256 / 281
第七章、虚う神
D-65 神器ラチョミー
しおりを挟む
「おや、今の愛の力で私の奥底で何かが目覚めたみたいですね。」
『いやどちらかと言えば愛というより狂気を感じたが。』
「これが天之川くんの言っていた神器ってやつですか。」
アレイスターは虚神の言葉を無視して右手を横に広げる。
すると魔法陣が生成され、中からドリルのような神器が出てきた。
「これが私の神器、名前はラチョミーというのですね。」
アレイスターが神器に魔力を込めるとドリルの先端がぐわんぐわんと回り始める。
『ドリル……というのかその武器は。だが突き刺す武具では我のこの霧の体には刺さらんよ。』
虚神はメルトゥナドを両手で持つ。
「普通のドリルは確かに突き刺して硬い岩石などを砕く機械、ですがこれは神器だということをお忘れなく。」
ドリルはさらに回転を早くする。
チュインチュインと甲高い音が響き渡って行く。
その様子を見た虚神はひどく怯え出した。
『回転……まさか!!』
「わたあめって知ってます?」
アレイスターはパッと短距離転移魔術で虚神がいそうな場所(霧の体なので大まかな場所しかわからない)に瞬間移動し、ドリルを突き刺す。
ドリルの先端は空を切るがだがそれでいい、アレイスターの狙いはそこではないからだ。
「廻れ。」
ドリルの回転が近くの空気を巻き取り始める。
空気を、魔力を、神器ラチョミーは回転の力で巻き取り始めた。
ラチョミーはただのドリルではない。
なんとびっくり掃除機のような昨日までついており、周りの魔力や空気を使って使用者に供給したり自身のバッテリーの糧にしたり小さく圧縮してまとめたりすることができるのだ。
「さぁ、おしまいですよ!!」
『ぐぬぅぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!』
体が霧になっていても所詮魔術であり、魔力を使って自分を霧にしているので有ればその相手から魔力を吸引すれば魔術が強制的に解除され、本当の姿が露わになるのだ。
霧が解けるとそこには男性女性どちらかわからない人型の生物が顔を出した。
アレイスターはすかさずワイヤーでぐるぐる巻きにし、身動きを取れないようにした。
『わ、我が破れるとは……。』
「この土壇場で力が覚醒したりするのも聖夜くんの……いや、ハニエルの影響なのでしょうか。」
『貴様ハニエルを知っておるのか?』
「そちらこそ知ってるんですか?」
『……しまった、口が滑ったな。』
虚神は素早くワイヤーをほどき、アレイスターが手に持っていた封印の石を自身に使う。
『敗北は認める、だが情報は喋らんぞ。くっふっふっふっふ。』
「くっ、このクソジジイめ。」
『だが、この情報にはすぐに辿り着くであろう。もう物語はすでに終・わ・り・に・向・か・っ・て・い・る・か・ら・な・。』
若干呆れた顔をするアレイスターにそう言い放ち、虚神は大人しく封印されていったのだ。
『いやどちらかと言えば愛というより狂気を感じたが。』
「これが天之川くんの言っていた神器ってやつですか。」
アレイスターは虚神の言葉を無視して右手を横に広げる。
すると魔法陣が生成され、中からドリルのような神器が出てきた。
「これが私の神器、名前はラチョミーというのですね。」
アレイスターが神器に魔力を込めるとドリルの先端がぐわんぐわんと回り始める。
『ドリル……というのかその武器は。だが突き刺す武具では我のこの霧の体には刺さらんよ。』
虚神はメルトゥナドを両手で持つ。
「普通のドリルは確かに突き刺して硬い岩石などを砕く機械、ですがこれは神器だということをお忘れなく。」
ドリルはさらに回転を早くする。
チュインチュインと甲高い音が響き渡って行く。
その様子を見た虚神はひどく怯え出した。
『回転……まさか!!』
「わたあめって知ってます?」
アレイスターはパッと短距離転移魔術で虚神がいそうな場所(霧の体なので大まかな場所しかわからない)に瞬間移動し、ドリルを突き刺す。
ドリルの先端は空を切るがだがそれでいい、アレイスターの狙いはそこではないからだ。
「廻れ。」
ドリルの回転が近くの空気を巻き取り始める。
空気を、魔力を、神器ラチョミーは回転の力で巻き取り始めた。
ラチョミーはただのドリルではない。
なんとびっくり掃除機のような昨日までついており、周りの魔力や空気を使って使用者に供給したり自身のバッテリーの糧にしたり小さく圧縮してまとめたりすることができるのだ。
「さぁ、おしまいですよ!!」
『ぐぬぅぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!』
体が霧になっていても所詮魔術であり、魔力を使って自分を霧にしているので有ればその相手から魔力を吸引すれば魔術が強制的に解除され、本当の姿が露わになるのだ。
霧が解けるとそこには男性女性どちらかわからない人型の生物が顔を出した。
アレイスターはすかさずワイヤーでぐるぐる巻きにし、身動きを取れないようにした。
『わ、我が破れるとは……。』
「この土壇場で力が覚醒したりするのも聖夜くんの……いや、ハニエルの影響なのでしょうか。」
『貴様ハニエルを知っておるのか?』
「そちらこそ知ってるんですか?」
『……しまった、口が滑ったな。』
虚神は素早くワイヤーをほどき、アレイスターが手に持っていた封印の石を自身に使う。
『敗北は認める、だが情報は喋らんぞ。くっふっふっふっふ。』
「くっ、このクソジジイめ。」
『だが、この情報にはすぐに辿り着くであろう。もう物語はすでに終・わ・り・に・向・か・っ・て・い・る・か・ら・な・。』
若干呆れた顔をするアレイスターにそう言い放ち、虚神は大人しく封印されていったのだ。
0
お気に入りに追加
24
あなたにおすすめの小説
愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ!
タヌキ汁
ファンタジー
国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。
これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。
私を裏切った相手とは関わるつもりはありません
みちこ
ファンタジー
幼なじみに嵌められて処刑された主人公、気が付いたら8年前に戻っていた。
未来を変えるために行動をする
1度裏切った相手とは関わらないように過ごす
前回は断頭台で首を落とされましたが、今回はお父様と協力して貴方達を断頭台に招待します。
夢見 歩
ファンタジー
長年、義母と義弟に虐げられた末に無実の罪で断頭台に立たされたステラ。
陛下は父親に「同じ子を持つ親としての最後の温情だ」と断頭台の刃を落とす合図を出すように命令を下した。
「お父様!助けてください!
私は決してネヴィルの名に恥じるような事はしておりません!
お父様ッ!!!!!」
ステラが断頭台の上でいくら泣き叫び、手を必死で伸ばしながら助けを求めても父親がステラを見ることは無かった。
ステラは断頭台の窪みに首を押さえつけられ、ステラの父親の上げた手が勢いよく振り下ろされると同時に頭上から鋭い刃によって首がはねられた。
しかし死んだはずのステラが目を開けると十歳まで時間が巻き戻っていて…?
娘と父親による人生のやり直しという名の復讐劇が今ここに始まる。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
全力で執筆中です!お気に入り登録して頂けるとやる気に繋がりますのでぜひよろしくお願いします( * ॑꒳ ॑*)
〖完結〗私が死ねばいいのですね。
藍川みいな
恋愛
侯爵令嬢に生まれた、クレア・コール。
両親が亡くなり、叔父の養子になった。叔父のカーターは、クレアを使用人のように使い、気に入らないと殴りつける。
それでも懸命に生きていたが、ある日濡れ衣を着せられ連行される。
冤罪で地下牢に入れられたクレアを、この国を影で牛耳るデリード公爵が訪ねて来て愛人になれと言って来た。
クレアは愛するホルス王子をずっと待っていた。彼以外のものになる気はない。愛人にはならないと断ったが、デリード公爵は諦めるつもりはなかった。処刑される前日にまた来ると言い残し、デリード公爵は去って行く。
そのことを知ったカーターは、クレアに毒を渡し、死んでくれと頼んで来た。
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
全21話で完結になります。
殿下から婚約破棄されたけど痛くも痒くもなかった令嬢の話
ルジェ*
ファンタジー
婚約者である第二王子レオナルドの卒業記念パーティーで突然婚約破棄を突きつけられたレティシア・デ・シルエラ。同様に婚約破棄を告げられるレオナルドの側近達の婚約者達。皆唖然とする中、レオナルドは彼の隣に立つ平民ながらも稀有な魔法属性を持つセシリア・ビオレータにその場でプロポーズしてしまうが───
「は?ふざけんなよ。」
これは不運な彼女達が、レオナルド達に逆転勝利するお話。
********
「冒険がしたいので殿下とは結婚しません!」の元になった物です。メモの中で眠っていたのを見つけたのでこれも投稿します。R15は保険です。プロトタイプなので深掘りとか全くなくゆるゆる設定で雑に進んで行きます。ほぼ書きたいところだけ書いたような状態です。細かいことは気にしない方は宜しければ覗いてみてやってください!
*2023/11/22 ファンタジー1位…⁉︎皆様ありがとうございます!!
【完結】実家に捨てられた私は侯爵邸に拾われ、使用人としてのんびりとスローライフを満喫しています〜なお、実家はどんどん崩壊しているようです〜
よどら文鳥
恋愛
フィアラの父は、再婚してから新たな妻と子供だけの生活を望んでいたため、フィアラは邪魔者だった。
フィアラは毎日毎日、家事だけではなく父の仕事までも強制的にやらされる毎日である。
だがフィアラが十四歳になったとある日、長く奴隷生活を続けていたデジョレーン子爵邸から抹消される運命になる。
侯爵がフィアラを除名したうえで専属使用人として雇いたいという申し出があったからだ。
金銭面で余裕のないデジョレーン子爵にとってはこのうえない案件であったため、フィアラはゴミのように捨てられた。
父の発言では『侯爵一家は非常に悪名高く、さらに過酷な日々になるだろう』と宣言していたため、フィアラは不安なまま侯爵邸へ向かう。
だが侯爵邸で待っていたのは過酷な毎日ではなくむしろ……。
いっぽう、フィアラのいなくなった子爵邸では大金が入ってきて全員が大喜び。
さっそくこの大金を手にして新たな使用人を雇う。
お金にも困らずのびのびとした生活ができるかと思っていたのだが、現実は……。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる