優しい闇に抱かれて

知らない世界。

今日は…風邪をひき
熱があるから、ぺったんこの
せんべい布団に潜り込んで
ふうふういい乍ら…割れるよ
うな頭痛に苦しんでいたのだ
けど…家のお手伝いをしない
私には…晩御飯は……無いら
しい…いつもの事だから…。






だから…学校だけは
体調が悪くても休みたく
ない。給食だけが安心して
食べられる食事だから…。







明日は…頑張って
学校へ行こう。休み時間に
図書室で、本が読みたい
から…苦しい…熱がまた
上がって来たの…かな。




◇ ◇ ◆ ◇ ◇





あったかい…何だろう
熱があったのに…体は…
氷を抱いて…いるみたいに
寒くて…ガタガタ震えていた
はずなのに…まさかお父さん
毛布をかけてくれたのかな。




何だろう？この手触り…
モフモフしているみたい
あっ分かった…斜め向かいの
白さんだ！





スピッツの血が、半分
入っているからよく吠えて
飼い主のおじさんに、
拳固をたまにもらっている
お馬鹿な白さんだ！






だって…モフモフ具合が
おんなじだもの…サラサラ
したちょっと長めの滑らかな
手触りが…最高。もっと触っ
ちゃお。うふふふっ…






「お前は誰だ！」


「何故…俺のベッドの
   中に居る！どこから
   俺んちに、入ってきた！」






頭の上から、降ってきた
男の子の声に…びっくりして
私は、飛び起きた！






まだぼんやりした
頭で、周りを見回すと

ここは…私の部屋ではない
初めて見る…男の子らしい
青を基調とした素敵な
お部屋だった。






そして信じられない事に

彼には、頭の上に

ピコピコ動く立派な犬耳と

モフモフした尻尾が生えて

いるのだけど…本物なの？