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プロローグ ワルプルギスの夜に
EP.V 深夜、村長の会談、真相
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この空には、昔から伝わる存在がいる。
ある者は雲だという。ある者は神だという。ある者は怪物だという。
ある者は鯨のように見えるという。
ある者は陽炎のように見えるという。
ある者は何も見えないという。
その雲は空を覆っても、雨を降らすことはない。
その影は太陽を覆っても、光を遮ることはない。
その存在は天高く、空の向こう側に住んでいて、何かを食べている。
私たちが見ているのが実体なのか。
私たちに見えているのが影なのか。
本当にこの世界に存在するものなのか。
それは誰にもわからないのだった。
けれど、確かに、そこに何かがいるのだった。
無限回廊書架 DDC. 753
――フィシオロゴス 第十七章『アスピドケロンの伝説』 - A.D. 178
造り付けの燭台に火が灯される。丸太で組まれた壁や柱はやわらかな蝋燭の炎によってその立体的な陰影をより一層際立たせる。床には少し毛足の長い絨毯が敷いてあり、雑音や反響が絨毯に吸収されるためか、外の喧騒に比べて、村長の部屋は一段と静かで厳粛な緊張感に満ちていた。燭台にゆらめく炎が映し出す皆の顔は、あたかもその動揺を映し出すかのように炎と同じにゆらめいて見えた。
村長の部屋には、僕と父さんと村長の他に、村長が呼んだのか、先程から薄い水色のワンピースを着た少女が同席していた。
「……まったく、慌ただしいことよの。今日はもう祭りの務めを果たしたからと休ませておったのじゃが、お主の話が真なら、この娘にも話さないわけにはいくまいて」
「悪いね、じいさん。何せ僕もこんなことになるとは思っていなかったんだ。……あぁ、心配するなコーダ。別にお前が何か悪いことをしたってわけじゃないよ」
「して……、あらためて紹介しておこうかの。この村の巫を務める孫娘のロースマリーじゃ。ほれ、ロースマリー、挨拶しなさい」
「はい、お爺様。皆様こんばんは、ロース=マリー・ルンドクヴィストと申します。グレーゲルお爺様の孫にございます。今年も沢山の祈りをありがとうございました。どうぞマリーとお呼びください」
そう言って彼女はスカートの裾を手で持って、小さく広げながらお辞儀をした。彼女は今日の祭りの、巫女という大役をこなした少女、その人だった。儀式用の衣装から普段着に着替えているため、儀式の時の神秘的な姿とまた違って、年相応にあどけなく見えた。絹の錦のようになめらかな黒髪がお辞儀に合わせて流れていた。その姿は本当に、風にそよぐ草原の迷迭香のように淡く儚く、そしてとても高貴に見えた。その姿に見惚れていると、隣りに座っている父さんから肘でつつかれた。
「ほら、お前も挨拶しなさい」
「……え? あ、うん。僕はコーダ。コーダ・リンドグレンです。今日はパ……、と、父さんに連れられてきました」
普段と呼び方を変えたことに、父さんは(おやぁ…?)という顔をして、その後なにか得心がいったかのように(なるほど、なるほど)などと呟きながらニヤついていた。
……何かどうも良くない誤解をしているような気がする。別に彼女のことを意識して子供っぽい言動を改めようとしたなんてことでは決してない。彼女がとても端正で大人びた挨拶をしたものだから、僕だけ子供っぽい感じは出したくなかったのだ。そう、ただ単にこの雰囲気に合わせて大人っぽい言動を心がけているだけで、彼女のことを意識したなんてことはない。違うったら違う。って、ええい誰に言い訳しているのだ僕は。
――ふと、彼女の方を見やると目が合ってしまい、向こうから微笑みかけられた。やっぱり彼女のことを意識してるだなんてことはないんだ、と自分になんとか言い聞かせながらも、でも今の笑顔は可愛かったなぁなんて考えていると、どうにも顔が緩んできそうになるので、思わず僕は顔に力を入れて目を逸らしてしまった。
「さて、コーダよ。悪いがちょっと話を聞かせてくれんかの。おぬしが祭りで何を見たのか。――そして、何が視えたのかを」
「……う、うん」
ここからは真面目な話だと、少し背筋を伸ばして気を引き締めた。まだ僕自身も何が起こったのかは分かっていないから、うまく説明できるかどうかは分からなかったけれど、拙くも訥々と話し始めた。どう話せばよいかと迷っていたのは初めのうちだけで、話していると不思議とすらすらと起こった出来事を説明できていた。
ℵ
――最初に見たのは、白い光の玉と黒い光の玉だった。燃え盛る篝火の上で踊るように浮かぶその一対の光が、僕を見つけた途端に身体の中に入ってきた。
気がつくと僕は時間の停止した世界にいて、神様の使いだと名乗る双子の少女から権限と資源というものを与えられた。彼女たちは神様の実験のためだと言っていたが、権限と資源が何なのかは分からなかった。
そこから戻ってきた僕は、元の世界ではなく、異世界にやって来たのかと錯覚するほどに、見えている景色が一変してしまっていた。ヨァトゥロンにように煌々とオレンジ色に輝いていた篝火は、ブローバーシャフをこぼしたように暗紫色に染まっていた。そして父さんが持っていた鶏の卵が、その中にまるで太陽を宿してしまったかのように黄金色に輝いていた。
その黄金色の光はまるで磁石で吸い寄せられるかように、暗紫色の邪悪な炎を中和していき、村中から集まった聖なる光で、篝火にまとわりつく禍々しい炎は無事に消火―この場合は昇華と言ってもいい―されたのだった。
そうやって消えていった瘴気の残骸が、火の粉のさらに欠片のような微粒子となって空に昇っていくのを眺めていると、夜空の帳の向こう側に、空を泳ぐ巨大な影がゆらりと現れて、それらを一口に食べてしまったのだった。そしてそのまま何食わぬ顔で雄大に泳ぎながら、その大きな鯨は空を去っていった。
……それが、今日見た―いや、視えたと言うべきか―僕のすべてだった。
ℵ
僕が話し終わったあと、村長はしばらく無言だった。村長だけでなく、父さんもまた何も口を開かなかった。自分ではうまく説明できたつもりだったが、伝わらなかったのだろうか。それとも信じてもらえていないのだろうか。一抹の不安を胸にちらりとロースマリーを見てみると、目をらんらんとさせていて――
「すごい……、やっぱり虚数の海のアスピドケローネは本当にいたんだ……。おとぎばなしじゃなかったんだ! それに神様の使いなんて初めて聞いた! ねぇねぇ、どんな子だったの!?」
……唐突にまくしたてるように前のめりに話すロースマリーの豹変ぶりに、先程までのおしとやかで物静かな面影はどこへやら。疑いもせずにそんなに興奮するなんて、今の話がそれほど面白かったのだろうか。
「これ、ロースマリー、少し落ち着きなさい」
「――はっ! これは失礼いたしました」
村長にたしなめられて、ロースマリーは猫をかぶり直していた。けれどもおかげで場の空気が少し緩んだ気がする。それを受けてか、ずっと険しい顔をして話を聴いていた村長がようやく話し始めた。
「…成程、にわかには信じがたい話じゃが、これは少々厄介なことになっておるようじゃ」
「僕も自分で連れてきておいてなんだが、ここまでとは思わなかったよ…。禊の光が見えた、という話しか聞いていなかったからね」
「どうやらこれは、エーテルの加護なんて話ではすまなさそうじゃが…」
「あぁ…、爺さん、そのことなんだけどな」
父さんが村長の話を止めて神妙な面持ちで話しかけた。
「どうもコーダにはもともと四大元素魔法の全属性の魔力が見えているようなんだ」
「ぶっ…!」
――ひゅんっ!
村長が吹き出した瞬間、白い何かが僕の頭上を越えて部屋の隅へ飛んでいった。
「なんたる非常識な技能じゃのぅ…」
「そ、村長、歯が…」
どうやらあまりに驚いて勢い良く吹き出してしまったために、村長のどこかの歯がすっぽ抜けてさよならバイバイしてしまったようだ。僕のことよりも歯が抜けてしまった衝撃のほうが大きかったようで、村長が平常心を取り戻すまで、少々時間を要した。
「――さて、コーダよ」
何事もなかったかのように話し始めた!
「お前さんの状況を説明するためにも、まずはヴァルボルグスの魔法儀式の真実について教えておこう」
そうして語られたのは、歴史で決して表沙汰にされることのない、小さな村の秘匿された魔法儀式とそれにまつわる人の営みだった。
ℵ
――そしてかれこれ、一刻半が過ぎた。
「………」
過去にどのようにして祭りが始まり、今に至ったのか。その起源から紡がれてきた人の営みを時代背景を交えて臨場感たっぷりに語る村長。この話は一体いつ終わるんだろうか…。ロースマリーなんて目を閉じて瞑想…いや、寝ているな、あれは…。
ℵ
「…さて、昔話はここまでじゃ。前置きが長くなってしまったが、ここからが本題じゃ。お前さんの能力について、儂の分かる範囲で説明しよう」
「ちゃんと話は聞いていたか?」
「う、うん…大丈夫だよ、父さん」
長話が終わったのを察知したのか、いつの間にかロースマリーは目を覚ましていた。おそらくロースマリーは何度もこの話を聞かされて育っているんだろう。それだけでも巫女って大変なんだな、と思ってしまうのだった。
「まず、順を追って話そう。コーダ、お主は生まれつき魔力の流れが視えると言ったな。今日視た黒い篝火と、禊の卵の黄金の光もはじめから視えておったのか?」
…そういえば、そんな風に見えるようになったのは双子の精霊に何かをされてからだった。
「ううん、違うよ。神様の精霊という人(?)たちが僕に何かをくれるって言ったんだ。ロールとリソースって言ってたけど、最初は別に変わったところなんてなかったんだ」
「ふむ、やはりの。こりゃ厄介じゃわい…」
白髪の鬚を撫でながら村長は深くため息をついたのだった。
「よいか、既に知っておるとは思うが、魔法というのは四大元素によって成り立っておる。空気、火、土、水、これら四つの元素がお互いに反応しあって様々な現象を起こしたり、結合して様々な物質になったりしておる。じゃがしかし、世の中には、元素のように何かの物質を作ったりするわけでもないのに、しかし魔力としてきちっと存在するマナがあるのじゃ」
「それって、触ったり感じたりはできないのに、そのあたりに湧いてたりするってこと?」
「左様。それが、光属性、闇属性と呼ばれるマナで、これは魔力というよりも霊力と表現すべき類のマナなのじゃ。巫女や修道女のように特殊な訓練を長年積んで、ようやく光のマナをある程度操られるようになるんじゃが、普通はそれらのマナを感知することすらできないんじゃ」
へぇ~、変わったマナもあるもんだ。
物質ではないのに確かに存在はしている?
存在はしているのにこの世界にはない?
この世界にはないのにどこからか湧いてはきている? どこから?
フシギ!
「霊力と呼んで差し支えないと言ったじゃろう? この世界になく、この世界に隣接している別の世界から流れてくるマナなのじゃ。つまり、これらの魔力は死者の世界から流れてきておる」
「死者の、世界……」
「あるいは天上、神の世界でもよい」
「か、神の世界…。あっ! そう言えばあの双子の精霊も神様の命令で来たって言ってた!」
だけどそんなものが本当に存在するのだろうか。
たしかに特殊な魔力が流れてきているのは本当だ。
この世界から見ることも、触ることも、自由に行き来することもできないのに、けれどもこの世界に隣り合った世界があるという。
一体、世界が隣り合うってどういうことだろう?
例えば、隣り合った部屋を行き来するためにはどうすればいいだろうか。
隣の部屋へのドアを開ければいい。
例えば、自分の家から隣の家に行くにはどうすればいいだろう。
一度自分の家を出て、道を歩き、隣の家の玄関をくぐる。
じゃあ世界から世界へ行くには?
隣の世界への扉を開くか、一旦自分の世界を出るかしなくちゃならない。
どっちも難しそうだ…。
「つまりコーダは、四大元素に加えて、光と闇、の六属性の魔力が視えるようになったということじゃが、話はそれだけでは終わらんのじゃ」
「……どういうこと?」
すると急に水を得た魚のようにロースマリーが目を輝かせはじめた。
「アスピドケローネ! あなたは見たんでしょ!? 大空を海のごとく優雅に泳ぐ、大きなクジラの姿を!」
水を得たクジラのように両手を大きく広げて雄大な姿を真似するロースマリー。もしかして、この話が聞きたいがためにあんな退屈な昔話でも文句一つ言わずに黙って聞いていたんだろうか。
「さ、さっきも言ってたけど、あれって一体何だったの?」
「こほん。あれはですね、星の精霊と言われています」
「星の精霊…」
「そう、死者の魂を現世から冥界に運ぶ役割をしているだとか、神様のペットだとか、文献にも伝承にも色々な説があります。けれどもほとんど見たことのある人がいないんです。数百年に一度、夜に突然満月が欠けることがあるのは、アスピドケローネが月の前を横切ったからだと言われています。この伝承は実に古く、今から千年以上前の世界最初の百科事典とも言われる『フィシオロゴス』にもこの記述は見つけることができ…」
「ちょ、ちょっと待って! わ、わかったから…」
「……む~。何がわかったと言うんですの?」
「い、いや、だから…すごい伝説の生物に会えたことに感動しているというか太古のロマンを感じたというか…」
……なんて適当に弁解したものだから、
「わぁっ! ですよね! あなたとても話が分かるのね!」
と、言って興奮のあまり急にロースマリーが抱きついてきた。
「わ、わ、わ」
肩口から流れる髪がふわりと舞って、やわらかなハーブのような匂いがした。ラベンダーの香りだろうか。そんな風に嗅覚にでも意識を集中していないと、これはちょっとマズい。一度でも触覚の方に意識を配分してしまったら、薄手のワンピースに包まれたそのやわらかな体の感触をダイレクトに感じてしまって…って言ってるそばからそんなことを考えてしまう。とりあえず意識をシャットアウトしないと、と思うあまり、語彙力まで疎かになってしまい、まともに喋ることができない。
「これ、ロースマリー。少しは落ち着かんか」
「あら、いけない。これは失礼しました」
グレーゲル村長の言葉で我に返ったロースマリーはそそくさと席に戻っていった。何でもなかったかのように座って、僕の方を見て微笑んでいる。一方、僕の方はまだ気が気でないまま意識が正常に落ち着かない。どうせ父さんは楽しんでいるだけだろうから、父さんの方はあえて見ないようにしている。
どうやらマリーは自分の興味のあることとなると、途端に我を失ったように夢中になるようだ。
「話を戻そう」
僕はその言葉に居住まいを正して、村長に向き直った。
「お前さんの見たという巨大な鯨の影は、アスピドケローネと呼ばれる星の精霊の姿じゃ」
「ああ、それがさっきから…ロ、ロースマリー…さん、の言っている…」
「マリーよ」
「マ、マリーさんの言っている…」
「マリーよ」
「マリーの言っている…」
話が進まない!
村長も黙って見てないで助け舟!助け舟!
「彼奴はこの世界と別の世界の狭間を泳ぎ、さまよう魂魄を食らって生きておる」
あぁ…やっぱり何事もなく話しはじめたよ…。
もしかしてこの家庭ではこれが平常運転なのかな…。
「じゃがこの精霊はかなり特殊な場所に住んでおり、普通の人間には見えないのじゃ。そりゃそうじゃろう? お前さん、この世界の裏側に別の世界があると言って、信じられるか? この世界と裏の世界の間の隙間に、何かが住んでいるなんて話、しかもそれが見える人間なんてほとんど居ない」
「そう言われれば確かにそうなんだけど…。だったらどうして僕には見えたの?」
「この絵空事のような話、まじめに研究しようとする学者なぞおらんのでな、詳しいことは分からんのじゃが、おそらく虚数のマナも見えるようになってしもたんじゃろう」
「虚数のマナ…?」
「マジかよ…」
僕にも父さんにも、それはもはや未知の領域だった。
ある者は雲だという。ある者は神だという。ある者は怪物だという。
ある者は鯨のように見えるという。
ある者は陽炎のように見えるという。
ある者は何も見えないという。
その雲は空を覆っても、雨を降らすことはない。
その影は太陽を覆っても、光を遮ることはない。
その存在は天高く、空の向こう側に住んでいて、何かを食べている。
私たちが見ているのが実体なのか。
私たちに見えているのが影なのか。
本当にこの世界に存在するものなのか。
それは誰にもわからないのだった。
けれど、確かに、そこに何かがいるのだった。
無限回廊書架 DDC. 753
――フィシオロゴス 第十七章『アスピドケロンの伝説』 - A.D. 178
造り付けの燭台に火が灯される。丸太で組まれた壁や柱はやわらかな蝋燭の炎によってその立体的な陰影をより一層際立たせる。床には少し毛足の長い絨毯が敷いてあり、雑音や反響が絨毯に吸収されるためか、外の喧騒に比べて、村長の部屋は一段と静かで厳粛な緊張感に満ちていた。燭台にゆらめく炎が映し出す皆の顔は、あたかもその動揺を映し出すかのように炎と同じにゆらめいて見えた。
村長の部屋には、僕と父さんと村長の他に、村長が呼んだのか、先程から薄い水色のワンピースを着た少女が同席していた。
「……まったく、慌ただしいことよの。今日はもう祭りの務めを果たしたからと休ませておったのじゃが、お主の話が真なら、この娘にも話さないわけにはいくまいて」
「悪いね、じいさん。何せ僕もこんなことになるとは思っていなかったんだ。……あぁ、心配するなコーダ。別にお前が何か悪いことをしたってわけじゃないよ」
「して……、あらためて紹介しておこうかの。この村の巫を務める孫娘のロースマリーじゃ。ほれ、ロースマリー、挨拶しなさい」
「はい、お爺様。皆様こんばんは、ロース=マリー・ルンドクヴィストと申します。グレーゲルお爺様の孫にございます。今年も沢山の祈りをありがとうございました。どうぞマリーとお呼びください」
そう言って彼女はスカートの裾を手で持って、小さく広げながらお辞儀をした。彼女は今日の祭りの、巫女という大役をこなした少女、その人だった。儀式用の衣装から普段着に着替えているため、儀式の時の神秘的な姿とまた違って、年相応にあどけなく見えた。絹の錦のようになめらかな黒髪がお辞儀に合わせて流れていた。その姿は本当に、風にそよぐ草原の迷迭香のように淡く儚く、そしてとても高貴に見えた。その姿に見惚れていると、隣りに座っている父さんから肘でつつかれた。
「ほら、お前も挨拶しなさい」
「……え? あ、うん。僕はコーダ。コーダ・リンドグレンです。今日はパ……、と、父さんに連れられてきました」
普段と呼び方を変えたことに、父さんは(おやぁ…?)という顔をして、その後なにか得心がいったかのように(なるほど、なるほど)などと呟きながらニヤついていた。
……何かどうも良くない誤解をしているような気がする。別に彼女のことを意識して子供っぽい言動を改めようとしたなんてことでは決してない。彼女がとても端正で大人びた挨拶をしたものだから、僕だけ子供っぽい感じは出したくなかったのだ。そう、ただ単にこの雰囲気に合わせて大人っぽい言動を心がけているだけで、彼女のことを意識したなんてことはない。違うったら違う。って、ええい誰に言い訳しているのだ僕は。
――ふと、彼女の方を見やると目が合ってしまい、向こうから微笑みかけられた。やっぱり彼女のことを意識してるだなんてことはないんだ、と自分になんとか言い聞かせながらも、でも今の笑顔は可愛かったなぁなんて考えていると、どうにも顔が緩んできそうになるので、思わず僕は顔に力を入れて目を逸らしてしまった。
「さて、コーダよ。悪いがちょっと話を聞かせてくれんかの。おぬしが祭りで何を見たのか。――そして、何が視えたのかを」
「……う、うん」
ここからは真面目な話だと、少し背筋を伸ばして気を引き締めた。まだ僕自身も何が起こったのかは分かっていないから、うまく説明できるかどうかは分からなかったけれど、拙くも訥々と話し始めた。どう話せばよいかと迷っていたのは初めのうちだけで、話していると不思議とすらすらと起こった出来事を説明できていた。
ℵ
――最初に見たのは、白い光の玉と黒い光の玉だった。燃え盛る篝火の上で踊るように浮かぶその一対の光が、僕を見つけた途端に身体の中に入ってきた。
気がつくと僕は時間の停止した世界にいて、神様の使いだと名乗る双子の少女から権限と資源というものを与えられた。彼女たちは神様の実験のためだと言っていたが、権限と資源が何なのかは分からなかった。
そこから戻ってきた僕は、元の世界ではなく、異世界にやって来たのかと錯覚するほどに、見えている景色が一変してしまっていた。ヨァトゥロンにように煌々とオレンジ色に輝いていた篝火は、ブローバーシャフをこぼしたように暗紫色に染まっていた。そして父さんが持っていた鶏の卵が、その中にまるで太陽を宿してしまったかのように黄金色に輝いていた。
その黄金色の光はまるで磁石で吸い寄せられるかように、暗紫色の邪悪な炎を中和していき、村中から集まった聖なる光で、篝火にまとわりつく禍々しい炎は無事に消火―この場合は昇華と言ってもいい―されたのだった。
そうやって消えていった瘴気の残骸が、火の粉のさらに欠片のような微粒子となって空に昇っていくのを眺めていると、夜空の帳の向こう側に、空を泳ぐ巨大な影がゆらりと現れて、それらを一口に食べてしまったのだった。そしてそのまま何食わぬ顔で雄大に泳ぎながら、その大きな鯨は空を去っていった。
……それが、今日見た―いや、視えたと言うべきか―僕のすべてだった。
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僕が話し終わったあと、村長はしばらく無言だった。村長だけでなく、父さんもまた何も口を開かなかった。自分ではうまく説明できたつもりだったが、伝わらなかったのだろうか。それとも信じてもらえていないのだろうか。一抹の不安を胸にちらりとロースマリーを見てみると、目をらんらんとさせていて――
「すごい……、やっぱり虚数の海のアスピドケローネは本当にいたんだ……。おとぎばなしじゃなかったんだ! それに神様の使いなんて初めて聞いた! ねぇねぇ、どんな子だったの!?」
……唐突にまくしたてるように前のめりに話すロースマリーの豹変ぶりに、先程までのおしとやかで物静かな面影はどこへやら。疑いもせずにそんなに興奮するなんて、今の話がそれほど面白かったのだろうか。
「これ、ロースマリー、少し落ち着きなさい」
「――はっ! これは失礼いたしました」
村長にたしなめられて、ロースマリーは猫をかぶり直していた。けれどもおかげで場の空気が少し緩んだ気がする。それを受けてか、ずっと険しい顔をして話を聴いていた村長がようやく話し始めた。
「…成程、にわかには信じがたい話じゃが、これは少々厄介なことになっておるようじゃ」
「僕も自分で連れてきておいてなんだが、ここまでとは思わなかったよ…。禊の光が見えた、という話しか聞いていなかったからね」
「どうやらこれは、エーテルの加護なんて話ではすまなさそうじゃが…」
「あぁ…、爺さん、そのことなんだけどな」
父さんが村長の話を止めて神妙な面持ちで話しかけた。
「どうもコーダにはもともと四大元素魔法の全属性の魔力が見えているようなんだ」
「ぶっ…!」
――ひゅんっ!
村長が吹き出した瞬間、白い何かが僕の頭上を越えて部屋の隅へ飛んでいった。
「なんたる非常識な技能じゃのぅ…」
「そ、村長、歯が…」
どうやらあまりに驚いて勢い良く吹き出してしまったために、村長のどこかの歯がすっぽ抜けてさよならバイバイしてしまったようだ。僕のことよりも歯が抜けてしまった衝撃のほうが大きかったようで、村長が平常心を取り戻すまで、少々時間を要した。
「――さて、コーダよ」
何事もなかったかのように話し始めた!
「お前さんの状況を説明するためにも、まずはヴァルボルグスの魔法儀式の真実について教えておこう」
そうして語られたのは、歴史で決して表沙汰にされることのない、小さな村の秘匿された魔法儀式とそれにまつわる人の営みだった。
ℵ
――そしてかれこれ、一刻半が過ぎた。
「………」
過去にどのようにして祭りが始まり、今に至ったのか。その起源から紡がれてきた人の営みを時代背景を交えて臨場感たっぷりに語る村長。この話は一体いつ終わるんだろうか…。ロースマリーなんて目を閉じて瞑想…いや、寝ているな、あれは…。
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「…さて、昔話はここまでじゃ。前置きが長くなってしまったが、ここからが本題じゃ。お前さんの能力について、儂の分かる範囲で説明しよう」
「ちゃんと話は聞いていたか?」
「う、うん…大丈夫だよ、父さん」
長話が終わったのを察知したのか、いつの間にかロースマリーは目を覚ましていた。おそらくロースマリーは何度もこの話を聞かされて育っているんだろう。それだけでも巫女って大変なんだな、と思ってしまうのだった。
「まず、順を追って話そう。コーダ、お主は生まれつき魔力の流れが視えると言ったな。今日視た黒い篝火と、禊の卵の黄金の光もはじめから視えておったのか?」
…そういえば、そんな風に見えるようになったのは双子の精霊に何かをされてからだった。
「ううん、違うよ。神様の精霊という人(?)たちが僕に何かをくれるって言ったんだ。ロールとリソースって言ってたけど、最初は別に変わったところなんてなかったんだ」
「ふむ、やはりの。こりゃ厄介じゃわい…」
白髪の鬚を撫でながら村長は深くため息をついたのだった。
「よいか、既に知っておるとは思うが、魔法というのは四大元素によって成り立っておる。空気、火、土、水、これら四つの元素がお互いに反応しあって様々な現象を起こしたり、結合して様々な物質になったりしておる。じゃがしかし、世の中には、元素のように何かの物質を作ったりするわけでもないのに、しかし魔力としてきちっと存在するマナがあるのじゃ」
「それって、触ったり感じたりはできないのに、そのあたりに湧いてたりするってこと?」
「左様。それが、光属性、闇属性と呼ばれるマナで、これは魔力というよりも霊力と表現すべき類のマナなのじゃ。巫女や修道女のように特殊な訓練を長年積んで、ようやく光のマナをある程度操られるようになるんじゃが、普通はそれらのマナを感知することすらできないんじゃ」
へぇ~、変わったマナもあるもんだ。
物質ではないのに確かに存在はしている?
存在はしているのにこの世界にはない?
この世界にはないのにどこからか湧いてはきている? どこから?
フシギ!
「霊力と呼んで差し支えないと言ったじゃろう? この世界になく、この世界に隣接している別の世界から流れてくるマナなのじゃ。つまり、これらの魔力は死者の世界から流れてきておる」
「死者の、世界……」
「あるいは天上、神の世界でもよい」
「か、神の世界…。あっ! そう言えばあの双子の精霊も神様の命令で来たって言ってた!」
だけどそんなものが本当に存在するのだろうか。
たしかに特殊な魔力が流れてきているのは本当だ。
この世界から見ることも、触ることも、自由に行き来することもできないのに、けれどもこの世界に隣り合った世界があるという。
一体、世界が隣り合うってどういうことだろう?
例えば、隣り合った部屋を行き来するためにはどうすればいいだろうか。
隣の部屋へのドアを開ければいい。
例えば、自分の家から隣の家に行くにはどうすればいいだろう。
一度自分の家を出て、道を歩き、隣の家の玄関をくぐる。
じゃあ世界から世界へ行くには?
隣の世界への扉を開くか、一旦自分の世界を出るかしなくちゃならない。
どっちも難しそうだ…。
「つまりコーダは、四大元素に加えて、光と闇、の六属性の魔力が視えるようになったということじゃが、話はそれだけでは終わらんのじゃ」
「……どういうこと?」
すると急に水を得た魚のようにロースマリーが目を輝かせはじめた。
「アスピドケローネ! あなたは見たんでしょ!? 大空を海のごとく優雅に泳ぐ、大きなクジラの姿を!」
水を得たクジラのように両手を大きく広げて雄大な姿を真似するロースマリー。もしかして、この話が聞きたいがためにあんな退屈な昔話でも文句一つ言わずに黙って聞いていたんだろうか。
「さ、さっきも言ってたけど、あれって一体何だったの?」
「こほん。あれはですね、星の精霊と言われています」
「星の精霊…」
「そう、死者の魂を現世から冥界に運ぶ役割をしているだとか、神様のペットだとか、文献にも伝承にも色々な説があります。けれどもほとんど見たことのある人がいないんです。数百年に一度、夜に突然満月が欠けることがあるのは、アスピドケローネが月の前を横切ったからだと言われています。この伝承は実に古く、今から千年以上前の世界最初の百科事典とも言われる『フィシオロゴス』にもこの記述は見つけることができ…」
「ちょ、ちょっと待って! わ、わかったから…」
「……む~。何がわかったと言うんですの?」
「い、いや、だから…すごい伝説の生物に会えたことに感動しているというか太古のロマンを感じたというか…」
……なんて適当に弁解したものだから、
「わぁっ! ですよね! あなたとても話が分かるのね!」
と、言って興奮のあまり急にロースマリーが抱きついてきた。
「わ、わ、わ」
肩口から流れる髪がふわりと舞って、やわらかなハーブのような匂いがした。ラベンダーの香りだろうか。そんな風に嗅覚にでも意識を集中していないと、これはちょっとマズい。一度でも触覚の方に意識を配分してしまったら、薄手のワンピースに包まれたそのやわらかな体の感触をダイレクトに感じてしまって…って言ってるそばからそんなことを考えてしまう。とりあえず意識をシャットアウトしないと、と思うあまり、語彙力まで疎かになってしまい、まともに喋ることができない。
「これ、ロースマリー。少しは落ち着かんか」
「あら、いけない。これは失礼しました」
グレーゲル村長の言葉で我に返ったロースマリーはそそくさと席に戻っていった。何でもなかったかのように座って、僕の方を見て微笑んでいる。一方、僕の方はまだ気が気でないまま意識が正常に落ち着かない。どうせ父さんは楽しんでいるだけだろうから、父さんの方はあえて見ないようにしている。
どうやらマリーは自分の興味のあることとなると、途端に我を失ったように夢中になるようだ。
「話を戻そう」
僕はその言葉に居住まいを正して、村長に向き直った。
「お前さんの見たという巨大な鯨の影は、アスピドケローネと呼ばれる星の精霊の姿じゃ」
「ああ、それがさっきから…ロ、ロースマリー…さん、の言っている…」
「マリーよ」
「マ、マリーさんの言っている…」
「マリーよ」
「マリーの言っている…」
話が進まない!
村長も黙って見てないで助け舟!助け舟!
「彼奴はこの世界と別の世界の狭間を泳ぎ、さまよう魂魄を食らって生きておる」
あぁ…やっぱり何事もなく話しはじめたよ…。
もしかしてこの家庭ではこれが平常運転なのかな…。
「じゃがこの精霊はかなり特殊な場所に住んでおり、普通の人間には見えないのじゃ。そりゃそうじゃろう? お前さん、この世界の裏側に別の世界があると言って、信じられるか? この世界と裏の世界の間の隙間に、何かが住んでいるなんて話、しかもそれが見える人間なんてほとんど居ない」
「そう言われれば確かにそうなんだけど…。だったらどうして僕には見えたの?」
「この絵空事のような話、まじめに研究しようとする学者なぞおらんのでな、詳しいことは分からんのじゃが、おそらく虚数のマナも見えるようになってしもたんじゃろう」
「虚数のマナ…?」
「マジかよ…」
僕にも父さんにも、それはもはや未知の領域だった。
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