優しい闇に抱かれて

彼女との距離感…。 ウィル視点

ベッドに、
横になっても
あの少女について
あれやこれやと
考えていたら…
結局は眠れないまま
朝になった。




『…あの子の
    具合は、良くなった
    のかな…心配だな。
    大丈夫だよな…』


 『…もうそろそろ…
              起きなきゃ…』




ベッドの中で
愚図ぐずと考えこみ
悩んでいても仕方がない。
パジャマから着替えて
部屋をでた。





自分の部屋を 
出たところで、
彼女が眠る部屋を
ちらりと見やる。
ため息を、ひとつ
ついてから
階下におりた。




☆ ☆ ☆ ☆ ☆



父さんと、
母さんふたりに
朝の挨拶をしてから
二階の彼女を…
起こしに…
…来たん…
だよな…






彼女が眠る
部屋のドアを
ドキドキしながら
ノックをしても
返事が無かったから
声をかけた…
……………………
……………


返事がない！
でも…起きては…
いるようだ。


部屋の中で…
…音がする。



気になって
耳をすませば…



ベッドの、
軋む音とともに
女の子のｷｬｯｷｬｯと
嬉しそうに笑う
声が…聞こえた。






彼女の笑った
顔が見たくて、
つい…ゆっくりと
ドアを開けたら
可愛らしく笑う
その姿が俺の眼に
飛び込んできた。







ベッドの上で
ぴょんぴょん跳ねる
笑顔のあの子が…
いた…あまりにも
…可愛くて…しばし
見とれていた。
ほんの少しだけ…
と…言い訳しながら
彼女の…天使の…
無邪気に笑う
様子を…見ていた。
しばらく彼女を
眺めていて…
『…はっっ！』
とした。






『そうだったぁっ！
    …しまったぁっ…』



この子を、
この女の子を
起こして、朝食に
招くために…
俺は…来たのだった。






ベッドの上で
跳ねる…彼女の
可愛い笑顔を
…しばらくの間…
眺めていた俺は…
バツが悪くて…つい…
“ぶっきらぼう”な
愛想のない声を
かけてしまった。




「何やってんだ…お前！」