贖罪の救世主

水野アヤト

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第四十二話 プレイン・バーン作戦 前編

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 全体軍議が行なわれているホーリスローネ王国軍陣地内には、勇者連合から派遣された五人の勇者がいる。
 軍議の場から離れた陣地内の兵舎で、調理を終えた焚火跡を囲み、遅い朝食を取っている三人の勇者達がいた。彼らは朝食のパンとスープに手を付けながら、一人の勇者が語る話に耳を傾けている。
 
「⋯⋯⋯⋯⋯って事があって、俺はずっとリクトビアを憎んでる。この前奴を見つけた時は自分を抑えられなくなって、それで斬りかかったんだ」

 語り聞かせている勇者の名は、大剣の勇者ルーク。真の名は、ルーク・クラウダ・オーデル。滅亡した大国オーデル王国の第二王子であり、王族最後の血筋である。
 ルークの話を聞いている勇者の名は、有馬櫂斗《ありまかいと》と早水悠紀《はやみゆき》。伝説の秘宝に選ばれし、異世界から召喚された勇者達である。
 
「俺を殴った奴が、まさかルークの仇だったなんて⋯⋯⋯⋯」
「でも、その人のお陰で先輩と華夜ちゃんが助かったって思うと、何だか複雑ね」

 ルークが二人に語って聞かせたのは、自分の過去と正体についてだった。
 話のきっかけは、櫂斗と悠紀が訊ねたからだ。クレイセル大平原で行なわれた緒戦の日、ルークがヴァスティナ帝国の将軍を襲ったと、兵達が噂しているのを偶然聞いた二人は、気になって彼に真偽を確かめたのである。
 ルークは二人に事の経緯を語って聞かせ、全てを話した。話を聞いた二人は、アリオンがヴァスティナ帝国について話した時の事を思い出す。あの時アリオンが、ルークの姿がないのを確認したのは、彼に気を遣っての事だったと知った。
 
 ヴァスティナ帝国将軍リクトビア・フローレンスは、かつてオーデル王国と二度戦い、ルークの兄と父をその手に掛けた。以来、ルークはリクトビアへの復讐を誓い、彼の命を狙い続けている。前回は失敗したが、復讐の炎は未だ消えていないのだ。
 しかし、リクトビアがいたからこそ、ボーゼアス義勇軍に捕らわれた二人の勇者、九条真夜《くじょうまや》と九条華夜《くじょうかや》の姉妹は、無事戻って来る事が出来た。リクトビアが救出作戦を行なっていなければ、今頃二人は、それどころか勝手に一人で助けに向かった櫂斗の身も、どうなっていたか分からない。
 
「櫂斗だって、あの人達がいなかったら今頃死んでたかもしれないのよ?」
「そっ、そうだけど⋯⋯⋯⋯。だからってあの野郎、いきなり殴らなくてもいいだろ」
「殴られたのは自業自得よ。私があの人の立場でもきっとそうする」
「お陰で歯が折れてずっと痛いんだよ。今日の飯もスープが染み⋯⋯⋯⋯、痛っ!」

 櫂斗はリクトビアに殴られた事もあって、彼の顔をはっきりと覚えている。自分を殴ったあの時の男がルークの仇だったと知り、悠紀同様に櫂斗もまた複雑な心境を抱いていた。
 真夜と華夜の二人と一緒に、櫂斗もまた帝国国防軍の救出部隊に助けられた。救出を命令したのはリクトビアであり、命を救われた恩がある。その後、彼に殴られ怒鳴られもしたが、命を助けられたのは事実だ。
 ルークの話を聞いた限り、リクトビアは彼の家族の仇という事になる。狂った邪悪な笑みを浮かべ、情け容赦なく自らの手でルークの兄と父親を殺し、彼の祖国を滅亡させる原因を生んだ大罪人。彼の話を聞く限りでは、リクトビアとはそういう冷酷な人間だ。
 
「⋯⋯⋯⋯⋯助けてくれたのには感謝してるけどさ、恐い奴なのは間違いないよな。あの時のあいつの目、俺を殺す気だった」

 感謝の気持ちは抱いても、それ以上に櫂斗は恐怖を覚えた。あの時櫂斗がその身に感じたのは、猛烈な怒りと殺意だったからだ。
 あんな男であれば、怒りに任せて平気で人を殺し、国を滅亡させる事だってできる。事実、リクトビアはこれまで多くの人間を殺し、軍隊を率いて他国への侵攻も行なっている。冷酷な男なのは本当だと、櫂斗もそう思っていた。

「本当にそうなのかな⋯⋯⋯⋯」
「うん?」
「ルークが憎む仇なのは分かったし、櫂斗が言った事も間違ってないと思う。でも私には、二人が言うような悪い人には見えなかった」

 リクトビアが櫂斗の胸倉を掴み上げ、殴りつけた瞬間も、言い放った言葉も、はっきりと悠紀は覚えている。櫂斗同様に彼女もまた、リクトビアが放っていた怒りと殺意を感じ取った。
 だが彼女は、リクトビアが放つ怒りの感情の中にある、深い悲しみや恐れも感じ取っていた。何故彼があれほどまでに怒りを示し、櫂斗に殺意を向けたのか、お陰で悠紀にはその理由が分かる。

 彼は恐かったのだ。櫂斗を助けるために傷付いた、自分の部下達の姿を、そしてレイナの姿を見て、我を忘れてしまう程に恐れてしまった。
 下手をすれば死んでいたかもしれない。その恐れが彼から理性を奪い、抱いた恐怖を怒りと殺意に変えてしまった。
 あの瞬間リクトビアは、酷く恐怖した事だろう。送り出さなければよかったと、激しく後悔もしただろう。あの時の彼の気持ちを、この場の誰よりも察する事ができる悠紀にとって、リクトビアは冷酷な悪い人間ではなかった。
 寧ろ、優し過ぎで怖がりな、冷酷非情な姿など似合わない、自分達と変わらない人間にしか見えなかったのである。

「お前は知らないだけだ」
「⋯⋯⋯!」
「リクトビアはローミリアを支配しようと企んでる悪魔だ。目的のためなら手段を選ばない。歯向かう者を全員殺して自分の野望を叶えようとしてる、最低最悪の男なんだよ」

 悠紀の意見にルークは反発し、彼はリクトビアを悪魔と呼んだ。
 悠紀がどう思おうと関係なく、憎しみを宿した瞳で見たリクトビアを、冷酷非情な悪魔とルークは決めつけている。そこに正しさや間違いはなく、自分がそうだと定めてしまった存在こそが、諸悪の根源なのだ。
 憎しみに囚われる今の彼に、何を言っても考えは変わらない。そんな彼の言葉に、よく考えもしない櫂斗が影響を受けている。櫂斗もまたルーク同様に、偏った考えの言葉と、自分が見たリクトビアの一部分で、リクトビアを敵と考えるようになっている。
 
 ルークと櫂斗。今の二人は危ういと思いながら、悠紀は一人言葉を口に出せずにいる。
 彼らの一方的な決めつけは、誰かに利用されやすい危うさを持つ。彼らは自分の頭で考えず、ただ人から聞いた言葉に影響され、本当はそうでないかも知れない人間を、自分達の敵だと思い込んでいる。
 それは間違っている事なのだと、悠紀は彼らに教えようとした。だが彼女は、この二人には何を言っても無駄だと思い、口に出すのを止めた。どうせこの二人は、自分達が聞きたくない言葉には耳を貸さないと、もう分かっていたからだ。
 
「それはいいんだけど、だからって勝手な事はもうしないで。あの人達は今は味方なんだから、復讐のために後ろから刺そうとか考えないでよね」
「⋯⋯⋯⋯」
「おい悠紀、そんな言い方ないだろ。ルークの気持ち考えてやれよ」
「馬鹿櫂斗。今度ルークがやらかしたら、同じ勇者の私達までとばっちりを受けるかもしれないのよ?その時は櫂斗が責任取ってよね」
「せっ、責任取れって言われたってさ⋯⋯⋯⋯」
「できないなら言わないで。私、櫂斗が勝手に助けに行ったこともまだ怒ってるんだから」

 何も分かっていない二人に苛立ちを覚え、櫂斗に当たる悠紀。何も言えなくなった二人を無視し、不機嫌そうに一人食事を続ける悠紀のもとに、一人の人物が近付いてきた。
 気配に気付いた三人が振り返ると、そこには同じ勇者であり仲間でもある、長髪の少女の姿があった。

「先輩!休んでなくていいんですか?」
「⋯⋯⋯大丈夫。心配してくれてありがとう」

 現れたのは真夜だった。
 彼女を気遣った悠紀が真っ先に声をかけたが、真夜は口元に少し笑みを浮かべ、心配させまいと振舞っている。しかし、悠紀達の目から見た真夜は少し窶《やつ》れ、顔色も悪く、目元には隈ができてしまっていた。
 敵に攫われ、敵陣地で男達に強姦された真夜は、精神に大きな傷を負ってしまった。無事助け出されたものの、身体に負った傷は治せても、心に負ってしまった傷はそう簡単に癒せるものではない。ここに戻って来てからの彼女は、ほとんど外に出る事なく、救護用天幕の中で寝て過ごすばかりであった。
 食事もあまり喉を通らず、寝て過ごしていると言っても、中々寝付く事が出来ない。何とか眠りについても、男達に襲われた時の記憶が悪夢として蘇り、無理やり起こされてしまう。心の病を患ってしまった彼女は病に蝕まれ、心も身体も消耗し切っているのだ。

「気分が悪くなったらすぐに言って下さいね。お医者さんを呼んできますから」
「迷惑をかけてごめんなさい。そんなに気を遣わなくても、華夜に比べたら私の方が平気だから」
「華夜ちゃん⋯⋯⋯、今日も起きないんですね」
「ええ。あの夜気を失ってから、ずっと眠っているわ」

 真夜と共に救出された華夜は、敵陣地内で勇者の力を解放させ、力を使い果たして気を失ってしまった。助け出された夜から今日で四日目となるが、今も華夜は眠り続けている。
 眠っている華夜は、真夜と同じ天幕の中にいる。大切な妹である彼女の傍にいたいと、皆に真夜がそう訴えたからだ。
 華夜はいつ目覚めるのか、心配する悠紀が訊ねるも、その答えは真夜自身が知りたい事である。身体を揺すっても、耳元で声をかけても、何をやっても目覚めない華夜は、この先目覚める事が出来るか、一番不安なのは真夜なのである。
 
「起きる気配は少しもないの。このままずっと起きないんじゃないかって⋯⋯⋯⋯⋯」
「諦めちゃ駄目です先輩。華夜ちゃんならきっと大丈夫」
「私も、目覚めるって信じたい。ただ、華夜にとっては眠っている方が幸せかも知れないって、そう思うの」

 真夜の言葉に悠紀だけでなく、話を聞いていた櫂斗やルークも驚愕する。
 華夜の目覚めを諦めているわけではない。たが真夜は、彼女の幸福を考えるならば、このまま眠らせてあげたいとも考えている。少なくとも、この世界にいる間だけは⋯⋯⋯⋯。

「私でさえこんな有様なのに、華夜がこれ以上この世界に堪えられるわけがない。だったらもういっそ、何も見なくていいように眠らせてあげたいの」
「先輩⋯⋯⋯⋯」
「華夜は早水さんのように強い子じゃないから、そうさせてあげないと苦しむばかりだから⋯⋯⋯」

 眠らせたままでいたいと願う真夜の脳裏に、あの夜の出来事が蘇る。
 やっと秘宝の力を解放し、聖書の力で化け物を召喚した華夜は、真夜を襲った男達ごと周囲を焼き払い、姉である彼女を救った。
 あの夜華夜は、初めて人を殺した。大勢の人間を化け物の力で焼き殺したのである。その時の華夜がどんな顔をしていたのか、真夜は忘れる事が出来ない。
 華夜は楽しそうに笑っていたのだ。自分の召喚した化け物が、大勢の人間を焼き殺す様を見て、心の底から愉しそうに笑っていた。人殺しを愉しんであの夜の華夜は、真夜のよく知る大切な妹ではなかったのである。笑みを浮かべていた彼女は、自身が操っていた化け物以上に、冷酷で残忍な化け物だった。
 再び目覚めれば、残酷な現実にまた苦しむ事になる。華夜を苦しませたくないという想いから、彼女の目覚めを望まない。当然その想いはあるが、真夜の本音は違う。冷酷無比な圧倒的力を殺戮のために振るう、変わり果てた妹の姿を、もう二度と見たくないのだ。

「心配してくれているのに、本当にごめんなさい」
「いいんです、気にしないで下さい。一番辛いのは先輩だって分かってますから」
「⋯⋯⋯⋯」
「そっ、そうだ!先輩お腹空いてません?朝食がまだなら一緒にどうですか?」

 気持ちを切り替えるために話題を変え、悠紀が真夜を食事に誘う。頷いて答えた真夜は、未だ目覚めぬ華夜の話を終えて悠紀の隣に座り込む。

「早水さんも有馬君も、今日は随分遅い朝食なのね」
「遅くなったなのは悠紀のせいです。こいつ、朝早くに俺とルークを叩き起こして、突然朝練しようとか言い出して」
「だって、何だかじっとしてられないんだもん。またいつ戦いになるか分かんないんだから、こういう時に技の練習しておかないといけないでしょ」

 朝早く目を覚ました悠紀は、半ば無理やりに櫂斗とルークを連れ、さっきまで槍術や魔法の練習をしていたのである。練習台にされた櫂斗とルークは、朝からやる気十分だった悠紀の頼みで、主に技の受け役や模擬戦の相手をさせられた。
 練習に熱が入った悠紀のお陰で、三人はすっかり朝食の時間に遅れてしまい、危うく朝食を取り損ねるところだった。練習でお腹を空かせた三人のために、気を利かせた王国軍の兵達が、三人の分の朝食を残しておいてくれたお陰で、こうして遅い朝食にあり付けているのだ。
 
 きっと何も食べていないだろうと思い、気を利かせた櫂斗が新しい器を用意し、焚火跡に置かれている鍋の中を見る。鍋にはまだスープが残っており、あと一杯分はありそうだった。レードルでスープを掬い上げた櫂斗は、用意した器にスープを注ぎ、器を真夜に差し出した。

「先輩、どうぞ。少し冷めちゃってますけど、ちょっとは食べた方がいいですよ」
「⋯⋯⋯⋯!!」

 次の瞬間、真夜は差し出された器と櫂斗の手を弾き、隣にいる悠紀に向かって抱き付いた。何事かと慌てた三人が見たものは、悠紀の胸元に顔を埋め、恐怖に怯えて震える真夜の姿だった。
 
「せっ、先輩⋯⋯⋯?どうしたんですか?」
「櫂斗!それとルークも!先輩に近付かないで!!」

 怯える真夜を抱いて、悠紀は二人を彼女から遠ざけようとする。
 真夜は敵陣地で自分達がどんな目に遭ったか、誰にも詳しく話してはいない。話そうとすると、猛烈な不快感と苦しさに襲われるからだ。
 それでも、何があったのか察する事は出来る。救出された直後の真夜の姿を見ている悠紀ならば、尚更だった。
 櫂斗の手を弾いた真夜は、彼というより男を恐れた。櫂斗が差し出した手が、あの夜自分を襲った男達の手と重なって見え、驚き恐怖したのである。怯える彼女の気持ちを察した悠紀は、今の彼女に男を近付けてはならないと考えて、櫂斗とルークに離れるよう叫んだのだ。

「いや⋯⋯⋯⋯!来ないで⋯⋯⋯⋯⋯⋯!」
「落ち着いて下さい。ここにはもう、先輩を恐がらせる人はいませんから」

 震え続ける真夜の身体を抱く悠紀が、自分の胸に顔を埋める彼女に、安心できるよう優しく言葉をかける。真夜を落ち着かせようと、一人で彼女を守る悠紀の姿を、櫂斗もルークも何も出来ずに見ている事しかできなかった。
 彼らには今の真夜を救えない。男であるからという以前に、彼らは真夜が負ってしまった心の傷を、真に理解できていない。今の真夜を介抱できるのは、怯える彼女の心を理解した、同じ女である悠紀だけだ。

「恐くない、恐くない⋯⋯⋯⋯」
「早水さん⋯⋯⋯⋯、私――――――」
「先輩は私が守ります。だから安心して下さいね」

 少しずつ落ち着きを取り戻す真夜と、安心させるために微笑みを浮べながらも、苦しむ彼女の姿に悲しみの涙を流す悠紀。
 戦場ではよくある悲劇だと思い、見慣れた光景だったにもかかわらず、苦しむ二人を見ていて辛くなり、目を背けたルーク。
 そして櫂斗は、自分の無力と無知を思い知り、一体どうすればいいのか分からず、悠紀と真夜を見つめたまま固まってしまっていた。
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