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いつもの高校生活
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俺たちは自宅から徒歩十分ほどの距離にある、高敷商業高校、縮めて「高商」に通っている。
本来であれば大通りをまっすぐ行けば5分もかからず着くのだか、なるべく人混みを避けようと、遠回りをしていってるのだ。
商業高校は基本、男子が少なく女子が多い。
うちの高校は一クラス40人のうち、男子が10人、女子が30人といった比率だ。
「はいじゃあこの問題解いた人から終わり、わかりましたか?」
いつも早口で指示を出すこの先生は服部先生で、うちのクラスの簿記を担当している。
身長は低くスポーツ刈りの頭、そしていつもスラックスに、紺色のジャージを羽織っている。
「おいそこ、終わったからしゃべってるんですか?」
「あ、すみません」
「すみませんじゃないよ、はやくしろよ」
服部先生は全国的にも有名な簿記の先生で、厳しいことでも有名だ。
「ふぅ~、終わった」
俺は普段から会計の仕事などをやっていることもあり、簿記はかなり得意だ。
「日向~教えてくれよ~」
隣でわめいているのは、木部だ。
木部は卓球部で、体格がよく、性格も温厚で、クラスのマスコット的な存在だ。
「もうすぐテストだろ、少しは自分でやってみたらどうだ」
「けち」
「けちって、子供か」
キーンコーンカーンコーン――― 授業終わりのチャイムが鳴った。
「ま、今度でいっか」
「いまやれよ」
そんな雑談をしていると、うちの教室の、前の入り口からクラス全員の視線を奪う少女が入ってきた。
すらっとした体型に、きれいな黒髪。
どこか近寄りがたく、高貴さを感じさせるような雰囲気を放っている。
クラス中の人が見つめる中、その少女は俺の方に近寄ってきた。
「景ちゃん、どうしたの?」
うちの妹だ。
「兄さん、私今ピンチなの」
「え、ピンチって?」
「私、財布を忘れたの」
「はあ」
「お昼ご飯が食べられないわ」
「はあ」
「だからお金貸して」
「そんなことだと思ったよ」
俺はカバンの中から財布を取り出す。
「よお、日向妹、元気か?」
「あ、はい、元気です。えっとたしか・・・戸部先輩?」
「木部です。そろそろおぼえてね?」
「頑張ります・・」
隣で何とも平和な会話が聞こえてくるのだが。
俺は千円札を財布から取り出し、景に渡した。
「え」
「え?もしかして足りない?」
千円札を見るや否や微妙な反応をする景。
「ちがうの、その、一緒に行かない?」
「なんでだよ」
「購買のおばあちゃん、私が行くとやたら絡んでくるの。この前はお昼休みがつぶれたわ」
購買のおばあちゃんのトーク力すごいな。
「はあ、まあいいけど」
仕方ない、可愛い妹の頼みだ。
どっこいしょと重い腰を持ち上げ、教室を出ようとした時だった。
「あ、お兄ちゃん、ちょうどよかった」
「あ、千代ちゃんだ」
景がなぜか嬉しそうに言う。
「おいおい、こんなとこで日向家全員集合するなよ」
いい意味でも悪い意味でも俺らが集まると目立ってしまう。
そうでなくても、さっきから景と千代に変な視線を浴びせる男子どもににらみを利かせているのだが。
「お兄ちゃんたち、どこ行くの?」
「兄さんがお昼ご飯おごってくれるらしいわ」
「いつおごることになったんだ。お前らのが金持ってんだろ」
「え―ほんと! 私昼ごはん買ってくるの忘れちゃって、困ってたんだよね~」
「じゃあ一緒に行こ」
勝手に話が進められているが、財布を持っているのは俺だけだ。
「お兄ちゃん、早くいくよ~」
千代が景の手を引っ張っていった。
「いいな~可愛い妹が二人もいて」
木部が扉から顔だけ出してそんなことを言っている。
仕方なく俺は二人の後をついていくのであった。
本来であれば大通りをまっすぐ行けば5分もかからず着くのだか、なるべく人混みを避けようと、遠回りをしていってるのだ。
商業高校は基本、男子が少なく女子が多い。
うちの高校は一クラス40人のうち、男子が10人、女子が30人といった比率だ。
「はいじゃあこの問題解いた人から終わり、わかりましたか?」
いつも早口で指示を出すこの先生は服部先生で、うちのクラスの簿記を担当している。
身長は低くスポーツ刈りの頭、そしていつもスラックスに、紺色のジャージを羽織っている。
「おいそこ、終わったからしゃべってるんですか?」
「あ、すみません」
「すみませんじゃないよ、はやくしろよ」
服部先生は全国的にも有名な簿記の先生で、厳しいことでも有名だ。
「ふぅ~、終わった」
俺は普段から会計の仕事などをやっていることもあり、簿記はかなり得意だ。
「日向~教えてくれよ~」
隣でわめいているのは、木部だ。
木部は卓球部で、体格がよく、性格も温厚で、クラスのマスコット的な存在だ。
「もうすぐテストだろ、少しは自分でやってみたらどうだ」
「けち」
「けちって、子供か」
キーンコーンカーンコーン――― 授業終わりのチャイムが鳴った。
「ま、今度でいっか」
「いまやれよ」
そんな雑談をしていると、うちの教室の、前の入り口からクラス全員の視線を奪う少女が入ってきた。
すらっとした体型に、きれいな黒髪。
どこか近寄りがたく、高貴さを感じさせるような雰囲気を放っている。
クラス中の人が見つめる中、その少女は俺の方に近寄ってきた。
「景ちゃん、どうしたの?」
うちの妹だ。
「兄さん、私今ピンチなの」
「え、ピンチって?」
「私、財布を忘れたの」
「はあ」
「お昼ご飯が食べられないわ」
「はあ」
「だからお金貸して」
「そんなことだと思ったよ」
俺はカバンの中から財布を取り出す。
「よお、日向妹、元気か?」
「あ、はい、元気です。えっとたしか・・・戸部先輩?」
「木部です。そろそろおぼえてね?」
「頑張ります・・」
隣で何とも平和な会話が聞こえてくるのだが。
俺は千円札を財布から取り出し、景に渡した。
「え」
「え?もしかして足りない?」
千円札を見るや否や微妙な反応をする景。
「ちがうの、その、一緒に行かない?」
「なんでだよ」
「購買のおばあちゃん、私が行くとやたら絡んでくるの。この前はお昼休みがつぶれたわ」
購買のおばあちゃんのトーク力すごいな。
「はあ、まあいいけど」
仕方ない、可愛い妹の頼みだ。
どっこいしょと重い腰を持ち上げ、教室を出ようとした時だった。
「あ、お兄ちゃん、ちょうどよかった」
「あ、千代ちゃんだ」
景がなぜか嬉しそうに言う。
「おいおい、こんなとこで日向家全員集合するなよ」
いい意味でも悪い意味でも俺らが集まると目立ってしまう。
そうでなくても、さっきから景と千代に変な視線を浴びせる男子どもににらみを利かせているのだが。
「お兄ちゃんたち、どこ行くの?」
「兄さんがお昼ご飯おごってくれるらしいわ」
「いつおごることになったんだ。お前らのが金持ってんだろ」
「え―ほんと! 私昼ごはん買ってくるの忘れちゃって、困ってたんだよね~」
「じゃあ一緒に行こ」
勝手に話が進められているが、財布を持っているのは俺だけだ。
「お兄ちゃん、早くいくよ~」
千代が景の手を引っ張っていった。
「いいな~可愛い妹が二人もいて」
木部が扉から顔だけ出してそんなことを言っている。
仕方なく俺は二人の後をついていくのであった。
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