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第四十二話 プレイン・バーン作戦 前編
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「待ってよ狂犬さん」
「?」
全体軍議を終えた代表者達が天幕を後にし、それぞれの陣地に戻っていく。リック達も自分の陣地へ戻ろうとしていたが、彼の背中に声をかけて呼び止めた人物がいる。
その人物はロイドだった。彼は怪しい笑みを浮かべながら、一人リック達に近付いて来る。連れていた副官と軍警察指揮官は、少し離れた場所に待たせていた。
「つまらない軍議になると思ってたけど、アナタのお陰で退屈せずに済んだわ」
「こっちこそ、貴方のお陰で割と楽しめた。相手が誰だろうと恐れないああいう態度、嫌いじゃない」
「うふふっ、それはアナタもでしょ。王子相手に随分言ってやったじゃないの。アタシも好きよ、貴方みたいなオ・ト・コ♡」
愛の表現のつもりか、ロイドはリックに向かってウインクして見せる。反応に困り、苦笑いするリックを笑ったロイドは、ご機嫌な様子で今度はエミリオと顔を合わせた。
「特にアナタは、アタシ好みのいい男。アナタが噂の、うちのパパを負かした軍師さんでしょ?」
「負かしたというよりは、勝たせて頂いたという方が正しい。ところで、ドレビン将軍はお元気ですか?」
「どうかしらね、パパとは最近会ってないから。言伝でもあるなら聞くわよ?」
「心遣い感謝します。それでは、次に戦う時は夜間に陣を出歩かぬようにと、そうお伝え下さい」
言伝の内容を聞いたロイドは、エミリオの目の前で堪え切れずに大爆笑した。ヴァスティナ帝国がジエーデル国と戦った際、エミリオは夜間にジエーデル国軍の陣地を襲撃させ、ドレビンを捕縛した。ロイドはその話を知っていたのである。
「いいわね、気に入ったわ!エミリオって言ったわね、アナタ今からでもアタシのところに来なさいな」
「嬉しいお誘いですが、丁重にお断りさせて頂きます」
「あら残念。そんなに狂犬さんがお好きなの?」
「リクトビア・フローレンスあっての私です。他の私は在り得ない」
ロイドの勧誘をきっぱりと断ったエミリオは、口元に少し笑みを浮かべて頭を下げた。説得は無理そうだと悟ったロイドは、残念そうな顔をして引き下がる。
「気が変わったらいつでも言って。アタシは、アナタの様な優秀な人材を拒まない」
そう告げて振り返ったロイドは、自身の副官と軍警察指揮官のもとへと戻っていく。背を向けてエミリオから離れていったロイドは、振り返らずにエミリオへと手を振った。
「じゃあまたね、アタシ好みのイケメンさん」
手を振りながら挨拶して、ロイドは連れの者達と自分の陣地へ戻っていった。
話を終えたリック達は、再び自分達の陣へ戻ろうとする。すると今度は、思いがけない人物が彼らを呼び止めた。
「貴様の様な男が、リクトビア・フローレンスを名乗るとはな」
「!」
まるで、刃物にでも背中を刺されたような感覚がリックを襲う。背中に向けてかけられた言葉の鋭さ、言葉を放った人物の覇気が、そんな幻覚をリックに与えたのである。
振り返ったリックが目にしたのは、三人の女性の姿。声をかけた女性は軍議の場にいた、ゼロリアス帝国第四皇女アリステリアだった。彼女の傍には、軍議の時と同様に二人の将軍が控えている。アリステリアを護衛するように控えているのは、風将クラリッサと氷将ジルの二人だ。
「⋯⋯⋯⋯皇女殿下、俺に何か?」
「聞けば貴様は、ヴァスティナの女王直々にリクトビアの名を与えられたそうだな。初代王妃の名を得る事が出来た理由はなんだ?」
驚くべき事にアリステリアは、極北の地ゼロリアス帝国の姫でありながら、以前は南の小国だったヴァスティナ帝国の初代王妃を知っているのだ。
リクトビア・フローレンスとは本来、ヴァスティナ帝国を建国した初代王妃の本当の名。南ローミリア内では知られている歴史であっても、大陸全体で見れば、何処にでもある小国の歴史の一つに過ぎない。だが彼女は、そんな小国の歴史上に登場する人物の名を知り、リックがその名を得た理由を知りたがっている。
アリステリアの真意は、リックにも分からない。ただ分かっているのは、下手な誤魔化しや嘘は通用しない相手であるという事だ。
「⋯⋯⋯⋯常に強く気高く、愛する仲間達と共にあったリクトビア王妃と同じであって欲しいと、そう願われました」
「⋯⋯⋯⋯⋯」
「この名前は、陛下が俺を救うために与えたもの。そして俺が、陛下を守る力を得るためのもの。これが名を得た理由です、殿下」
王族としての威厳と覇気を纏う彼女に、真剣な顔で一歩も退かず、堂々とリックは答えて見せた。アリステリアは彼の答えを、無表情のまま眉一つ動かさず聞き終えると、再び口を開いた。
「ならばその戦妃の名、決して辱めるな」
リクトビアの名を汚すなと、ゼロリアスの姫が命令する。ヴァスティナ王族とは何の関係もないはずの彼女は、リクトビアの名を大切なものだと思っている。
何故なのかは分からない。ただ、言われなくても汚すような真似はしないと、大切な名として扱うと決めている。故に、リックは迷わず答える。
「言われなくても分かってる」
半ば反射的に、そして無意識に答えてしまい、アリステリアに対して礼儀を欠いた言葉になってしまった。
これが不味かった。アリステリアに絶対の忠誠を誓い、彼女の番犬の様な存在であるクラリッサが、リックの無礼を見逃さなかったのである。
「貴様!成り上がりった小国の分際で、殿下に向かってなんという口の利き方だ!どうやら田舎の犬畜生は王族に対する礼節を知らんと見える!」
怒気を放ってリックを侮辱したクラリッサ。すると今度は、リックに絶対の忠誠を誓っている本物の番犬が、彼への侮辱を見逃さない。
クラリッサと同じように怒気を放ち、鋭い眼光で彼女を睨み付けながら前に出たのは、勿論ヴィヴィアンヌだった。
「ふん、王族が何だ。ゼロリアスの第四皇女などに、我が帝国の英雄たる将軍閣下が礼を尽くす必要はない。そもそも、礼を尽くしていないのは貴様らの方だ」
リックとエミリオは気付いた。それはアリステリアとジルも同じである。
ここで今この瞬間、決して出会ってはならなかった最悪の相性同士が、最悪の状況で相対してしまったのだ。水と油などという可愛いものではない。例えるならこの二人は、プラスチック爆弾とニトログリセリンの様なものである。
「何だと貴様⋯⋯⋯?貴様らの様な下劣な虫けら共に、一体どうして殿下が礼を尽くす必要がある?」
「虫けらは貴様だ、この劣等人種め。極北の地には頭の悪い蛮族が多いと聞くが、貴様がそうか」
「この私を蛮族と罵るとはいい度胸だ。貴様の様なきゃんきゃん吼える番犬には、しっかりとした首輪と鎖と躾が必要だな」
「番犬で結構だ。貴様の様な駄犬よりはずっといい。皇女殿下も貴様の劣等っぷりには大層頭を痛めていると見える」
「片目では人の顔もよく見えんらしい。殿下が私に頭を痛めている様に見えるか?貴様のせいで、そっちの狂犬男の方がよっぽど頭を痛めた顔をしているぞ」
「貴様のご主人様と違って閣下はとてもお優しい。私に散々辱められている貴様を哀れに思っているのだ。感謝するがいい、雌豚」
「貴様!!殿下がお優しくないと言いたいのか!?しかも私を雌豚などと!私への侮辱だけなら痛めつけるだけにしてやろうと思ったが、殿下への侮辱は万死に値するぞクソ〇ッチ!」
「ふん、蛮族らしい俗語だな。育ちの悪さが分かる下品さだが、そのお陰で口の悪さは一級品か。貴様のような女は将軍ではなく、街の裏で腰を振る雌豚娼婦がお似合いだ」
「フ〇ック!!娼婦がお似合いなのは貴様だ阿婆擦れめ!その男の前で何度股を開いて今の地位を手に入れた?乱暴な狂犬は傷物の雌犬が好みらしいな!」
「雌豚風情が調子に乗るなよ!!私の閣下を侮辱して生きて帰れると思うな!貴様の大事な皇女殿下様の眼前に解体した貴様の屍を並べてやる!」
「貴様が私を殺すだと?面白い、やってみろ!私が何故風将と呼ばれているか、その身でたっぷりと味合わせてやる!」
激しい口喧嘩の末、怒りが頂点に達したヴィヴィアンヌとクラリッサ。止める間もなく、二人は同時に自分の武器へと手をかけ、一触即発の戦闘態勢に入る。こんな場で、しかもリックとアリステリアがいる前で、二人は本気の殺し合いを行なおうとしていた。
良く言えば忠臣者、悪く言えば病的なまでの忠誠心。そんな二人が、互いの主を連れて出会ってしまえば、衝突は避けられなかっただろう。どちらも自分の主が一番であり、主への侮辱の類は一切許さないからだ。
「ヴィヴィアンヌ」
「クラリッサ」
「「!?」」
この二人の喧嘩を止めるのは至難の業である。だがしかし、戦場で敵同士で出会ったなら兎も角、味方同士である現状で殺し合いなどさせるわけにはいかない。互いに頭を痛めながら、喧嘩中の二人の名を呼んだのは、リックとアリステリアだった。
「似た者同士なのは分かったから落ち着け。ゼロリアスと戦争起こす気か」
「ですが閣下!雌豚娼婦の分際で閣下を侮辱した以上、生かして帰すわけには⋯⋯⋯⋯!」
「クラリッサ、お前はどれだけ私の頭痛の種を増やせば気が済む?頭痛で私を殺す気か?」
「おっ、お許し下さい殿下!自分はただ、殿下に無礼を働く輩を野放しにさせないために⋯⋯⋯⋯!」
名前を呼んで喧嘩を止め、それぞれの部下に下がるよう目で命じる二人。絶対の忠誠を誓う主の命令ならば仕方ないと、不服ではありながらも、喧嘩を止めたヴィヴィアンヌとクラリッサだったが⋯⋯⋯⋯。
「殺す」
「死ね」
クラリッサは右手の中指を立て、ヴィヴィアンヌは左手の親指を下に向ける。両者、仲直りなどするつもりは毛頭なく、次会った時は殺し合うつもり満々であった。
「すみませんね殿下。うちのは少し血の気が多くて」
「許す。先に仕掛けたのは私の部下だ」
血の気の多い互いの部下は下がらせ、非礼を詫びるために前に出るリックとクラリッサ。二人の距離が近くなり、互いの間を歩幅で表せば二歩程度である。
軍議の場ではあまり気にしていなかったが、アリステリアとの距離が近付いた事で、リックは彼女の顔や姿をしっかりと確認した。
見た目の歳はリックと変わらないくらい。美しく整えられた長い髪と、きめ細かな色白い素肌。皇族用のドレスを纏うスレンダーな身体には、丁度良い大きさに成長した胸が張っている。綺麗に整った顔には、まるで宝石のように輝く真っ赤なルビーの様な瞳。
リックの目の前に立つ女性は、芸術的と呼ぶに相応しい美女だった。互いの距離が近くなった事で、彼女の美貌を知ってしまったリックは、その芸術的美しさに息を呑み、少し頬を赤らめる。
「綺麗だ⋯⋯⋯」
「なに?」
あまりの美貌にリックは、そう呟いてしまいたくなった。驚いて少し目を見開いたアリステリアが、思わず聞き返してしまう。
この事態にクラリッサは驚愕し、思考が停止してしまっていた。ずっと無表情だったジルですら、アリステリア同様に目を見開いてしまう程だ。
対して、エミリオとヴィヴィアンヌの反応は同じだった。二人共、「またか⋯⋯⋯」と言いたげな呆れ顔でリックを見ている。この二人、特にヴィヴィアンヌより彼との付き合いが長いエミリオには、直ぐに分かってしまった。また、この男の悪い癖が出たのだと⋯⋯⋯⋯。
「アリステリア殿下。もし宜しければ⋯⋯⋯、今度二人で食事にでも行きませんか?」
「⋯⋯⋯⋯」
「好きな食べ物は何ですか?美味い店を探しておきます」
少し赤い自分の頬を指でかきながら、恥ずかし気にアリステリアを食事に誘うリック。
エミリオとヴィヴィアンヌが呆れ、クラリッサが驚愕し、アリステリアが無言でいる中、ジルは一人吹き出してほんの一瞬笑った。本当に一瞬だけ笑ったジルに、驚いたアリステリアとクラリッサが振り返る。
「⋯⋯⋯⋯驚いたわ。ジルは人前でほとんど笑わないのに」
「えっ?俺、別に面白い事言ったつもりはないんですけど」
リックへと向き直りながら、アリステリアは驚きを隠せず口を開いた。
彼女の言う通り、ジルは常に無表情タイプであり、面白い話を聞こうが面白い事があろうが、絶対と言っていいほど笑わないのである。特に人前では、決して笑う姿を見せない。
笑わない彼女を笑わせたリックに、アリステリアは確実に興味を抱き始めていた。しかしまずは、一瞬だけ笑って見せつつも、いつもの無表情に戻ってしまったジルに対して、アリステリアは理由を問う事にする。
「ジル、何かおかしい事でもあった?」
「⋯⋯⋯⋯いえ、別に」
「隠さないで。後でお仕置きされたいの?」
アリステリアの言うお仕置きがどんなものなのか、どれだけ恐ろしいものなのかは、当然ながらリック達には分からない。そんな脅しで答えるのかと疑問に思っていたが、ジルは観念したように口を開いた。
「皇女を食事に誘うなんてあり得ない事ですから」
「ええ、そう?食事会なら貴族連中によく誘われるじゃない」
「その男は食事会ではなく、殿下を街の料理屋に誘っています。余りに常識がないので、思わず笑ってしまいました」
今度は、理由を聞き終えたアリステリアが笑ってしまう番だった。言われてみれば確かにそうだと思い、おかしくなってつい笑ってしまったのである。
「⋯⋯⋯⋯面白い男だ。私などと食事に行っても、楽しい事はないぞ」
「そうですか?俺だったら、こんな美人と一緒に過ごせるだけで楽しくなっちゃいます」
「お前ばかり楽しんでどうする。私を退屈させる気か?」
「もし退屈しちゃったら、その時はベッドの上で楽しませますよ」
最後は冗談を口にし、相変わらず無表情なアリステリアに向かって、リックは笑みを浮かべて見せた。
怒る事も、呆れる事もなく、アリステリアは暫くリックの目を見つめていたが、やがて振り返って背を向ける。リックに背を向けた彼女は、自らの陣へ戻るために歩き出す。
戻ろうとするアリステリアに、やはり無表情なジルと、当然のように怒りで顔を真っ赤にしたクラリッサが続く。特にクラリッサは、リックに対して敵意を剥き出しにし、怒気を込めた目で彼を睨み付けていった。
「肉がいいわ」
立ち去ろうとしたアリステリアが急に立ち止まり、背を向けたまま言葉を発した。彼女は振り返らず、リックへ向かって更に続ける。
「私を食事に誘いたいなら、美味いステーキを出す店を選びなさい」
それだけ告げて、アリステリアは再び歩き出した。立ち去っていく彼女達を見送ったリックは、エミリオとヴィヴィアンヌがいる方へと振り返る。
もう慣れているエミリオは呆れ顔を見せつつも、「君らしい」と言いたげに笑っていた。一方ヴィヴィアンヌは、据わった目をしてリックに詰め寄る。
「あんな女のどこがいいのですか?」
「いやまあ、その⋯⋯⋯⋯」
「この件、同志ミカヅキやアングハルトにも報告します」
「ちょっ、ちょっと待ってくれよヴィヴィアンヌさん!?それは勘弁して貰えると嬉しいんですけど⋯⋯⋯」
「では代わりに、我らが女王陛下にご報告致しましょう」
「お前俺を殺す気か!?」
「?」
全体軍議を終えた代表者達が天幕を後にし、それぞれの陣地に戻っていく。リック達も自分の陣地へ戻ろうとしていたが、彼の背中に声をかけて呼び止めた人物がいる。
その人物はロイドだった。彼は怪しい笑みを浮かべながら、一人リック達に近付いて来る。連れていた副官と軍警察指揮官は、少し離れた場所に待たせていた。
「つまらない軍議になると思ってたけど、アナタのお陰で退屈せずに済んだわ」
「こっちこそ、貴方のお陰で割と楽しめた。相手が誰だろうと恐れないああいう態度、嫌いじゃない」
「うふふっ、それはアナタもでしょ。王子相手に随分言ってやったじゃないの。アタシも好きよ、貴方みたいなオ・ト・コ♡」
愛の表現のつもりか、ロイドはリックに向かってウインクして見せる。反応に困り、苦笑いするリックを笑ったロイドは、ご機嫌な様子で今度はエミリオと顔を合わせた。
「特にアナタは、アタシ好みのいい男。アナタが噂の、うちのパパを負かした軍師さんでしょ?」
「負かしたというよりは、勝たせて頂いたという方が正しい。ところで、ドレビン将軍はお元気ですか?」
「どうかしらね、パパとは最近会ってないから。言伝でもあるなら聞くわよ?」
「心遣い感謝します。それでは、次に戦う時は夜間に陣を出歩かぬようにと、そうお伝え下さい」
言伝の内容を聞いたロイドは、エミリオの目の前で堪え切れずに大爆笑した。ヴァスティナ帝国がジエーデル国と戦った際、エミリオは夜間にジエーデル国軍の陣地を襲撃させ、ドレビンを捕縛した。ロイドはその話を知っていたのである。
「いいわね、気に入ったわ!エミリオって言ったわね、アナタ今からでもアタシのところに来なさいな」
「嬉しいお誘いですが、丁重にお断りさせて頂きます」
「あら残念。そんなに狂犬さんがお好きなの?」
「リクトビア・フローレンスあっての私です。他の私は在り得ない」
ロイドの勧誘をきっぱりと断ったエミリオは、口元に少し笑みを浮かべて頭を下げた。説得は無理そうだと悟ったロイドは、残念そうな顔をして引き下がる。
「気が変わったらいつでも言って。アタシは、アナタの様な優秀な人材を拒まない」
そう告げて振り返ったロイドは、自身の副官と軍警察指揮官のもとへと戻っていく。背を向けてエミリオから離れていったロイドは、振り返らずにエミリオへと手を振った。
「じゃあまたね、アタシ好みのイケメンさん」
手を振りながら挨拶して、ロイドは連れの者達と自分の陣地へ戻っていった。
話を終えたリック達は、再び自分達の陣へ戻ろうとする。すると今度は、思いがけない人物が彼らを呼び止めた。
「貴様の様な男が、リクトビア・フローレンスを名乗るとはな」
「!」
まるで、刃物にでも背中を刺されたような感覚がリックを襲う。背中に向けてかけられた言葉の鋭さ、言葉を放った人物の覇気が、そんな幻覚をリックに与えたのである。
振り返ったリックが目にしたのは、三人の女性の姿。声をかけた女性は軍議の場にいた、ゼロリアス帝国第四皇女アリステリアだった。彼女の傍には、軍議の時と同様に二人の将軍が控えている。アリステリアを護衛するように控えているのは、風将クラリッサと氷将ジルの二人だ。
「⋯⋯⋯⋯皇女殿下、俺に何か?」
「聞けば貴様は、ヴァスティナの女王直々にリクトビアの名を与えられたそうだな。初代王妃の名を得る事が出来た理由はなんだ?」
驚くべき事にアリステリアは、極北の地ゼロリアス帝国の姫でありながら、以前は南の小国だったヴァスティナ帝国の初代王妃を知っているのだ。
リクトビア・フローレンスとは本来、ヴァスティナ帝国を建国した初代王妃の本当の名。南ローミリア内では知られている歴史であっても、大陸全体で見れば、何処にでもある小国の歴史の一つに過ぎない。だが彼女は、そんな小国の歴史上に登場する人物の名を知り、リックがその名を得た理由を知りたがっている。
アリステリアの真意は、リックにも分からない。ただ分かっているのは、下手な誤魔化しや嘘は通用しない相手であるという事だ。
「⋯⋯⋯⋯常に強く気高く、愛する仲間達と共にあったリクトビア王妃と同じであって欲しいと、そう願われました」
「⋯⋯⋯⋯⋯」
「この名前は、陛下が俺を救うために与えたもの。そして俺が、陛下を守る力を得るためのもの。これが名を得た理由です、殿下」
王族としての威厳と覇気を纏う彼女に、真剣な顔で一歩も退かず、堂々とリックは答えて見せた。アリステリアは彼の答えを、無表情のまま眉一つ動かさず聞き終えると、再び口を開いた。
「ならばその戦妃の名、決して辱めるな」
リクトビアの名を汚すなと、ゼロリアスの姫が命令する。ヴァスティナ王族とは何の関係もないはずの彼女は、リクトビアの名を大切なものだと思っている。
何故なのかは分からない。ただ、言われなくても汚すような真似はしないと、大切な名として扱うと決めている。故に、リックは迷わず答える。
「言われなくても分かってる」
半ば反射的に、そして無意識に答えてしまい、アリステリアに対して礼儀を欠いた言葉になってしまった。
これが不味かった。アリステリアに絶対の忠誠を誓い、彼女の番犬の様な存在であるクラリッサが、リックの無礼を見逃さなかったのである。
「貴様!成り上がりった小国の分際で、殿下に向かってなんという口の利き方だ!どうやら田舎の犬畜生は王族に対する礼節を知らんと見える!」
怒気を放ってリックを侮辱したクラリッサ。すると今度は、リックに絶対の忠誠を誓っている本物の番犬が、彼への侮辱を見逃さない。
クラリッサと同じように怒気を放ち、鋭い眼光で彼女を睨み付けながら前に出たのは、勿論ヴィヴィアンヌだった。
「ふん、王族が何だ。ゼロリアスの第四皇女などに、我が帝国の英雄たる将軍閣下が礼を尽くす必要はない。そもそも、礼を尽くしていないのは貴様らの方だ」
リックとエミリオは気付いた。それはアリステリアとジルも同じである。
ここで今この瞬間、決して出会ってはならなかった最悪の相性同士が、最悪の状況で相対してしまったのだ。水と油などという可愛いものではない。例えるならこの二人は、プラスチック爆弾とニトログリセリンの様なものである。
「何だと貴様⋯⋯⋯?貴様らの様な下劣な虫けら共に、一体どうして殿下が礼を尽くす必要がある?」
「虫けらは貴様だ、この劣等人種め。極北の地には頭の悪い蛮族が多いと聞くが、貴様がそうか」
「この私を蛮族と罵るとはいい度胸だ。貴様の様なきゃんきゃん吼える番犬には、しっかりとした首輪と鎖と躾が必要だな」
「番犬で結構だ。貴様の様な駄犬よりはずっといい。皇女殿下も貴様の劣等っぷりには大層頭を痛めていると見える」
「片目では人の顔もよく見えんらしい。殿下が私に頭を痛めている様に見えるか?貴様のせいで、そっちの狂犬男の方がよっぽど頭を痛めた顔をしているぞ」
「貴様のご主人様と違って閣下はとてもお優しい。私に散々辱められている貴様を哀れに思っているのだ。感謝するがいい、雌豚」
「貴様!!殿下がお優しくないと言いたいのか!?しかも私を雌豚などと!私への侮辱だけなら痛めつけるだけにしてやろうと思ったが、殿下への侮辱は万死に値するぞクソ〇ッチ!」
「ふん、蛮族らしい俗語だな。育ちの悪さが分かる下品さだが、そのお陰で口の悪さは一級品か。貴様のような女は将軍ではなく、街の裏で腰を振る雌豚娼婦がお似合いだ」
「フ〇ック!!娼婦がお似合いなのは貴様だ阿婆擦れめ!その男の前で何度股を開いて今の地位を手に入れた?乱暴な狂犬は傷物の雌犬が好みらしいな!」
「雌豚風情が調子に乗るなよ!!私の閣下を侮辱して生きて帰れると思うな!貴様の大事な皇女殿下様の眼前に解体した貴様の屍を並べてやる!」
「貴様が私を殺すだと?面白い、やってみろ!私が何故風将と呼ばれているか、その身でたっぷりと味合わせてやる!」
激しい口喧嘩の末、怒りが頂点に達したヴィヴィアンヌとクラリッサ。止める間もなく、二人は同時に自分の武器へと手をかけ、一触即発の戦闘態勢に入る。こんな場で、しかもリックとアリステリアがいる前で、二人は本気の殺し合いを行なおうとしていた。
良く言えば忠臣者、悪く言えば病的なまでの忠誠心。そんな二人が、互いの主を連れて出会ってしまえば、衝突は避けられなかっただろう。どちらも自分の主が一番であり、主への侮辱の類は一切許さないからだ。
「ヴィヴィアンヌ」
「クラリッサ」
「「!?」」
この二人の喧嘩を止めるのは至難の業である。だがしかし、戦場で敵同士で出会ったなら兎も角、味方同士である現状で殺し合いなどさせるわけにはいかない。互いに頭を痛めながら、喧嘩中の二人の名を呼んだのは、リックとアリステリアだった。
「似た者同士なのは分かったから落ち着け。ゼロリアスと戦争起こす気か」
「ですが閣下!雌豚娼婦の分際で閣下を侮辱した以上、生かして帰すわけには⋯⋯⋯⋯!」
「クラリッサ、お前はどれだけ私の頭痛の種を増やせば気が済む?頭痛で私を殺す気か?」
「おっ、お許し下さい殿下!自分はただ、殿下に無礼を働く輩を野放しにさせないために⋯⋯⋯⋯!」
名前を呼んで喧嘩を止め、それぞれの部下に下がるよう目で命じる二人。絶対の忠誠を誓う主の命令ならば仕方ないと、不服ではありながらも、喧嘩を止めたヴィヴィアンヌとクラリッサだったが⋯⋯⋯⋯。
「殺す」
「死ね」
クラリッサは右手の中指を立て、ヴィヴィアンヌは左手の親指を下に向ける。両者、仲直りなどするつもりは毛頭なく、次会った時は殺し合うつもり満々であった。
「すみませんね殿下。うちのは少し血の気が多くて」
「許す。先に仕掛けたのは私の部下だ」
血の気の多い互いの部下は下がらせ、非礼を詫びるために前に出るリックとクラリッサ。二人の距離が近くなり、互いの間を歩幅で表せば二歩程度である。
軍議の場ではあまり気にしていなかったが、アリステリアとの距離が近付いた事で、リックは彼女の顔や姿をしっかりと確認した。
見た目の歳はリックと変わらないくらい。美しく整えられた長い髪と、きめ細かな色白い素肌。皇族用のドレスを纏うスレンダーな身体には、丁度良い大きさに成長した胸が張っている。綺麗に整った顔には、まるで宝石のように輝く真っ赤なルビーの様な瞳。
リックの目の前に立つ女性は、芸術的と呼ぶに相応しい美女だった。互いの距離が近くなった事で、彼女の美貌を知ってしまったリックは、その芸術的美しさに息を呑み、少し頬を赤らめる。
「綺麗だ⋯⋯⋯」
「なに?」
あまりの美貌にリックは、そう呟いてしまいたくなった。驚いて少し目を見開いたアリステリアが、思わず聞き返してしまう。
この事態にクラリッサは驚愕し、思考が停止してしまっていた。ずっと無表情だったジルですら、アリステリア同様に目を見開いてしまう程だ。
対して、エミリオとヴィヴィアンヌの反応は同じだった。二人共、「またか⋯⋯⋯」と言いたげな呆れ顔でリックを見ている。この二人、特にヴィヴィアンヌより彼との付き合いが長いエミリオには、直ぐに分かってしまった。また、この男の悪い癖が出たのだと⋯⋯⋯⋯。
「アリステリア殿下。もし宜しければ⋯⋯⋯、今度二人で食事にでも行きませんか?」
「⋯⋯⋯⋯」
「好きな食べ物は何ですか?美味い店を探しておきます」
少し赤い自分の頬を指でかきながら、恥ずかし気にアリステリアを食事に誘うリック。
エミリオとヴィヴィアンヌが呆れ、クラリッサが驚愕し、アリステリアが無言でいる中、ジルは一人吹き出してほんの一瞬笑った。本当に一瞬だけ笑ったジルに、驚いたアリステリアとクラリッサが振り返る。
「⋯⋯⋯⋯驚いたわ。ジルは人前でほとんど笑わないのに」
「えっ?俺、別に面白い事言ったつもりはないんですけど」
リックへと向き直りながら、アリステリアは驚きを隠せず口を開いた。
彼女の言う通り、ジルは常に無表情タイプであり、面白い話を聞こうが面白い事があろうが、絶対と言っていいほど笑わないのである。特に人前では、決して笑う姿を見せない。
笑わない彼女を笑わせたリックに、アリステリアは確実に興味を抱き始めていた。しかしまずは、一瞬だけ笑って見せつつも、いつもの無表情に戻ってしまったジルに対して、アリステリアは理由を問う事にする。
「ジル、何かおかしい事でもあった?」
「⋯⋯⋯⋯いえ、別に」
「隠さないで。後でお仕置きされたいの?」
アリステリアの言うお仕置きがどんなものなのか、どれだけ恐ろしいものなのかは、当然ながらリック達には分からない。そんな脅しで答えるのかと疑問に思っていたが、ジルは観念したように口を開いた。
「皇女を食事に誘うなんてあり得ない事ですから」
「ええ、そう?食事会なら貴族連中によく誘われるじゃない」
「その男は食事会ではなく、殿下を街の料理屋に誘っています。余りに常識がないので、思わず笑ってしまいました」
今度は、理由を聞き終えたアリステリアが笑ってしまう番だった。言われてみれば確かにそうだと思い、おかしくなってつい笑ってしまったのである。
「⋯⋯⋯⋯面白い男だ。私などと食事に行っても、楽しい事はないぞ」
「そうですか?俺だったら、こんな美人と一緒に過ごせるだけで楽しくなっちゃいます」
「お前ばかり楽しんでどうする。私を退屈させる気か?」
「もし退屈しちゃったら、その時はベッドの上で楽しませますよ」
最後は冗談を口にし、相変わらず無表情なアリステリアに向かって、リックは笑みを浮かべて見せた。
怒る事も、呆れる事もなく、アリステリアは暫くリックの目を見つめていたが、やがて振り返って背を向ける。リックに背を向けた彼女は、自らの陣へ戻るために歩き出す。
戻ろうとするアリステリアに、やはり無表情なジルと、当然のように怒りで顔を真っ赤にしたクラリッサが続く。特にクラリッサは、リックに対して敵意を剥き出しにし、怒気を込めた目で彼を睨み付けていった。
「肉がいいわ」
立ち去ろうとしたアリステリアが急に立ち止まり、背を向けたまま言葉を発した。彼女は振り返らず、リックへ向かって更に続ける。
「私を食事に誘いたいなら、美味いステーキを出す店を選びなさい」
それだけ告げて、アリステリアは再び歩き出した。立ち去っていく彼女達を見送ったリックは、エミリオとヴィヴィアンヌがいる方へと振り返る。
もう慣れているエミリオは呆れ顔を見せつつも、「君らしい」と言いたげに笑っていた。一方ヴィヴィアンヌは、据わった目をしてリックに詰め寄る。
「あんな女のどこがいいのですか?」
「いやまあ、その⋯⋯⋯⋯」
「この件、同志ミカヅキやアングハルトにも報告します」
「ちょっ、ちょっと待ってくれよヴィヴィアンヌさん!?それは勘弁して貰えると嬉しいんですけど⋯⋯⋯」
「では代わりに、我らが女王陛下にご報告致しましょう」
「お前俺を殺す気か!?」
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さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
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あらすじ:
宝生和也(ほうしょうかずや)はペットショップに居た犬を助けて死んでしまう。そして、創造神であるエイネに特殊能力を与えられ、異世界へと旅立った。
彼に与えられたのは生き物に合わせて性能を変える「万能グルーミング」だった。
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しかし能力を開示する魔道具が発動しなかったことを皮切りに、お姫様も想像だにしない出来事が起こった。
突如鳴り出すメール音。SNSのメロディ。
そして学校前を包囲する警察官からの呼びかけにクラスが騒然とする。
なんと、いつの間にか元の世界に帰ってきてしまっていたのだ!
──王城ごと。
王様達は警察官に武力行為を示すべく魔法の詠唱を行うが、それらが発動することはなく、現行犯逮捕された!
そのあとクラスメイトも事情聴取を受け、翌日から普通の学校生活が再開する。
何故元の世界に帰ってきてしまったのか?
そして何故か使えない魔法。
どうも日本では魔法そのものが扱えない様で、異世界の貴族達は魔法を取り上げられた平民として最低限の暮らしを強いられた。
それを他所に内心あわてている生徒が一人。
それこそが磯貝章だった。
「やっべー、もしかしてこれ、俺のせい?」
目の前に浮かび上がったステータスボードには異世界の場所と、再転移するまでのクールタイムが浮かび上がっていた。
幸い、章はクラスの中ではあまり目立たない男子生徒という立ち位置。
もしあのまま帰って来なかったらどうなっていただろうというクラスメイトの話題には参加させず、この能力をどうするべきか悩んでいた。
そして一部のクラスメイトの独断によって明かされたスキル達。
当然章の能力も開示され、家族ごとマスコミからバッシングを受けていた。
日々注目されることに辟易した章は、能力を使う内にこう思う様になった。
「もしかして、この能力を金に変えて食っていけるかも?」
──これは転移を手に入れてしまった少年と、それに巻き込まれる現地住民の異世界ドタバタコメディである。
序章まで一挙公開。
翌日から7:00、12:00、17:00、22:00更新。
序章 異世界転移【9/2〜】
一章 異世界クラセリア【9/3〜】
二章 ダンジョンアタック!【9/5〜】
三章 発足! 異世界旅行業【9/8〜】
四章 新生活は異世界で【9/10〜】
五章 巻き込まれて異世界【9/12〜】
六章 体験! エルフの暮らし【9/17〜】
七章 探索! 並行世界【9/19〜】
95部で第一部完とさせて貰ってます。
※9/24日まで毎日投稿されます。
※カクヨムさんでも改稿前の作品が読めます。
おおよそ、起こりうるであろう転移系の内容を網羅してます。
勇者召喚、ハーレム勇者、巻き込まれ召喚、俺TUEEEE等々。
ダンジョン活動、ダンジョンマスターまでなんでもあります。
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眼前には巨大な狼と蛇が戦っており、子狼が悲痛な遠吠えをあげている。
暗殺者だが犬好きな颯太は、コルト・ガバメントを引き抜き蛇の眉間に向けて撃つ。しかし蛇は弾丸などかすり傷にもならない。
吹き飛ばされた颯太が宝箱を目にし、武器はないかと開ける。そこには大ぶりな回転式拳銃(リボルバー)があるが弾がない。
「氷魔法を撃って! 水色に合わせて、早く!」
巨大な狼の思念が頭に流れ、颯太は色づけされたチャンバーを合わせ撃つ。蛇を一撃で倒したが巨大な狼はそのまま絶命し、子狼となりゆきで主従契約してしまった。
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