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妹デートな日
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祝日の朝。
今日は久しぶり休めると思ったが、やはり俺に休日はないらしい。
昨晩、千代が突然ショッピングに行きたいと言い出した。
珍しく景も乗り気だったから、仕方なく車を出すことになったのだが。
「おい千代~、まだか~」
「まだ~、あとちょっと~」
千代はかれこれ一時間は服を選んだり化粧をしたりしている。
「兄さん、女の子をせかすのはよくないわよ」
景は20分前に起きたばかりだが、もう準備を終えて俺の隣にいる。
「景はもう少し女の子してもいいと思うんですが?」
景はばたばたしている千代を見ながら、
「私は千代ちゃんみたいに可愛くないから」
と言って、ズボンのポケットに手を突っ込んだ。
「そうかな~。俺からすれば、どっちも可愛いし似てるけどな」
「兄さんは何もわかってないわね、兄さんの癖に」
「む、俺が何もわかってないだと?」
「ええ、そういったのよ」
「ふ、ふーん。いいよ~だ」
「何を拗ねてるの」
「景ちゃん最近俺に対して辛辣過ぎませんか?」
「気のせいよ」
そんな会話をしていると千代が準備を終えたらしい。
「お待たせ―! さあ、行こう!」
一番最後に来た奴が、よく言うぜ。
「千代ちゃん、今日も可愛い」
「ありがとうお姉ちゃん!」
うん。
やっぱりどっちも可愛い。
マンションから一時間ほど車を走らせ、ようやく駅近くのショッピングモールに来た。
道中、景と千代はスマホ画面を見ながら、あそこに行こうあれを見ようと話していたのが聞こえた。
今日も荷物持ちだなと確信した時だった。
まあ、俺はこれと言ってみたいものはないからいいのだが。
「お兄ちゃん、早く!」
「ちょっとペース早くないですか?!」
今日はいつにもましてハイペースだ。
普段三人で買い物に来ると、まず俺がダウンして、その後数分して景がどこかに消える。
その対策なのか、千代は景の手をしっかり握っている。
ああ、かわいそうな景。
「これお姉ちゃんに合いそうじゃない?」
「そうかしら」
でも、こうやって二人で買い物をしているときは、本当に楽しそうだ。
高校生であれだけ日常が忙しかったら、普通の高校生がしていることなんてめったにできないんだろうな。
俺ももうすぐ卒業だし、そうなったら今みたいに、景と千代のそばで見守ってやれる時間も減るかもしれない。
「ねえ兄さん、聞いてる?」
「え? 何が?」
「やっぱり聞いてなかった! お兄ちゃんそんな顔してたもん」
景と千代は俺の目の前にいた。
二人とも、変装をしていることを除けば、普通の女子高生だ。
俺の手は自然と二人の頭に伸びていた。
「どうしたの、兄さん」
「いや、何でもないよ。さあ次行こうか!」
「めずらしくお兄ちゃんがダウンしてない。これはいけるぞ!」
その後、俺は夕方まで二人に振り回され、スマホの万歩計は5万と表示されていた。
今日は久しぶり休めると思ったが、やはり俺に休日はないらしい。
昨晩、千代が突然ショッピングに行きたいと言い出した。
珍しく景も乗り気だったから、仕方なく車を出すことになったのだが。
「おい千代~、まだか~」
「まだ~、あとちょっと~」
千代はかれこれ一時間は服を選んだり化粧をしたりしている。
「兄さん、女の子をせかすのはよくないわよ」
景は20分前に起きたばかりだが、もう準備を終えて俺の隣にいる。
「景はもう少し女の子してもいいと思うんですが?」
景はばたばたしている千代を見ながら、
「私は千代ちゃんみたいに可愛くないから」
と言って、ズボンのポケットに手を突っ込んだ。
「そうかな~。俺からすれば、どっちも可愛いし似てるけどな」
「兄さんは何もわかってないわね、兄さんの癖に」
「む、俺が何もわかってないだと?」
「ええ、そういったのよ」
「ふ、ふーん。いいよ~だ」
「何を拗ねてるの」
「景ちゃん最近俺に対して辛辣過ぎませんか?」
「気のせいよ」
そんな会話をしていると千代が準備を終えたらしい。
「お待たせ―! さあ、行こう!」
一番最後に来た奴が、よく言うぜ。
「千代ちゃん、今日も可愛い」
「ありがとうお姉ちゃん!」
うん。
やっぱりどっちも可愛い。
マンションから一時間ほど車を走らせ、ようやく駅近くのショッピングモールに来た。
道中、景と千代はスマホ画面を見ながら、あそこに行こうあれを見ようと話していたのが聞こえた。
今日も荷物持ちだなと確信した時だった。
まあ、俺はこれと言ってみたいものはないからいいのだが。
「お兄ちゃん、早く!」
「ちょっとペース早くないですか?!」
今日はいつにもましてハイペースだ。
普段三人で買い物に来ると、まず俺がダウンして、その後数分して景がどこかに消える。
その対策なのか、千代は景の手をしっかり握っている。
ああ、かわいそうな景。
「これお姉ちゃんに合いそうじゃない?」
「そうかしら」
でも、こうやって二人で買い物をしているときは、本当に楽しそうだ。
高校生であれだけ日常が忙しかったら、普通の高校生がしていることなんてめったにできないんだろうな。
俺ももうすぐ卒業だし、そうなったら今みたいに、景と千代のそばで見守ってやれる時間も減るかもしれない。
「ねえ兄さん、聞いてる?」
「え? 何が?」
「やっぱり聞いてなかった! お兄ちゃんそんな顔してたもん」
景と千代は俺の目の前にいた。
二人とも、変装をしていることを除けば、普通の女子高生だ。
俺の手は自然と二人の頭に伸びていた。
「どうしたの、兄さん」
「いや、何でもないよ。さあ次行こうか!」
「めずらしくお兄ちゃんがダウンしてない。これはいけるぞ!」
その後、俺は夕方まで二人に振り回され、スマホの万歩計は5万と表示されていた。
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