贖罪の救世主

水野アヤト

文字の大きさ
上 下
737 / 830
第五十二話 あなたを愛して⋯⋯

1

しおりを挟む
第五十二話 あなたを愛して⋯⋯






 まだ幼い頃、父との馴れ初めと幸福な日々の思い出を、母が私によく話してくれた。その話を聞かせる時が、一番穏やかで幸せな顔を母が浮かべていたのを、今でもよく覚えている。
 母は優しいが厳しい人で、私はいつも叱られていた。私の前では恐い顔をする方が多かった気はするが、父との思い出を語る時だけは、普段が嘘のような微笑みを浮かべ、私を甘やかしてくれたものだ。きっと、自分ではもうどうしようもないくらい、父のことが大好きで堪らなかったんだと、そう思う。

 私は一度、母に聞いてみた事がある。「どうしてそんなにも誰かを好きになれるの?」と。
 母は私にその理由を教えてはくれなかった。「あなたが本当に誰かを好きになった時、きっと分かる」と言って、亡くなるその瞬間も答えてはくれなかった。
 どうせ、一生分からない。私自身が、異性を愛するという感情がどうも理解できなかったし、恋というものを知らなかったのだ。あまり女っぽくない体つきや性格のくせに、名前が女の子らし過ぎるから、よく男の子に揶揄われたせいで、男に好意なんか持ちたくないと思っていたせいかもしれない。
 
 でも、そんな私でさえ、ある男の人を好きになってしまう時が訪れた。暗く苦しい絶望の闇の中、私を救い出してくれた温かくて優しい光。
 変な人で、感情的で、女たらしで、言う事聞かなくて、危なっかしい人。だけれど、かっこよくて、優しくて、愛らしくて、一生懸命で、笑った顔がとても素敵な人。それが私の愛する、ただ一人だけの男の人。
 
 本気で彼を愛して、ようやく分かった。母が私に、誰かを好きになれる理由を教えてくれなかった訳を。
 簡単な話だ。母にだってその理由が分からなかったから、答えられなかったんだ。きっと母も今の私と同じように、好きになった理由など考えた事もなかったのだろう。気が付けばその人を愛し、夢中になっていたんだ。
 私だって、気付けば彼を愛していた。彼が私ではなく、別の誰かを愛していた事を知っていても、気持ちは変えられなかったし、抑えられなかった。
 恋をするとは恐ろしいものだ。好きな相手の事しか見えなくなって、幸せな気持ちでいっぱいになる。けれど同時に、切なくて苦しくもなる。もう何度、彼を想うあまり自慰に耽ってしまったか分からない。恋する気持ちというのは、まるで麻薬のようだ。

 それでもいい。人を好きになるのに、理由なんか必要ない。危険な病だろうと構わない。少なくとも私は、胸の中で燃えるこの想いを信じるだけだ。
 さあ、目を覚ますんだ私。愛する彼を絶対に守ると誓ったじゃないか。
 起きろ、セリーヌ・アングハルト。お前の戦いは、まだ終わっていない。









「っ⋯⋯⋯!」

 気を失っていたアングハルトは、誰かに呼ばれたような感覚と、突然左手に感じた痛みによって目を覚ました。
 目覚めた彼女の瞳に映ったものは空と、今まさに戦闘中の相手、不死身のギャビットだった。ギャビットは倒れたアングハルトの身体に馬乗りになって、彼女を逃がさないよう体重をかけている。そしてその右手には、血の付いたアングハルトのナイフが握られていた。

「やっとお目覚めさね」

 意識を取り戻したアングハルトに気付き、下卑た笑みでギャビットが彼女を見下ろしている。さっきまでの戦闘で負傷したギャビットの身体は、回復魔法の能力で傷がほぼ癒えている。仕込みの発射機で内側からできた風穴も、アングハルトが気を失っている間に塞がっていた。
 回復能力のお陰で動けるようになり、ギャビットはアングハルトが使ったナイフを拾い上げ、回復の間待ち侘びた報復を行なった。どうやって彼女に苦痛を味合わせるか、考えるだけで興奮が止まらなかったギャビットは、もう既に最初の楽しみを始めてしまっていた。

「起きるのがちょっと遅かったねぇ。これ、な~んだ?」

 自慢げなギャビットが、左手に掴んだあるものをアングハルト見せる。
 その手にあったものが人間の指だと気が付くのに、時間はかからなかった。それがきっと、自分の指であるという事実にも⋯⋯⋯。

「アンタさっき、狂犬の名前を呟いていたじゃないのさ。もしかしてデキてるんじゃないかと思ってねぇ」
「⋯⋯⋯!」
「グラーフ教の婚姻の儀じゃ、永遠の愛を誓って左手の薬指に指輪をはめるって聞いたさね。だからまずは、アンタの愛を奪ってやったのさ」

 愉快気に高笑いを始めたギャビットを無視し、アングハルトは視線を自らの左手へと移す。確かにギャビットが言った通り、その手にあるはずの左手の薬指は無くなっていた。
 アングハルトの脳裏に蘇ったのは、ゴリオンとユンが永遠の愛を誓った、あの結婚式の光景だった。皆に祝福され、二人共幸せそうに笑い合って、互いの薬指に指輪をはめた瞬間。いつの日か自分も、あの二人と同じように、愛する人と愛を誓い合いたいと、ずっと憧れていた。

「きゃははははははっ!! これで二度とアンタは、愛しの狂犬に振り向いて貰えない! 薬指の無い花嫁なんかじゃ式にならないからねぇ!」
「⋯⋯⋯」
「絶望のあまり言葉も出やしないってかい? 泣き喚いたっていいんだよ? まあどうせ、アンタの両の腕と脚を斬り落として、一生男を抱けない体にしてやるから、指失くしたってかわりゃしないんだけどねぇ! そんでアンタの子壷に焼いた鉄棒ぶち込んで、餓鬼だって産ませなくしてやるさ!」

 冷酷で残虐なギャビットは、自分に泥を塗ったアングハルトに、生きたまま地獄の苦しみを与え続ける事しか頭にない。最初は必ず殺すつもりだったが、今は彼女の全てを奪い、絶望の底に叩き落とす。そうしなければ怒りが収まらないギャビットは、頭の中で思いつく限りの非道を試すつもりでいる。
 生かしたままアングハルトを連れ帰り、拷問と凌辱の果てに泣き叫び、許しを請う彼女の目の前で、最愛の存在を奪い去ってその心を壊す。瞬間、アングハルトが見せる心を壊された絶望の表情だけが、ギャビットの怒りを鎮め、快感を与えるのだ。

「どうだい!? 女として終わったアンタは、これで永久に愛した男と結ばれやしないのさ!! ただ寂しがる必要はないさね! アタイに玩具にされてる目の前で、アンタが好きな狂犬も同じ目に―――」
「⋯⋯ま⋯⋯⋯れ⋯⋯⋯⋯」
「あん?」
「⋯⋯⋯だまれと、言ったんだ!」

 一瞬で笑みが消え去ったギャビットが、アングハルトの腹部に目掛け拳を振り下ろす。衝撃と激痛が彼女を襲い、腹を抉られるような苦痛に血を吐き出す。苦しさに呼吸が止まり、丸球で撃ち抜かれた傷から血が噴き出してしまう。今ので内臓が押し潰された感触を覚え、また更に血を吐いてしまう。

「人がまだ殺さないってだけで調子に乗りやがって。アンタはね、もう終わって―――」
「だまれえええええええええっ!!!」

 血を吐きながらも雄叫びを上げたアングハルトが、ギャビットの服を掴み引っ張ると、体勢を崩した彼女に向かい、渾身の一撃である頭突きを喰らわせた。
 諸に頭突きを受けたギャビットは、衝撃で脳が揺れ、意識を失いかけながらふら付いていく。倒れそうになりながら後退するギャビットが、アングハルトのもとから離れて一旦距離を置こうとする。身体の自由を得たアングハルトは、ぼろぼろの身体に鞭打って、雄叫びと共に再び立ち上がるのだった。

「ギャビットおおおおおおおっ!!! お前だけは、ここで必ず殺す!!」
「ぐっ⋯⋯⋯! この死にぞこないがあああああああっ!!」

 ギャビットの怒りと殺意は尋常ならざるものだったが、立ち上がったアングハルトの迫力は、怒り狂った彼女を遥かに上回る。そのあまりの殺気と怒気に気圧され、初めてギャビットが怯んだのである。
 何も知らないギャビットは、触れてはいけない禁を犯した。火山の大噴火の如く怒りを露わにするアングハルトは、自らの薬指を失ったが為に、ここまで怒っているわけではない。ギャビットが触れてしまった怒りとは、アングハルトの最愛の存在に、絶望を味合わせようと企んだ事だ。
 自分の体がどうなろうが構わない。指が落とされようが、手足を捥がれ様がどうでもいい。例え、最愛の存在と永遠の愛を誓い合えなくても、もう二度と自分の腕で抱きしめられなくなっても、愛する彼が見せてくれる、あの温かくて優しい微笑みを守れるなら、何だって失う覚悟はできている。
 だから今、ここでギャビットを殺す。愛する者を守るため、己の全身全霊を懸けて⋯⋯⋯。

「うおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」
「!?」

 ギャビットに向かって突撃したアングハルトが、隙だらけな彼女の顔面に拳を叩き込む。倒れそうになったギャビットの服を掴むと、今度は得意の体術を仕掛け、彼女が握っていた自身のナイフを奪い返しつつ、一瞬で足を払い転倒させる。
 地面へと叩き付けたギャビットの右腕を取ったアングハルトは、その腕を力の限り捻って圧し折ると、奪い返したナイフの刃を彼女の左胸に突き立てた。

「ぐぼわあああああっ!!」
「身体は元通りでも、痛みと体力の消耗まではどうにもできまい!! これがお前の弱点だ!!」

 心臓を刃で貫かれ、大量の血を口から噴き出したギャビットに、アングハルトが追い打ちとばかりに、ナイフをより深く差し込んで苦痛を与え続ける。
 アングハルトが読んだ通り、ギャビットの回復魔法にも弱点はあった。身体の傷は回復できても、戦いで負った傷の痛みは感じるし、人なのだから疲れもする。さっきまでの戦闘の傷はほぼ回復されてしまったが、その時与えた戦いと回復魔法の使用による疲労は、確実に蓄積していたのである。
 その疲労はギャビットの動きを鈍らせ、最初の頃にはなかった隙を生んだ。今こうしてアングハルトが反撃できているのは、極限状態の中で戦い続け、ここまでギャビットを消耗させたからである。

「私の指を奪った代償は高く付くぞ!!」
「!!」

 腕の骨を折られ、心臓をナイフに貫かれたギャビットは、満足に抵抗する事が出来ない。この好機を逃すまいと、アングハルトは自分に残された装備の中で、最大の火力を持つ武器を手に取った。
 ありったけの武器を身に纏い、ギャビットに戦いを挑んだアングハルトは、手持ちの銃器をほとんど失っている。彼女に残された武器は手榴弾と、派手な花火を上げられるだけの爆薬である。不必要だと思われていた大量の爆薬だが、特殊魔法兵との戦闘を想定し、念のため持ってきていたのだ。
 身体に巻き付けていた爆薬を手に掴み、アングハルトはギャビットに爆薬を巻き付け、起爆させて吹き飛ばそうと試みる。だがギャビットは、アングハルトが取り出した武器が爆弾の類であると、戦闘で培った直感で瞬時に悟った。
 
「やらせないよおおおおおおおっ!!」
「がはっ⋯⋯⋯!」

 口から血を吐き出しながらも、ギャビットは無事な左腕でを振るい、爆薬を持つアングハルトの手を払うと、両脚蹴りを放ち彼女の胸を蹴り上げた。肋骨が折れる音と共に、全力の蹴りがアングハルトの身体を宙に浮かせ、彼女の体を地面に叩き付けさせた。
 受け身など取れる余裕はない。全身を襲う衝撃と激痛がアングハルトを襲うが、愛する者のため怒りを燃やす今の彼女を、この程度の痛みで止められるはずはなかった。強烈な蹴りを受けながらも、彼女は地面に片膝を付いて立ち上がろうとする。
 しかしそんなアングハルトに、反撃に移らせまいとギャビットが追撃を仕掛ける。立ち上がろうとする彼女に向かい、渾身の力で蹴りを放ったのだ。魔法で身体強化されているその蹴りは、軽々とアングハルトの身を蹴り飛ばして見せる。人の蹴りと思えぬ衝撃がアングハルトを襲い、まるで水切りのように彼女の身が地面に跳ねていった。

「アタイは不死身なのさ!! こんな所でくたばるギャビット様じゃないんだよ!!」

 アングハルトを蹴り飛ばし、無理やり距離を離した事で、一旦爆薬から逃れる事に成功する。追い打ちをかけようとしたギャビットだったが、身体が言う事を聞かず動けなくなってしまう。
 この短時間で受けたダメージは相当なもので、連続使用による魔力の消費のせいで、彼女の回復魔法は既に限界に近い状態なのである。幸い折れた右腕や心臓の再生は始まっているが、ギャビットの精神と裏腹に、肉体は悲鳴を上げているのだ。
 一度休まなければ、アングハルトに止めを刺す事すらできそうにない。自分の肉体の限界を悟ったギャビットは、先ずは傷の回復に全神経を傾け、再びアングハルトに襲い掛かるべく備えた。
 しかし、身体が動かせるようになるのを待つギャビットに、最早次はない。何故ならば、アングハルトが蹴り飛んで倒れた先には、彼女の手を離れてしまっていた武器が、そのまま残されていたからだ。

「運がいいのは、私の方だったな」
「そん―――」

 倒れたアングハルトが拾い上げたのは、彼女が使っていた擲弾銃である。弾は勿論残っていて、自分を使う主が引き金を引く瞬間を待っていた。
 構えられた擲弾銃の引き金が引かれ、銃口から榴弾が撃ち出される。動けないギャビットに向かって榴弾は飛んで行き、驚愕した彼女が叫ぶ直前、榴弾は彼女に直撃して爆発した。
 爆発がギャビットの身体を吹き飛ばし、爆風が地面の土埃を空へと舞い上がらせる。並みの人間ならば確実に死ぬ一撃が、今度こそギャビットを仕留めたかに思われた。

「⋯⋯⋯ごほっ⋯⋯⋯ごほっ⋯⋯⋯! はあ⋯⋯、はあ⋯⋯⋯」 

 榴弾は確かにギャビットを吹き飛ばした。爆発で下半身を失いながらも、まだ彼女には息があった。
 地面に倒れたギャビットの上半身。爆発の衝撃で左腕を失い、破片によって右眼を潰され、全身に火傷を負っている。とても生きているように見えない状態だが、彼女は如何にか呼吸を続けていた。
 身動きできないギャビットは、朦朧とする意識の中で、自らの置かれた状況を確認する。下半身と腕を失いはしたが、爆発で完全に消滅していない限り、千切れた彼女の身体は再生の余地がある。回復途中の折れた右腕を動かし、地面を這って移動さえできれば、ばらばらになった自身の肉体のもとに向かい、まだ身体を治す事が可能なのだ。

「こっ⋯⋯⋯、こんな、ところで⋯⋯死んでたまるか⋯⋯⋯! アタイは⋯⋯⋯ふじ―――」
「黙れ」

 当然、ギャビットの復活を彼女が許すはずもない。倒れたギャビットの傍までやってきたアングハルトが、彼女の口に無理やり手榴弾を突っ込んだ。
 
「ふごっ⋯⋯⋯!? ふごっふごっ!!」
「こんな姿になっても生きているとは驚いたが、今度こそ終わりだ。お前の回復魔法の最後の弱点は、既に見切っている」
「!!」
「さっきお前は、私が手榴弾を顔の傍に転がした時、慌てて爆発から逃れようとした。あれだけの回復能力を持ちながら爆発を恐れた理由は、少し考えれば私でも分かる」

 ギャビットに寝技を仕掛けられた際、アングハルトは咄嗟の思い付きで手榴弾を使った。もしギャビットが、無敵の回復能力を持っているならば、あのまま爆発を受ければアングハルトを殺せた。不死身のこの女を殺すために、勘に懸けたアングハルトは、戦いの中で弱点を導き出したのである。
 
「どんな傷でも治せるお前でも、頭を完全に吹き飛ばされてしまえば復活できない。より正確に言えば、試した事がないから分からない。そうだな?」
「ふごっ!! ふごっふごっ⋯⋯⋯!?」
「やはりな。言っておくが、命乞いを聞く気はない」

 口に手榴弾を突っ込まれているため、思う様に話せないギャビットが、死に際に何を言っているのかは分からない。ただそれでも、身動きできないその身を震えさせ、必死に何かを叫ぼうとしている彼女の様子を見れば、誰にでも分かる事であった。

「私の指は冥土の土産にくれてやる。地獄へ落ちろギャビット」
「ふごおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」

 情けなどかけるわけがない。命乞いするギャビットに構わず、アングハルトは手榴弾の安全ピンを引き抜き、彼女に背を向けて歩き出した。
 自らの死に恐怖するギャビットが、彼女の背後でずっと喚き続けている。それを鬱陶しく思ったアングハルトは、爆発から距離を取るべく離れる去り際に、振り返る事なく言葉を告げた。

「さっさと失せろ」

 その言葉に従うかのように、ギャビットの口内で手榴弾が爆発した。
 爆発で彼女の頭は完全に消し飛んで、肉片や骨が辺りに飛び散っている。頭部を失った上半身は、アングハルトが言った通り今度こそ動かなくなり、戦いは終わった。

 特殊魔法を三つも操る、化け物じみた力を持っていた不死身のギャビット。重傷を負いながらも彼女に勝利したアングハルトだが、勝利の美酒に酔う暇などない。
 敵はまだ残っている。今ここで一人倒したが、一刻も早く残りの敵も片付けなければ、最愛の彼の身が危ないのである。
 だが、満身創痍のアングハルトは、既に戦闘ができる状態ではない。傷口からの出血は止まらず、内臓の一部は潰され、肋骨まで折れてしまっている。この状態でまだ立って歩く事が出来るのは、奇跡と言っていい。
 死にかけの彼女を突き動かすものは、強い愛の力のみ。そのために命の灯を燃やし続け、愛する者のもとへと歩を進めるのだ。

「待っていて、リクトビア⋯⋯⋯。私は必ず、あなたを⋯⋯⋯」

 残された装備と共に、傷だらけの体を引き摺るようにして、彼女は足を動かし続けた。
 歩いた道の後に鮮血を垂れさせながらも、決して彼女は歩を止めはしなかったのである。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ほらやっぱり、結局貴方は彼女を好きになるんでしょう?

望月 或
恋愛
ベラトリクス侯爵家のセイフィーラと、ライオロック王国の第一王子であるユークリットは婚約者同士だ。二人は周りが羨むほどの相思相愛な仲で、通っている学園で日々仲睦まじく過ごしていた。 ある日、セイフィーラは落馬をし、その衝撃で《前世》の記憶を取り戻す。ここはゲームの中の世界で、自分は“悪役令嬢”だということを。 転入生のヒロインにユークリットが一目惚れをしてしまい、セイフィーラは二人の仲に嫉妬してヒロインを虐め、最後は『婚約破棄』をされ修道院に送られる運命であることを―― そのことをユークリットに告げると、「絶対にその彼女に目移りなんてしない。俺がこの世で愛しているのは君だけなんだ」と真剣に言ってくれたのだが……。 その日の朝礼後、ゲームの展開通り、ヒロインのリルカが転入してくる。 ――そして、セイフィーラは見てしまった。 目を見開き、頬を紅潮させながらリルカを見つめているユークリットの顔を―― ※作者独自の世界設定です。ゆるめなので、突っ込みは心の中でお手柔らかに願います……。 ※たまに第三者視点が入ります。(タイトルに記載)

噂好きのローレッタ

水谷繭
恋愛
公爵令嬢リディアの婚約者は、レフィオル王国の第一王子アデルバート殿下だ。しかし、彼はリディアに冷たく、最近は小動物のように愛らしい男爵令嬢フィオナのほうばかり気にかけている。 ついには殿下とフィオナがつき合っているのではないかという噂まで耳にしたリディアは、婚約解消を申し出ることに。しかし、アデルバートは全く納得していないようで……。 ※二部以降雰囲気が変わるので、ご注意ください。少し後味悪いかもしれません(主人公はハピエンです) ※小説家になろうにも掲載しています ◆表紙画像はGirly Dropさんからお借りしました (旧題:婚約者は愛らしい男爵令嬢さんのほうがお好きなようなので、婚約解消を申し出てみました)

異世界を中国拳法でぶん殴る! ~転生したら褐色ショタで人外で、おまけに凶悪犯罪者だったけど、前世で鍛えた中国拳法で真っ当な人生を目指します~

犬童 貞之助
ファンタジー
八極拳や太極拳といった中国拳法が趣味な大学生、中島太郎。ある日電車事故に巻き込まれた彼は、いつの間にか見ず知らずの褐色少年となっていた。 いきなりショタ化して混乱する頭を整理すれば、単なる生まれ変わりではなく魔法や魔物があるファンタジーな世界の住人となってしまったようだった。そのうえ、少年なのに盗賊で貴族誘拐の実行犯。おまけに人ではないらしいことも判明する。 「どうすんだよこれ……」 問題要素てんこ盛りの褐色少年となってしまった中島は、途方に暮れる。 「まあイケメンショタだし、言うほど悪くないか」 が、一瞬で開き直る。 前向きな彼は真っ当に生きることを目指し、まずは盗賊から足を洗うべく行動を開始した──。 ◇◆◇◆ 明るく前向きな主人公は最初から強く、魔法の探求や武術の修練に興味を持つため、どんどん強くなります。 反面、鉢合わせる相手も単なる悪党から魔物に竜に魔神と段々強大に……。 "中国拳法と化け物との戦いが見たい” そんな欲求から生まれた本作品ですが、魔法で派手に戦ったり、美少女とぶん殴り合ったりすることもあります。 過激な描写にご注意下さい。 ※この作品は「小説家になろう」でも投稿しています。

“元“悪役令嬢は二度目の人生で無双します(“元“悪役令嬢は自由な生活を夢見てます)

翡翠由
ファンタジー
ある公爵令嬢は処刑台にかけられていた。 悪役令嬢と、周囲から呼ばれていた彼女の死を悲しむものは誰もいなく、ついには愛していた殿下にも裏切られる。 そして目が覚めると、なぜか前世の私(赤ん坊)に戻ってしまっていた……。 「また、処刑台送りは嫌だ!」 自由な生活を手に入れたい私は、処刑されかけても逃げ延びれるように三歳から自主トレを始めるのだが……。

【R18】ショタが無表情オートマタに結婚強要逆レイプされてお婿さんになっちゃう話

みやび
恋愛
タイトル通りのエロ小説です。 ほかのエロ小説は「タイトル通りのエロ小説シリーズ」まで

よくある婚約破棄なので

おのまとぺ
恋愛
ディアモンテ公爵家の令嬢ララが婚約を破棄された。 その噂は風に乗ってすぐにルーベ王国中に広がった。なんといっても相手は美男子と名高いフィルガルド王子。若い二人の結婚の日を国民は今か今かと夢見ていたのだ。 言葉数の少ない公爵令嬢が友人からの慰めに対して放った一言は、社交界に小さな波紋を呼ぶ。「災難だったわね」と声を掛けたアネット嬢にララが返した言葉は短かった。 「よくある婚約破棄なので」 ・すれ違う二人をめぐる短い話 ・前編は各自の証言になります ・後編は◆→ララ、◇→フィルガルド ・全25話完結

お願いだから俺に構わないで下さい

大味貞世氏
ファンタジー
高校2年の9月。 17歳の誕生日に甲殻類アレルギーショックで死去してしまった燻木智哉。 高校1年から始まったハブりイジメが原因で自室に引き籠もるようになっていた彼は。 本来の明るい楽観的な性格を失い、自棄から自滅願望が芽生え。 折角貰った転生のチャンスを不意に捨て去り、転生ではなく自滅を望んだ。 それは出来ないと天使は言い、人間以外の道を示した。 これは転生後の彼の魂が辿る再生の物語。 有り触れた異世界で迎えた新たな第一歩。その姿は一匹の…

いらないと言ったのはあなたの方なのに

水谷繭
恋愛
精霊師の名門に生まれたにも関わらず、精霊を操ることが出来ずに冷遇されていたセラフィーナ。 セラフィーナは、生家から救い出して王宮に連れてきてくれた婚約者のエリオット王子に深く感謝していた。 エリオットに尽くすセラフィーナだが、関係は歪つなままで、セラよりも能力の高いアメリアが現れると完全に捨て置かれるようになる。 ある日、エリオットにお前がいるせいでアメリアと婚約できないと言われたセラは、二人のために自分は死んだことにして隣国へ逃げようと思いつく。 しかし、セラがいなくなればいいと言っていたはずのエリオットは、実際にセラが消えると血相を変えて探しに来て……。 ◆表紙画像はGirly drop様からお借りしました🍬 ◇いいね、エールありがとうございます!

処理中です...