世界のためなら何度でも

つぼっち

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第一章、夜が明ける

T-3 アマハラ

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ハッチの中は薄暗く、しかしピカピカに磨かれていた。

「これが電灯かな。」

僕は壁にあったスイッチをかちっと押した。

すると一気に電気がつき、中が急に明るくなった。

「ひ、広っ……。」

この空間は僕の城の一階と同じくらい広かった。

しかしそんな広いのにもかかわらず何もない。

変な機械や家具とかもないし実験場や人の住処ではないんだろう。

落ちているのは球体の何かだけだった。

「なんだろうこれ。」

僕はその球体を手に取ってみる。

重くはないけど軽くはない。

そこにあるようでないような不思議な感じだ。

未知の物体なのかな。

ぺたぺたと球体を触っていると親指が球体の何かに触れた。


『ピコン!!!!』

「うるさっ!!」

僕は驚いて球体から手を離してしまった。

すると地面にぶつかった球体は振動し始め、空中に浮かんだ。

『システムダウンロード完了、アップデート完了、メンテナンス完了、現在の時間軸はT-198、目標時間軸内、計画進行率12%、早急に計画を遂行してください。』

ガシャガシャと球体だったものは形を変えていく。

側面?からは腕のようなアームが生え、中心には宝石のように輝いた目のようなものがある。

『救出感謝します。救出のお礼に何か一つなんでも願いを叶えてあげましょう。』

「え、なんでもいいの!?」

『失礼語弊があります、なんでもと言うのはあくまで仮定の話でありこの言葉が最適だと創造主が判断した結果の返答であります。現在私では不可能とされている願いは人体の蘇生です。』

「人体の蘇生は無理なんだ……。」

父さんを生き返らせることができると思ったのに。

じゃあこの願いはどうだろう。

「君の名前を教えて。」

『…………は?私は人工知能搭載高性能超小型アンドロイドですよ、人体の蘇生はできませんがその他どんなこともできますよ。例えばこの世界を支配したり純情じゃないほどの魔力を手に入れたりもできるのですよ?』

「僕別にそんなのほしくないし。」

『無欲では何も切り拓けませんよ?全く最近の若い人間ときたら、私のかつての相棒なら『とりあえず世界のてっぺん俺にくれよ。』とか言ってますよ。』

「でもそんなので手に入れたてっぺんなんか嬉しくないよ、それに君みたいな変な生き物と友達になりたいんだ。」

『…………願いを受理。私の名は【自立小型補助機】アマハラです。』

「アマハラ……いい名前だね、僕は神成かみなり極夜って言うんだ。」

『よろしくキョクヤ……ん、神成?』

「ん?そうだよ、僕の名前は神・成・極夜。」

『……計画進行率50%に上昇。』
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