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第三章
3-3.
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それにしても、アーティはいつもこんな話をしてるんだね……。大変だっただろうなぁ。
「お疲れ様でございました」
エリザベートが声をかけてくれた。
「ありがとう」
本当に助かったわ。
「あの叔母様を相手にするのは骨が折れるでしょう」
「そうなんだよー。もう、やめたい……けれど、アーティは進んでこの役をやっているのよね」
「相性の問題かと思います」
「そうね。それもあると思うけど」
「他に何がございます?」
「ううん。なんでもない。それより、次はどこに行くのかな?」
「本日はもう何も予定は入っておりません。王宮でゆっくりとお休みくださいませ」
「わかった。そうする」
「では、こちらへ」
私は、案内されるままについていった。
「おはよう、アーティ」
なぜかというか、半ば必然というか、ジェフが現れた。王家の一族やらその周辺やらが、王宮の中で歩き回っているのは不思議じゃない。そもそも、ここは我々王家の仕事場なのだから。本家だと住居も兼ねるから、王女であるリリィはここの敷地内で暮らしている。婚約者であるリリィ(外側は私、中身はアーティ)のところを、ジェフが訪れるのは日常的なことだ。仕事しろ、とは思うこともあるけれど。
「ごきげんね、ジェフ。何かよいことがあったの?」
「ああ、聞いてくれ。リリィとの正式な結婚を早めることにした。来月中には式を挙げるつもりだ」
はぁ?
「リリィは同意したの?」
「いやあ、そのことなんだが、実は……」
と言って話してくれた内容は結構衝撃的で、書くのもはばかられるけれど、書いてしまうと、要するに結ばれてしまったらしい。リリィがOKしたってジェフは言っているけれど……。
なんてことしてくれたのよ!あの女!私の体使って、ああ、折角の清らかな体だったのに、それを中身の本人の知らないところで散らしてしまうなんて!
私は動揺を隠せず、まともに喋ることができなかった。
「それは、おめ、おめ、……いやぁ!」
思わずその場を走り去ってしまったのだった。
「お疲れ様でございました」
エリザベートが声をかけてくれた。
「ありがとう」
本当に助かったわ。
「あの叔母様を相手にするのは骨が折れるでしょう」
「そうなんだよー。もう、やめたい……けれど、アーティは進んでこの役をやっているのよね」
「相性の問題かと思います」
「そうね。それもあると思うけど」
「他に何がございます?」
「ううん。なんでもない。それより、次はどこに行くのかな?」
「本日はもう何も予定は入っておりません。王宮でゆっくりとお休みくださいませ」
「わかった。そうする」
「では、こちらへ」
私は、案内されるままについていった。
「おはよう、アーティ」
なぜかというか、半ば必然というか、ジェフが現れた。王家の一族やらその周辺やらが、王宮の中で歩き回っているのは不思議じゃない。そもそも、ここは我々王家の仕事場なのだから。本家だと住居も兼ねるから、王女であるリリィはここの敷地内で暮らしている。婚約者であるリリィ(外側は私、中身はアーティ)のところを、ジェフが訪れるのは日常的なことだ。仕事しろ、とは思うこともあるけれど。
「ごきげんね、ジェフ。何かよいことがあったの?」
「ああ、聞いてくれ。リリィとの正式な結婚を早めることにした。来月中には式を挙げるつもりだ」
はぁ?
「リリィは同意したの?」
「いやあ、そのことなんだが、実は……」
と言って話してくれた内容は結構衝撃的で、書くのもはばかられるけれど、書いてしまうと、要するに結ばれてしまったらしい。リリィがOKしたってジェフは言っているけれど……。
なんてことしてくれたのよ!あの女!私の体使って、ああ、折角の清らかな体だったのに、それを中身の本人の知らないところで散らしてしまうなんて!
私は動揺を隠せず、まともに喋ることができなかった。
「それは、おめ、おめ、……いやぁ!」
思わずその場を走り去ってしまったのだった。
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