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つぼっち

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第九章、全てを喰らう大悪魔

#55 二人の裁人

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「指輪5個ってことはお前が最後の裁人か。」

「そうさ、強欲が怠惰と色欲を殺してくれたおかげで集めるのが早かったよ。」

「そうか、じゃあこれで勝った方が魔神になれるのか。」

「そういうことだ。俺はさらなる強さのため、グラトニー、お前を殺す。」

「俺も同じだ。」

そう言って互いに剣を抜く。

相手は大剣か。

「おいグラトニー。あいつからただならぬオーラが放たれている。油断するなよ。」

「わかった、気は一切ゆるまさない。」

両者ともに睨み合ったまま動かない。

傲慢だからと言って無闇にハンデをくれたりはしないのか。

まぁそっちの方がフェアでいいけど。

「じゃあいくよ。」

プライドがそう言った途端、プライドの指輪の一つが光ったようなきがした。

「ぐおっ!?」

急に俺の体が重くなった。

「なんだこれ!?」

足がプルプルと震え、汗が大量に出てくる。

立っているだけできつい。

「これが傲慢の力。まぁ俗に言う重力操作ってやつだね。」

「親切にどうも!」

「それにしてもすごいね。3倍の重力をかけてるのにつぶれないなんて。」

「そりゃどうも。」

正直限界だけどな。

「効かないんだったら仕方ない。次の作戦で行くか。」

そう言うとまたプライドの指輪が光る。

すると、今度はプライドが視界から消えた。

「ここだよ。」

気づいたときにはすでに背後に回られ、大剣を振り下ろされていた。

ズゥゥン!!!

「あぶねっ!!」

俺はとっさに真剣白刃取りで大剣を捕まえる。

「なかなかにしぶといね。」

そういうとまた指輪が光り、大剣がずしりと重くなった。

「重力操作か!!」

「そそ。」

プライドは剣を引き、また俺の視界から消えた。

「どこいった?」

「グラトニー!!横だ!!」

ベルゼブブが言った時、俺は大剣でなぎはらわれていた。

とっさにベルゼブブを使ってガードはしたがどういうわけか思いっきり吹っ飛んだ。

「強っ!!」

「怠惰の速度と傲慢の重力操作、さらに憤怒で筋力強化。この組み合わせは結構強いな。」

俺は吹っ飛ばされながら考える。

やられてばっかじゃカッコつかないな。

どうしようか。

「俺を忘れてないか?」

ベルゼブブが声をかける。

「とは言ってもその姿でなにができるんだ?」

「そうだな。この世の害虫全てを操れたりは人間に悪魔崇拝を促せたり性欲を爆発させたり争いを唆したり、後は嫉妬心を生み出したりだな。元の姿に戻れればもっとすごいことができるんだがな。」

「元の姿?」

「それは後で話すとして、どうする?」

「うーん、害虫ってゴキブリ系モンスターも操れる?」

「可能だが。」

「オッケー、作戦が立てられた。」
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