上 下
53 / 330
13.ギルマスからの依頼

4

しおりを挟む
「やば…」
咄嗟にかわしたものの足元のハイオークの巨体で体勢体勢が崩れた

「シア!」
「問題ない」
こっちに気を取られたルークにそう返す
急所を金属で守ったオークジェネラルを見据えて考える
物質交換で金属に影響を与える方法を考えるのも有だけど…

「流石にその時間はないか」
簡単に地面を抉る斧を振り回されている手前、冷静に考え続けるのはちょっと厳しい
急所が狙えないなら全身にダメージを与えるか?

「腕だけでも切り落とせたら楽なんだけど…な!」
攻撃を受け流すもその攻撃の重さに辟易する
多分こっちの体力が尽きるのを待ってるんだろうけど…

「くそっ」
それなりに体がでかくなったとはいえ父さんたちには遠く及ばない
オークジェネラルの斧は100kgくらいだって聞いたことがある
それに勢いが乗ったものを50kg前後の俺が受けてる以上長引けば先はない

一体あんなものどこで調達してくるんだ?
通常の剣でどうすることも出来そうにない装備に、この場にそぐわないだろう疑問まで浮かんでくる
その時俺が弾いたオークジェネラルの斧が奴の顔面を掠めた

「チャンス!」
頑丈そうなゴーグルが壊れて地面に落ちていくのを見て俺は剣を構えた
一瞬で距離を詰めると跳躍のタイミングで風魔法を使って飛ぶ
守るものの無くなった目から脳天に向けて剣を突き挿した

「グォォォォオォ……!」
俺を張り飛ばそうとするのを避けながら念動力を使う
『爆発』
次の瞬間オークジェネラルの頭部は粉々に砕け散っていた

“バシッ…”
「クッ……」
一瞬気がそがれていた俺は、最後の悪あがきのように振り回された手で頭から張り飛ばされていた

その先は穴に落ちなかったオークやオークの群れの中だ
「マジか…」
まぁその勢いのおかげで俺を受け止める形になったオークは死んだけどな
あのまま地面に落ちてたらと思うとぞっとする

「とりあえず雑魚を片付けるか…って、いてーなぁ…」
頭部に鈍い痛みが走る
視界も少しかすんでる感じがする
威力はバケモン並みってことだけは理解できた

俺の規格外だと言われる耐性がある上でのこの衝撃って…まじバケモンじゃん
俺は体力回復薬を少し口に含んでから残りは張り飛ばされた衝撃でまだ揺れる頭からぶっかける
外傷じゃないから効果があるかは分かんねーけど気休め程度にはなるはず

雑魚は身を守る装備があるわけでもないから、風魔法で切り倒してはインベントリに回収する
そうしないとあまり動く必要がないとは言え足場が悪すぎるからな
それこそさっき体勢を崩したの二の舞になる
暫くするとルークも終えたらしくこっちにやってきた

「その穴の蓋ずらすから出てきたのから倒せよ」
「りょーかいー」
頭数制御の聞いたエンドレス状態にルークは嬉々として向かって行く
いつもと違うのは相手が余裕で倒せるレベルという点だ

「シア!こっちもー」
ルークが終えてから10分ほどで自分の受け持ったハイオークを倒したシャノンは既に穴の前にいた

「気は抜くなよ」
「はーい」
随分軽い返事を聞きながら2つの穴が空になるのを待った

「シアそっちの穴は?」
「シャノンが終わったら開ける」
「へ?」
「同じぐらいの雑魚が穴に落ちずに残ってたからな」
「あぁ、そういうこと?別にいいのに」
すでに十分倒せてるからという意味なのだろうが…

「ジェネラルの斧受け流すのに疲れたから休憩させろ」
これは事実だ
まぁこの穴の中のを倒すのに支障はないけど

「疲れた~」
シャノンがようやく片付け終えて俺達の方に来た

「お疲れ」
「これで終わり?」
「いや。後1つ穴が残ってる」
「え?シアは?」
「穴に落ちてなかったのが同じくらいいたからな」
俺はそう言いながら2人に体力回復薬を渡す

「一応飲んどけ」
見るからに体力が削られてる
こういう時が一番危ないんだよな

「助かる」
「ありがとシア」
2人は素直に受け取ると一気に飲み干した
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。

克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位 11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位 11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位 11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位

悪役令嬢と言われ冤罪で追放されたけど、実力でざまぁしてしまった。

三谷朱花
恋愛
レナ・フルサールは元公爵令嬢。何もしていないはずなのに、気が付けば悪役令嬢と呼ばれ、公爵家を追放されるはめに。それまで高スペックと魔力の強さから王太子妃として望まれたはずなのに、スペックも低い魔力もほとんどないマリアンヌ・ゴッセ男爵令嬢が、王太子妃になることに。 何度も断罪を回避しようとしたのに! では、こんな国など出ていきます!

断罪終了後に悪役令嬢だったと気付きました!既に詰んだ後ですが、これ以上どうしろと……!?【続編公開】

一番星キラリ
恋愛
「お前は何も悪くはない。だが、爵位も剥奪された。お前を養うことはもうできない。このまま身売りをするよりはマシだろう……」 号泣する父であり、元ベラスケス公爵を見て、私は唇をかみしめる。確かに私はまだ19歳になったばかりで、もちろん未婚。身売りすることになれば、高値で取引されるだろうと、容姿と美貌を見て自分でも分かる。 政治ゲームで父は負けた。ライバルであるドルレアン公爵は、父にやってもいない横領の罪をなすりつけ、国王陛下も王太子もそれを信じてしまった。しかもドルレアン公爵の娘カロリーナと私は、王太子の婚約者の座を巡り、熾烈な争いを繰り広げてきた。親同士が政治ゲームで争う一方で、娘同士も恋の火花を散らしてきたわけだ。 でも最初から勝敗は決まっていた。だってカロリーナはヒロインで、私は悪役令嬢なのだから。 え……。 え、何、悪役令嬢って? 今、私は何かとんでもないことを思い出そうとしている気がする。 だが、馬車に押し込まれ、扉が閉じられる。「もたもたしていると、ドルレアン公爵の手の者がやってくる」「で、でも、お父様」「パトリシア、元気でな。愛しているよ」「お、お父様―っ!」その瞬間、ものすごいスピードで馬車が走り出した。 だが、激しい馬車の揺れに必死に耐えながら、自分が何者であるか思い出したパトリシア・デ・ラ・ベラスケスを待ち受ける運命は、実に数奇で奇妙なものだった――。 まさか・どうして・なんでの連続に立ち向かうパトリシア。 こんな相手にときめいている場合じゃないと分かっても、ドキドキが止まらない。 でも最後にはハッピーエンドが待っています! パトリシアが経験した数奇な運命を、読者の皆様も一緒に体験してみませんか!? 111話から続編を公開しています。もしよろしければご覧くださいませ(2024/1/15) 小説家になろうで3月より掲載しており、日間恋愛異世界転生/転移ランキングで22位(2023/05/16)を獲得しているので、きっとお楽しみいただけると思います。こちらのサイトでも続編更新が追いつくよう、投稿作業頑張ります。本サイトでは初投稿でいまだ緊張中&手探り状態。温かく見守っていただけると幸いです。第4回HJ小説大賞前期の一次選考通過作品。 ◆模倣・盗用・転載・盗作禁止◆ (C)一番星キラリ All Rights Reserved.

【完結】悪役令嬢は3歳?〜断罪されていたのは、幼女でした〜

白崎りか
恋愛
魔法学園の卒業式に招かれた保護者達は、突然、王太子の始めた蛮行に驚愕した。 舞台上で、大柄な男子生徒が幼い子供を押さえつけているのだ。 王太子は、それを見下ろし、子供に向って婚約破棄を告げた。 「ヒナコのノートを汚したな!」 「ちがうもん。ミア、お絵かきしてただけだもん!」 小説家になろう様でも投稿しています。

婚約破棄をされ、父に追放まで言われた私は、むしろ喜んで出て行きます! ~家を出る時に一緒に来てくれた執事の溺愛が始まりました~

ゆうき@初書籍化作品発売中
恋愛
男爵家の次女として生まれたシエルは、姉と妹に比べて平凡だからという理由で、父親や姉妹からバカにされ、虐げられる生活を送っていた。 そんな生活に嫌気がさしたシエルは、とある計画を考えつく。それは、婚約者に社交界で婚約を破棄してもらい、その責任を取って家を出て、自由を手に入れるというものだった。 シエルの専属の執事であるラルフや、幼い頃から実の兄のように親しくしてくれていた婚約者の協力の元、シエルは無事に婚約を破棄され、父親に見捨てられて家を出ることになった。 ラルフも一緒に来てくれることとなり、これで念願の自由を手に入れたシエル。しかし、シエルにはどこにも行くあてはなかった。 それをラルフに伝えると、隣の国にあるラルフの故郷に行こうと提案される。 それを承諾したシエルは、これからの自由で幸せな日々を手に入れられると胸を躍らせていたが、その幸せは家族によって邪魔をされてしまう。 なんと、家族はシエルとラルフを広大な湖に捨て、自らの手を汚さずに二人を亡き者にしようとしていた―― ☆誤字脱字が多いですが、見つけ次第直しますのでご了承ください☆ ☆全文字はだいたい14万文字になっています☆ ☆完結まで予約済みなので、エタることはありません!☆

転生先が、十年後に処刑される予定の幼女!

皐月めい
恋愛
「――天使が降りてきたのかと思いました」 六歳のクローディアは日々教育係に虐げられ、誤解により家族から冷遇される日々を送っていた。 とはいえクローディアのメンタルは強かった。 それなりに楽しく過ごしていたある日、前世を思い出して自分がいずれ処刑される悪役、クローディアであることに気づく。 そんなクローディアを、いずれ自分を処刑する王太子が救ってくれたのだけれど。 せっかく美貌もお金もある公爵家に生まれたのだから処刑は回避して人生を楽しみたい強メンタル令嬢と、 何故か自分の本性を見抜いているらしい公爵令嬢を手放したくない腹黒王太子の短編です。

侯爵令嬢として婚約破棄を言い渡されたけど、実は私、他国の第2皇女ですよ!

みこと
恋愛
「オリヴィア!貴様はエマ・オルソン子爵令嬢に悪質な虐めをしていたな。そのような者は俺様の妃として相応しくない。よって貴様との婚約の破棄をここに宣言する!!」 王立貴族学園の創立記念パーティーの最中、壇上から声高らかに宣言したのは、エリアス・セデール。ここ、セデール王国の王太子殿下。 王太子の婚約者である私はカールソン侯爵家の長女である。今のところ はあ、これからどうなることやら。 ゆるゆる設定ですどうかご容赦くださいm(_ _)m

【完結済み】当主代理ですが、実父に会った記憶がありません。

BBやっこ
恋愛
貴族の家に生まれたからには、その責務を全うしなければならない。そう子供心に誓ったセリュートは、実の父が戻らない中“当主代理”として仕事をしていた。6歳にやれることなど微々たるものだったが、会ったことのない実父より、家の者を護りたいという気持ちで仕事に臨む。せめて、当主が戻るまで。 そうして何年も誤魔化して過ごしたが、自分の成長に変化をせざるおえなくなっていく。 1〜5 赤子から幼少 6、7 成長し、貴族の義務としての結婚を意識。 8〜10 貴族の子息として認識され 11〜14 真実がバレるのは時間の問題。 あとがき 強かに成長し、セリとしての生活を望むも セリュートであることも捨てられない。 当主不在のままでは、家は断絶。使用人たちもバラバラになる。 当主を探して欲しいと『竜の翼』に依頼を出したいが? 穏やかで、好意を向けられる冒険者たちとの生活。 セリとして生きられる道はあるのか? <注意>幼い頃から話が始まるので、10歳ごろまで愛情を求めない感じで。 恋愛要素は11〜の登場人物からの予定です。 「もう貴族の子息としていらないみたいだ」疲れ切った子供が、ある冒険者と出会うまで。 ※『番と言われましたが…』のセリュート、ロード他『竜の翼』が後半で出てきます。 平行世界として読んでいただけると良いかもと思い、不遇なセリュートの成長を書いていきます。 『[R18] オレ達と番の女は、巣篭もりで愛欲に溺れる。』短編完結済み 『番と言われましたが、冒険者として精進してます。』 完結済み 『[R18]運命の相手とベッドの上で体を重ねる』 完結 『俺たちと番の女のハネムーン[R18]』 ぼちぼち投稿中

処理中です...