈夫だよ。テイムしてしまった以上、ここに置いて行ったりしないから」
「ふふ…安心したみたい?」
撫でられて目を細めている姿は安心しきってると言って間違いないだろう

「とりあえず名前を付けないとだな」
流石にモモンガと呼びつけるのもどうかと思うし…

「リトス。お前の名前は今からリトスだ」
『ごしゅじんさまー』
「お、しゃべった?」
可愛らしい男の子の声だ

「僕たちには泣き声にしか聞こえないけど?」
「なら念話の方か。ちなみに雄だ」
闇魔法と違ってテイムの場合は意思疎通できるケースは少ないはずなんだけどなぁ…
まぁ、出来ないよりはできる方がいいから気にしないことにしよう

「リトス、お前は巣から落ちたんじゃなくて落とされたのであってるか?」
『うん。おとされた』
やっぱり意図的だったらしい

「理由はわかるか?」
『よそのこっていってた』
「よそのこ…他所の子か…じゃぁお前の親は?」
『ままのいもうと?のところにきてすぐ、おおきいのにころされた』
なるほど上にいるのがリトスの母親の妹一家ってことか
じゃぁリトスの母親が純粋なモモンガで父親が魔物であるブルサモモンガってことだな

「リトス、ここにいるのは俺の弟のルークと妹のシャノンだ」
「よろしくねリトス」
「よろしくな」
2人が頭をなでながら言うのを今度は嫌がらなかった
おかげでシャノンが上機嫌だ

「リトスの父親がブルサモモンガみたいだな。母親の妹に会いに来てすぐに殺されたらしいけど」
「え?じゃぁ木の上にいるのはリトスにとっては叔母さんってこと?」
「ああ」
「甥っ子を蹴落とすなんて酷い叔母さんね」
「魔物の血を引いてるから恐れたのかもしれないな」
「だとしても、よ。自分と血のつながった子で親もいないのよ?」
意気込むシャノンをルークが何とかなだめようとしていた

「これからは俺らがいるから問題ないだろ?」
『うん』
リトスはそう言いながらフワリと飛び上がって俺の肩に乗った

「何だ飛べるのか?」
『ちょっとだけだよ?いまよりたくさんはまだとべない』
「なら肩に乗ってるか…このポケットに入ってろ」
俺はそう言いながら胸ポケットに入れてやる

『きもちいい…』
ポケットの淵に前足をかけてキョロキョロしていたリトスは少しするとウトウトし始めた
動いてんのに眠れるのか?

「リトスお眠だね?揺れと暖かさで気持ちいのかな」
飽きもせず何度も除きこむシャノンがそんなことを言う
なるほど、動いてるから眠れることもあるのか
淵にかけていた前足は少しずつ力が抜けているらしく持ち上がっていた体が少しずつ落ちていく

「寝てていいぞ」
ポケットの上からなでる様に触れると安心したように下まで滑り落ちていた

「こいつ用のウエストポーチでも買うかな」
「ポケットじゃダメなの?」
「普段は構わないけど戦ってる時がな」
「そっか…防御力0だね」
「それどころか飛び出す可能性もあるかも」
俺達は暫くの間どんなポーチがいいかと話しながら足を進めていた



+-+-補足+-+
サラサの契約獣はナインガット(9本の尾を持つネコ科の神獣)で、
「ある日突然『異世界を発展させて』と頼まれました」の「42.サプライズパーティー」から登場します
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