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つぼっち

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第六章、山すらも揺るがす竜

#37 吊人と星

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「ふむ、竜が死んだとの報告を受けてこちらに来てみたのですがまさか裁人までいるとは。」

星が頭をぽりぽりとかき口を開く。

「僕たちとしては別に戦いたくないのでここはひとつ身を引いていただけませんか?」

「は?」

「ですから僕たちは女神を殺してくれる貴方達がいた方が助かるのですが女神から竜の素材を持って帰れというのは指令を受けた以上手ぶらでは帰れないのですが。」

「いやいや、俺たちは女神を殺そうとしてるんだぞ、止めないのかよ。」

「止めませんよ、私たちは女神のこと大嫌いですからね。」

「じゃあなんでお前らは女神についてるんだよ。」

素朴な質問をすると今度は吊人が答える。

「私たちは別に好きで女神の手下をやってるわけじゃないのよ。 タロットは女神が気に入ったものだけを入れる組織、しかも女神が勧誘したら絶対に断れない。 断れば死ぬ呪いをかけられてるからね。 だから早く女神を殺して楽にして欲しいってわけ。 ただ今回の任務は竜の肉を回収するだけ、君を殺すって命令はないから捉えない、ただそれだけよ。」

吊人がつらつらと長文で答えてくれた。

本当に信用していいんだろうか。

でも戦ったところでミルドとゼロは消耗してるし俺とハジメだけで戦うのは無理だろうから大人しく身を引くしかないか。

「わかった俺たちは身を引こう。」

「本当? ありがたいな!! じゃあ竜の肉だけは貰っていくね。」

そう言って魔術で肉を回収した後、テレポートでどこかへ消えていった。

「グラトニー、賢明な判断だった。」

「あぁ、マジであいつらはやばい。」

吊人の方はわからないが星は間違いなくやばい。

最初の光の矢、1キロ以上離れた場所から撃ってきた。

普通魔術は100メートルもいったらすごい方なのにそれの10倍もの飛距離を出していた。

それにしてもタロットは女神が勧誘しただけで心までは忠誠心を誓ってないのか。

セイギはどうなんだろう。

あいつにも会いたいな。



俺たちは竜を倒した後、竜の血と骨を少しもらって国に帰ってきた。

ハジメも一緒にいこうといったのだがハジメは魔王としての仕事があるのと誰かさんのせいで城がボロボロになったからその修理をすると言っていた。

もらった竜の血だけど俺では使うことができないのである店で売ることにした。

俺は店の扉を開ける。

店はボロボロで蜘蛛の巣だらけ。

店に並んでいるのは何かの目玉や脳みそのホルマリン漬けなど。

そしてレジには緑色のボロボロのフード付きローブをきた青年がぐったりと顔を伏せて座っていた。

「ヘーイらっしゃーい。」

店員はやる気のなさそうに挨拶をする。

「おーい、俺だよ俺。グラトニーだよ。」

「んあ? あー、君か。 」

店員はむくりと顔を上げた。
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