253 / 281
第六章、荒れる神ビーカ
D-62 荒れる神
しおりを挟む
『見せてやろう、我の時間干渉能力を!!』
途端に目の前からビーカが消えた。
器はその場に残っているが端が少し濡れていた。
『これがまず一つ、そして二つ目。』
その瞬間、天之川は真理を見た。
「!?」
真理、というのは定かではないのかもしれないが言葉では言い表せないような何かを見たのだ。
周りの時間がゆっくりに感じる。
自分の時間の速さと周りの時間の遅さで時差が生じ、頭が何を取り込んでいいのかをわからずにただただぼーっとすることしかできなくなった。
『これが我の能力だ。』
ビーカの声が聞こえたところで真理は頭から離れていった。
能力が解除されたのだろう。
この能力は…………、
「時間を加速させたのか。」
『そう。我の力は自分、又は他者の時間を加速させることができる【時間早送】。我は液体ゆえ時間が加速中にも脳は回転するが人間なら思考が止まる。そして翔の時間停止までの十秒間は体感で約100倍の1000秒(約16分)にもなる。』
「これは……まずいな。」
『さぁ加速を始めるぞ。』
天之川の時間が徐々に加速して行く。
周りの時間が遅くなって行くが脳が耐えきれず目はぼやけ、耳が聞こえにくくなる。
『黒白魔術カオスマジック』
掠れたビーカの声が聞こえる。
すると全身に焼けるような痛みがやってきた。
「うぐあっ!!!!」
死にたくなるような痛みに天之川はもがき苦しむ。
寝てる時に足がつった時、タンスに指をぶつけた時、画鋲を踏んだ時なんか比べ物にならない痛みが全身に響く。
「こうなると……思ってた!!」
天之川は痛みに耐えながらポーチから注射を取り出す。
そして、
「ぬあぁっ!!!」
自分の左腕に突き刺した。
そのまま中の液体を注入し、全身に流し込む。
「はぁ、はぁ。持ってきてよかった鎮痛剤。」
『な!?我の魔術が鎮痛剤如きに!!!』
この鎮痛剤は純度を上がるために麻薬やその他違法で危険な薬を混ぜ合わせた天之川の最大級の発明品。
使うといっときは幸福感や満足感、そして鎮痛効果があるが10分もしないうちに体が硬直し、全く動けなくなる危険な薬物だ。
「10分も有れば十分じゅうぶんさ、神器ミャミャシャン!!」
天之川の両手に巨大なガトリングガンが出現する。
「『時よ止まれ』!!」
事前に詠唱していた時間停止の準備が完了し、時が止まる。
時の加速が止まったことで視力も回復した。
「さて、蹂躙の時間だ。」
天之川がガトリングガンのエンジンをふかすとバレルが回転を始める。
そのまま銃身をビーカがすっぽりと収まった器に突きつける。
カチッ
トリガーを引くと回転したバレルから毎秒六十発の弾丸がビーカに打ち込まれる。
弾丸は神器ではないので止まった時間に固定されるがガトリングガンは容赦なく弾を打ち込む。
弾丸の雨は20分にも渡った。
「『時よ戻れ』。」
ビーカから離れたところで時間停止を解除すると弾丸同士がぶつかり合い、ビーカは叫ぶ声もないまま炸裂した。
天之川は水溜りサイズになったビーカの中に小さな宝石が出てくる。
その宝石を天之川特性のカプセルに封印する。
「荒れる神よ、ゆっくりここで眠ってくれ。」
【荒神】ビーカ(ウリエル)、封印完了
残る神二体
途端に目の前からビーカが消えた。
器はその場に残っているが端が少し濡れていた。
『これがまず一つ、そして二つ目。』
その瞬間、天之川は真理を見た。
「!?」
真理、というのは定かではないのかもしれないが言葉では言い表せないような何かを見たのだ。
周りの時間がゆっくりに感じる。
自分の時間の速さと周りの時間の遅さで時差が生じ、頭が何を取り込んでいいのかをわからずにただただぼーっとすることしかできなくなった。
『これが我の能力だ。』
ビーカの声が聞こえたところで真理は頭から離れていった。
能力が解除されたのだろう。
この能力は…………、
「時間を加速させたのか。」
『そう。我の力は自分、又は他者の時間を加速させることができる【時間早送】。我は液体ゆえ時間が加速中にも脳は回転するが人間なら思考が止まる。そして翔の時間停止までの十秒間は体感で約100倍の1000秒(約16分)にもなる。』
「これは……まずいな。」
『さぁ加速を始めるぞ。』
天之川の時間が徐々に加速して行く。
周りの時間が遅くなって行くが脳が耐えきれず目はぼやけ、耳が聞こえにくくなる。
『黒白魔術カオスマジック』
掠れたビーカの声が聞こえる。
すると全身に焼けるような痛みがやってきた。
「うぐあっ!!!!」
死にたくなるような痛みに天之川はもがき苦しむ。
寝てる時に足がつった時、タンスに指をぶつけた時、画鋲を踏んだ時なんか比べ物にならない痛みが全身に響く。
「こうなると……思ってた!!」
天之川は痛みに耐えながらポーチから注射を取り出す。
そして、
「ぬあぁっ!!!」
自分の左腕に突き刺した。
そのまま中の液体を注入し、全身に流し込む。
「はぁ、はぁ。持ってきてよかった鎮痛剤。」
『な!?我の魔術が鎮痛剤如きに!!!』
この鎮痛剤は純度を上がるために麻薬やその他違法で危険な薬を混ぜ合わせた天之川の最大級の発明品。
使うといっときは幸福感や満足感、そして鎮痛効果があるが10分もしないうちに体が硬直し、全く動けなくなる危険な薬物だ。
「10分も有れば十分じゅうぶんさ、神器ミャミャシャン!!」
天之川の両手に巨大なガトリングガンが出現する。
「『時よ止まれ』!!」
事前に詠唱していた時間停止の準備が完了し、時が止まる。
時の加速が止まったことで視力も回復した。
「さて、蹂躙の時間だ。」
天之川がガトリングガンのエンジンをふかすとバレルが回転を始める。
そのまま銃身をビーカがすっぽりと収まった器に突きつける。
カチッ
トリガーを引くと回転したバレルから毎秒六十発の弾丸がビーカに打ち込まれる。
弾丸は神器ではないので止まった時間に固定されるがガトリングガンは容赦なく弾を打ち込む。
弾丸の雨は20分にも渡った。
「『時よ戻れ』。」
ビーカから離れたところで時間停止を解除すると弾丸同士がぶつかり合い、ビーカは叫ぶ声もないまま炸裂した。
天之川は水溜りサイズになったビーカの中に小さな宝石が出てくる。
その宝石を天之川特性のカプセルに封印する。
「荒れる神よ、ゆっくりここで眠ってくれ。」
【荒神】ビーカ(ウリエル)、封印完了
残る神二体
0
お気に入りに追加
24
あなたにおすすめの小説
村人Aが勇者の裏で、
ヤマノ トオル
ファンタジー
「号外!!号外!!」
伝書係が大声をあげて村中を駆け回る。
その紙面にはこう書かれていた。
[勇者様、魔王城へ向けて出発]
昨今、魔物の悪行が繰り広げられているこの世の中を変えるため、セイギーノ王国の王子様であるフラペチーノ様が魔王討伐のために城を出られたとのことだった。
遂にこの日がやってきた。
その号外を読んだタイクーツ村の村民であるアッパレーは心躍らせていた。
フラペチーノ様は生まれた瞬間から魔王討伐のために育てられている、と聞かされたことがあった。
勉学、武術、剣術、魔術、、、その全てを魔王を倒すために叩き込まれているのだ。
誰もがフラペチーノ様が魔王を倒してくれると期待していた。
だが、アッパレーだけは違った。
魔王討伐のために鍛錬を積むフラペチーノ様の存在を知った数年前から、アッパレーも鍛錬を始め、今日この日を待ち侘びていたのだ。
「勇者様と共に、魔王討伐に行ってきます!」
アッパレーは大きな木こり斧を担いで、広場に集まる村人たち達に対し、声高らかに言い放った。
この物語は愚直な村人アッパレーが魔王討伐に向かう勇者様御一行を追いかけ、奇跡を起こす心温まるファンタジーです。
錬金術師始めました
頭フェアリータイプ
ファンタジー
全ての人類が職業(ジョブ)を持つ世界。戦闘職、補助職、そして生産職。多種多様な職業の中で生産職の上級職、錬金術師(アルケミスト)を持つ少女が自分の店を持つことを目指して冒険者をする話。
前作はたくさんの応援ありがとうございました。残念ながら完結となりました。今回はエール1につき1話更新とします。お気に入りが8入るなら1人くらい広告見てくれないかなという下心です。してくださるととても喜びます。1日3回できるのでぜひ他所様でもして差しあげてください。広告収益は100%還元されるそうです。
運命の糸の先に
hayama_25
恋愛
梨華と瑞稀は幼馴染で、いつも一緒に過ごしてきた。大人になってもその距離は変わらず、二人は隣同士の部屋に住んでいる。
梨華は瑞稀のことをただの幼なじみだと思っていたが、次第に彼への想いが変わっていくことに気づく。
そんな中、瑞稀の元カノが突然現れ、二人の関係に波風が立つ。梨華は自分の気持ちに正直になりたいと思うが、瑞稀の心がどこに向かっているのか分からず、不安と葛藤の日々を過ごす。
二人はすれ違いながらも、運命の糸に導かれ、真実の愛を見つけることができるのか。
王女殿下のモラトリアム
あとさん♪
恋愛
「君は彼の気持ちを弄んで、どういうつもりなんだ?!この悪女が!」
突然、怒鳴られたの。
見知らぬ男子生徒から。
それが余りにも突然で反応できなかったの。
この方、まさかと思うけど、わたくしに言ってるの?
わたくし、アンネローゼ・フォン・ローリンゲン。花も恥じらう16歳。この国の王女よ。
先日、学園内で突然無礼者に絡まれたの。
お義姉様が仰るに、学園には色んな人が来るから、何が起こるか分からないんですって!
婚約者も居ない、この先どうなるのか未定の王女などつまらないと思っていたけれど、それ以来、俄然楽しみが増したわ♪
お義姉様が仰るにはピンクブロンドのライバルが現れるそうなのだけど。
え? 違うの?
ライバルって縦ロールなの?
世間というものは、なかなか複雑で一筋縄ではいかない物なのですね。
わたくしの婚約者も学園で捕まえる事が出来るかしら?
この話は、自分は平凡な人間だと思っている王女が、自分のしたい事や好きな人を見つける迄のお話。
※設定はゆるんゆるん
※ざまぁは無いけど、水戸○門的なモノはある。
※明るいラブコメが書きたくて。
※シャティエル王国シリーズ3作目!
※過去拙作『相互理解は難しい(略)』の12年後、
『王宮勤めにも色々ありまして』の10年後の話になります。
上記未読でも話は分かるとは思いますが、お読みいただくともっと面白いかも。
※ちょいちょい修正が入ると思います。誤字撲滅!
※小説家になろうにも投稿しました。
私はお母様の奴隷じゃありません。「出てけ」とおっしゃるなら、望み通り出ていきます【完結】
小平ニコ
ファンタジー
主人公レベッカは、幼いころから母親に冷たく当たられ、家庭内の雑務を全て押し付けられてきた。
他の姉妹たちとは明らかに違う、奴隷のような扱いを受けても、いつか母親が自分を愛してくれると信じ、出来得る限りの努力を続けてきたレベッカだったが、16歳の誕生日に突然、公爵の館に奉公に行けと命じられる。
それは『家を出て行け』と言われているのと同じであり、レベッカはショックを受ける。しかし、奉公先の人々は皆優しく、主であるハーヴィン公爵はとても美しい人で、レベッカは彼にとても気に入られる。
友達もでき、忙しいながらも幸せな毎日を送るレベッカ。そんなある日のこと、妹のキャリーがいきなり公爵の館を訪れた。……キャリーは、レベッカに支払われた給料を回収しに来たのだ。
レベッカは、金銭に対する執着などなかったが、あまりにも身勝手で悪辣なキャリーに怒り、彼女を追い返す。それをきっかけに、公爵家の人々も巻き込む形で、レベッカと実家の姉妹たちは争うことになる。
そして、姉妹たちがそれぞれ悪行の報いを受けた後。
レベッカはとうとう、母親と直接対峙するのだった……
【完結】聖女の手を取り婚約者が消えて二年。私は別の人の妻になっていた。
文月ゆうり
恋愛
レティシアナは姫だ。
父王に一番愛される姫。
ゆえに妬まれることが多く、それを憂いた父王により早くに婚約を結ぶことになった。
優しく、頼れる婚約者はレティシアナの英雄だ。
しかし、彼は居なくなった。
聖女と呼ばれる少女と一緒に、行方を眩ませたのだ。
そして、二年後。
レティシアナは、大国の王の妻となっていた。
※主人公は、戦えるような存在ではありません。戦えて、強い主人公が好きな方には合わない可能性があります。
小説家になろうにも投稿しています。
エールありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる