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38.繋がり

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で、今俺は黒煙の4人と向き合ってるわけだが…

「そういやシアとサラサが誘拐された時は大変だったよな」
「…その節はどうも」
でいいのか?

「あの時俺達もギルドにいたんだけどな」
「そうそう。レイの尋常じゃない殺気に低ランクの冒険者の一部は白目を剥いて倒れたりでギルドの中が大変なことになってよな」
「父さんの殺気…」
あまりピンとこないなと首を傾げていると更に出て来る父さんの情報

「シアにちょっかい出そうとした冒険者をギルドで見かけた時なんか、レイが殴り飛ばしてたよな」
「そんなレイが飲み屋でシアが抱っこさせてくれないって凹んでた時は腹抱えて笑ったわ」
それは嫌われるのが怖くて避けてた時期の事か?

「双子が生まれてからは少し落ち着いたけどシアだけの時は酷かった」
「酷いって…」
「あれは無いな。キャラが崩壊してた」
「女どもが引いてたもんな」
次々と出て来る言葉に俺は呆然とするしか出来ない

「“異常な溺愛”が双子が生まれて“かなりの溺愛”くらいに変わった程度だったけど、それだけでも俺らはホッとしたもんだ」
そんな話を聞きながら自分がどれだけ父さんに愛されていたかを知り嬉しさをかみしめた


翌朝俺が目を覚ますとシャノンが既に起き出していた
「もう大丈夫なのか?」
「うん!」
その笑顔に無理はない

「まだ早いしパンでも作るか」
発酵は魔法で短縮できるし皆が起きてくるころには焼きあがるだろう
2人を助けてくれたお礼には丁度いいかとシャノンとパンを作る

「こんな感じでいい?」
木の棒に巻き付けながらシャノンが聞いてくる

「ああ、うまくなったな?」
「へへ…」
はにかんだ笑顔を見せながら次の棒に巻き付ける
丁度焼き上がりのいい香りが漂ってきた頃、皆が起きて来た

「滅茶苦茶腹が刺激されるこの匂いは何だ?」
「パン、ですね」
「パン迄作るか…」
そうつぶやきながら差し出したパンを食べる姿は子供みたいだった

「シャノンもルークももう問題なさそうだな」
ロイさんの言葉にホッとする

「旅は何があるかわからない。気を抜かないようにしろよ」
アークさんの言葉に俺達は頷いた

「うまい飯もたらふく食わせてもらったし俺達はそろそろ行くよ」
「あ、多めに作ったんで残ったパンは持って行ってください」
「いいのか?」
「俺達の分はいつでも作れますから」
「そうか。なら遠慮なく貰おう」
「パンなんて久しぶりだからありがたい」
町ならともかく森でパンの調達なんて出来ないから当然か

「シアにこれをやる」
ロイさんが年季の入った紙の束をくれた

「ロイさんこれって…」
「サラサに教えてもらった回復魔法だ」
「ほんとに貰っていいんですか?」
「ああ。俺はもうそれがなくても使えるからな。旅をするなら知ってた方がいいものも結構あるから目を通しとくだけでも損はしないと思う」
「ありがとうございます」
調べようと思ってたからこれは本当にありがたい
黒煙を見送って少し休憩してから俺達も旅を再開した
因みに黒煙に助けて貰ったことを母さんに報告したら、“そんなこともあったわね~”なんて軽い返事と共に回復魔法の本が送られてきた
本が送られてきたことよりこの重量の物を飛ばせることに驚いたのは内緒だ
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