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俺のいない休日
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「ねえお姉ちゃん、やろうよ!」
「うーん、やるって言っても、なにをすればいいのか」
「それを一緒に考えるんじゃん!」
千代と景はソファーに並んで座って、そんな話をしていた。
「お姉ちゃん綺麗だから、座ってるだけでも人気出ると思うの」
「それ、需要ある?」
先日話題に上がった、YaeTubeデビュー。
珍しく休日がかぶったので、千代が景に一緒にやろうとせがんでいるのだ。
「お兄ちゃんは、なるべく仕事時の自分とギャップを出せって言ってたよ!」
「ギャップねー」
景はそう言って、千代の膝に頭を置いて寝そべる。
「私、カメラがあるとどうしても意識してしまうのよ」
「そうなんだ~。じゃあお姉ちゃんの私生活を盗撮でもすればいいかな」
「訴えるわよ」
「冗談だよ?」
千代はスマホで色んなYaeTuberを見て、自分たちにあったスタイルを探している。
「もう少しで先輩来るから、それまで待つか~」
「板谷先輩今日も来るのね。毎日いる気がするわ」
「ほんとだね」
二人が無表情で無抑揚に言ってると、インターホンが鳴った。
「噂をすれば来たね」
千代はぴょんぴょんと玄関まで行き、鍵を開けた。
「うわあ! 何その荷物!」
ドアを開けると、大量の荷物を持った板谷がいた。
大きな段ボールに、自分の姿が隠れるほど物が入っている。
そして両腕にバッグをぶら下げ、玄関をゆっくり通った。
「ふう~、疲れた。」
リビングに荷物を置いた板谷は、寝そべっていた景の腹を枕にして寝そべった。
「板谷先輩、あの荷物は?」
景が不思議そうな目で荷物を見つめながら訪ねた。
「いやあ、ついに二人がYaeTubeに足を踏み入れると聞いて、使えそうなものを持ってきたんだよ!」
千代は置かれた荷物を見回しながら、その中の一つをゆっくり指でつまみ上げた。
「これは?」
「ああ、それはマスクだよ!」
千代はそっと両手で広げてみる。
「うん、これプロレスラーとかがつけるマスクだね」
「そうだね!」
景は呆れたようにため息をつく。
千代がマスクをそっと床に置いて、次のモノを取り出した。
「これは?」
「それは眼鏡だよ!」
「どうして眼鏡?」
景が体を起こして板谷に聞く。
「なんかさ、YaeTuberって眼鏡とかサングラスのイメージない?」
どうだろう、といった表情の景。
「うん、これパーティーとかお誕生日の時にかけるやつだね」
「そうみたいね!」
今度は千代と景が同時にため息をついた。
「先輩、もしかして他のものも全部こんな感じ?」
「こんな感じが何なのかわからないけど、そんな感じだよ!」
景は時計を確認する。
「千代ちゃん、もうすぐ兄さん帰ってくるわ」
「そうだね!」
「え、どういうことですか!」
板谷はどうやらセンスがないらしい。
そう思った二人であった。
「うーん、やるって言っても、なにをすればいいのか」
「それを一緒に考えるんじゃん!」
千代と景はソファーに並んで座って、そんな話をしていた。
「お姉ちゃん綺麗だから、座ってるだけでも人気出ると思うの」
「それ、需要ある?」
先日話題に上がった、YaeTubeデビュー。
珍しく休日がかぶったので、千代が景に一緒にやろうとせがんでいるのだ。
「お兄ちゃんは、なるべく仕事時の自分とギャップを出せって言ってたよ!」
「ギャップねー」
景はそう言って、千代の膝に頭を置いて寝そべる。
「私、カメラがあるとどうしても意識してしまうのよ」
「そうなんだ~。じゃあお姉ちゃんの私生活を盗撮でもすればいいかな」
「訴えるわよ」
「冗談だよ?」
千代はスマホで色んなYaeTuberを見て、自分たちにあったスタイルを探している。
「もう少しで先輩来るから、それまで待つか~」
「板谷先輩今日も来るのね。毎日いる気がするわ」
「ほんとだね」
二人が無表情で無抑揚に言ってると、インターホンが鳴った。
「噂をすれば来たね」
千代はぴょんぴょんと玄関まで行き、鍵を開けた。
「うわあ! 何その荷物!」
ドアを開けると、大量の荷物を持った板谷がいた。
大きな段ボールに、自分の姿が隠れるほど物が入っている。
そして両腕にバッグをぶら下げ、玄関をゆっくり通った。
「ふう~、疲れた。」
リビングに荷物を置いた板谷は、寝そべっていた景の腹を枕にして寝そべった。
「板谷先輩、あの荷物は?」
景が不思議そうな目で荷物を見つめながら訪ねた。
「いやあ、ついに二人がYaeTubeに足を踏み入れると聞いて、使えそうなものを持ってきたんだよ!」
千代は置かれた荷物を見回しながら、その中の一つをゆっくり指でつまみ上げた。
「これは?」
「ああ、それはマスクだよ!」
千代はそっと両手で広げてみる。
「うん、これプロレスラーとかがつけるマスクだね」
「そうだね!」
景は呆れたようにため息をつく。
千代がマスクをそっと床に置いて、次のモノを取り出した。
「これは?」
「それは眼鏡だよ!」
「どうして眼鏡?」
景が体を起こして板谷に聞く。
「なんかさ、YaeTuberって眼鏡とかサングラスのイメージない?」
どうだろう、といった表情の景。
「うん、これパーティーとかお誕生日の時にかけるやつだね」
「そうみたいね!」
今度は千代と景が同時にため息をついた。
「先輩、もしかして他のものも全部こんな感じ?」
「こんな感じが何なのかわからないけど、そんな感じだよ!」
景は時計を確認する。
「千代ちゃん、もうすぐ兄さん帰ってくるわ」
「そうだね!」
「え、どういうことですか!」
板谷はどうやらセンスがないらしい。
そう思った二人であった。
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