贖罪の救世主

水野アヤト

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第二十話 揃いし力

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 次の日。

「ライガ。お前はトラだ、トラになるんだ。俺の後に続けて言ってみろ!トラ・トラ・トラ、だ!!」
「トラ・トラ・トラ!!」

 演習場でランニングをさせられているライガと、彼の修行を見ているリック。
 リックは彼の師匠となったため、朝早くから彼の修行に付き合っていた。

「これが正義を目指すお前の力か!だが足りない、まだ足りないぞ!」
「!?」
「お前に足りないものは、それは!情熱思想理念頭脳気品優雅さ勤勉さ!そして何よりもおおおおおおおおおおおおおっ!!速さが足りない!!!」
「わかったぜ!うおおおおおおおおおっ!!!」

 熱く叫ぶリック。同じく、その言葉に熱く答えるライガ。
 ペースを守ってのランニングから一転し、全力で駆け出したライガは、あっと言う間に見えなくなった。そのスピードは、まさに馬の如し。止まる事を知らない彼は、帝国を一周するまで帰って来ないかも知れない・・・・・・。

「なあ、隊長とライガの野郎は何してんだ?」
「さあ?いつもの悪い癖だと思いますぜ」

 リックとライガの修行を少し離れたところで見ていた、帝国軍精鋭部隊の面々。元傭兵部隊隊長のヘルベルトは、仲間達共に修行を見学していたのだが・・・・・・・。

「やっぱりよお、隊長って頭おかし--------」
「ヘルベルト、お前減給」
「何で聞こえてんですかい!?俺の悪口に対しては地獄耳かよ!?」
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