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第三話 集う力
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それから少し、時が流れた。
「なんで笑うんですか陛下。俺、そんなに可笑しいこと言いました?」
「ごめんなさい。ふふっ、でも可笑しいんです」
帝国に帰還して早々の仕事。二人の男との出会いは、帝国軍に新たな力をもたらした。
ゴリオンはヘルベルトに任せ、帝国軍の兵士というより、鉄血部隊と同じく、リック直属の部下として扱うことになった。
理由は簡単である。リック以外に、彼を有効に使えそうな者は、この帝国にはいないからだ。どうやってゴリオンという、大きな力を運用するのかは、リックに考えがある。ならば、直属の部下にした方が良いと判断したのだ。
エミリオはレイナとクリスの監視のもと、帝国の内部調査に乗り出していた。監視されているのは、レイナとクリスが、未だにエミリオを疑っているためだ。リックの指示でなく、二人の独断である。
内部調査をしているエミリオは、それによって、帝国と軍全体の状況を把握しようとしている。それが軍師としての、自分の最初の仕事だと考えているためだ。
シャランドラはヘルベルトに付いて行き、里の人々のための、準備に取り掛かろうとしていた。主に人員の手配と、打ち合わせのためである。
こうして皆と別れたリックは一人、女王陛下への報告のために城を目指した。女王陛下と再会し、出来事と結果を報告して、必要なことを手配して貰う。
それが終わった後、政務の休息に入ろうとした女王ユリーシアは、リックを誘い、寝室でお茶会を開いた。今リックは、ユリーシアとのお茶会で、旅の話を披露しているのだ。部屋には、リックとユリーシアの二人だけである。
「そんなに面白いですか、俺がシャランドラの実験台になってた話?」
「面白いです。無理やり実験台にされるリック様を想像すると、笑いが堪えられなくて」
「はは。・・・・・・・陛下に喜んで貰えて嬉しいです」
隠れ里を探して道に迷ったこと、里での出会いと生活、そして竜との激闘。彼女は時に笑い、驚き、リックの話を楽しんで聞いている。女王であり、目の見えない彼女にとって、お話と言うのは特別なものだ。彼女にとっては数少ない楽しみであり、この時間だけは、女王でなく少女に戻れる。
年相応の笑顔を見せるユリーシア。出会った時から、彼女は悲しみに満ちた表情を見せることが多い。まだ少女でありながら、一国の女王としての責任を課せられ、様々な苦しみが彼女を襲う。
そんな彼女には、いつも笑顔でいて欲しいと願う。今の様に、少女の笑顔を浮かべ、幸福な人生を歩んで欲しいと、彼女に忠誠を誓うリックは願い続けている。それを邪魔する障害は、なんであろうと消し去ると、彼は心に誓っているのだ。
「陛下の笑顔が見られただけでも、旅に出て行った甲斐がありましたよ」
「私はずっと、リック様のことが心配でした。・・・・・・本当ですよ?」
「心配をかけてしまい、申し訳ありませんでした。でも、貴女との約束のためには、どうしても必要なことだったんです」
リックとユリーシアの約束。他に、この約束を知る者は誰もいない。
二人だけの大切な約束だ。リックにとっても、ユリーシアにとっても、この約束は生きる意味そのものである。
だからこそ、リックは命を懸けた。全ては、女王ユリーシアのために。
「リック様・・・・・・。だからといって-------」
「ところで陛下。メシア団長はどこにいるのですか?帰還してまだ会っていないのです」
「えっ?メシアなら城のどこかにいるはずですよ。今日も軍務に務めていたはずです」
「そうですか。早く再会したいですよ。メシア団長に抱きしめられて、あの豊満な胸に顔を埋めないと、帝国に帰ってきた気がしないんです」
「・・・・・・・・・・・」
「思いっきり引かないでください、俺の純情な心が傷つきます」
「リリカさんが貴方のことを、下衆な心の持ち主だと言っていましたよ・・・・・」
「ぐはっ!?」
絶対の忠誠を誓い、愛している女王陛下に、下衆な心の持ち主だと知られてしまった。リリカの口によってである。これによるダメージは大きい。
頭を抱え、苦悩するリックの姿を感じ、面白くて吹き出してしまったユリーシア。リックのことを心配するあまり、また悲しい表情を浮かべてしまいそうになるのを、彼は無理やり話題を変えて、阻止したのだ。
そのおかげで、彼女の好感度は低下しただろう。リックにとっては最悪である。
だが、彼女の笑顔を守ることはできた。それで充分だ。
「それにしても、貴方が帝国に現れてから、メシアは少し変わりました」
「?」
「彼女はいつも、貴方のことを大切にしています。まるで、メシアに弟ができたみたい」
「弟ですか・・・・・・。悪くないです」
帝国にリックが来て以来、彼を今日まで助けてくれたのは、騎士団長であるメシアだ。
彼女に恩義を感じ、そして敬愛しているリックにとって、弟の様に可愛がられるのは嬉しいことだ。
「俺にリックという名前を付けたのもメシア団長でした。本当に、メシア団長あっての、今の俺ですよ」
ユリーシアの存在が、リックの生きる意味となり、この世界での存在を与えてくれたのは、メシアであった。
リックとは、本来の自分ではない。長門宗一郎、それが本当の名前であるのだから。
「宗一郎様・・・・・・」
「久しぶりにその名前で呼ばれましたよ。俺の本当の名前を知っているのは、陛下を含めて三人だけですから」
「本当に貴方は、これで良いのですか?今ならば、まだ-------」
「いいんですよこれで。貴女のためになれるのなら」
本音は、自分のために命を懸けて欲しくないと思っている。自分は生きる価値もない人間だと、自分はリックを苦しめることしかできないと。
約束をした。その約束を叶えてくれることは、彼女にとって人生最大の幸福である。だが、この約束を守ろうとして苦しむのは、自分ではなくリックであるのだ。
今でも彼女は後悔している。リックに希望を抱いて、あの約束をしてしまったことを。
リックもまた、自分のせいで、彼女を苦しめてしまっているとわかっている。しかし、止めるわけにはいかない。
ユリーシアへの傍へと近付いたリックは、彼女の手にそっと触れて、優しく両手で包み込んだ。
「安心してください。俺は大丈夫ですから」
「私にできることがあるのなら、何でも言って下さい。貴方のために、私も力になりたいのです」
「では、お茶のおかわりを頂けませんか?旅の話をしたら喉が渇きました」
「はい、喜んで」
目が見えないながらも、器用にリックのカップへと、紅茶を注ぐユリーシアを、美しい少女だと思うリック。
本当はお茶のおかわりなどではなく、「貴女の微笑みがあれば十分ですよ」と言いたかった。
(いや、言えないだろ。恥ずかしい・・・・・・)
その言葉を放つ自分を想像して、恥ずかしさに顔を赤らめたのを、彼女に気付かれることはない。
が、この後、「ところでリック様。リリカさんがお土産を期待していましたよ。持ってこなければお仕置きすると言っておりましたが・・・・・」と言うユリーシアの言葉に、後々文句を言ってくるであろうリリカを想像し、またまた頭を抱えることになる。
そんなリリカを退けようと、どうすればいいのかを、彼女と相談することになるのだが・・・・・・。
これはまた、別のお話である。
「なんで笑うんですか陛下。俺、そんなに可笑しいこと言いました?」
「ごめんなさい。ふふっ、でも可笑しいんです」
帝国に帰還して早々の仕事。二人の男との出会いは、帝国軍に新たな力をもたらした。
ゴリオンはヘルベルトに任せ、帝国軍の兵士というより、鉄血部隊と同じく、リック直属の部下として扱うことになった。
理由は簡単である。リック以外に、彼を有効に使えそうな者は、この帝国にはいないからだ。どうやってゴリオンという、大きな力を運用するのかは、リックに考えがある。ならば、直属の部下にした方が良いと判断したのだ。
エミリオはレイナとクリスの監視のもと、帝国の内部調査に乗り出していた。監視されているのは、レイナとクリスが、未だにエミリオを疑っているためだ。リックの指示でなく、二人の独断である。
内部調査をしているエミリオは、それによって、帝国と軍全体の状況を把握しようとしている。それが軍師としての、自分の最初の仕事だと考えているためだ。
シャランドラはヘルベルトに付いて行き、里の人々のための、準備に取り掛かろうとしていた。主に人員の手配と、打ち合わせのためである。
こうして皆と別れたリックは一人、女王陛下への報告のために城を目指した。女王陛下と再会し、出来事と結果を報告して、必要なことを手配して貰う。
それが終わった後、政務の休息に入ろうとした女王ユリーシアは、リックを誘い、寝室でお茶会を開いた。今リックは、ユリーシアとのお茶会で、旅の話を披露しているのだ。部屋には、リックとユリーシアの二人だけである。
「そんなに面白いですか、俺がシャランドラの実験台になってた話?」
「面白いです。無理やり実験台にされるリック様を想像すると、笑いが堪えられなくて」
「はは。・・・・・・・陛下に喜んで貰えて嬉しいです」
隠れ里を探して道に迷ったこと、里での出会いと生活、そして竜との激闘。彼女は時に笑い、驚き、リックの話を楽しんで聞いている。女王であり、目の見えない彼女にとって、お話と言うのは特別なものだ。彼女にとっては数少ない楽しみであり、この時間だけは、女王でなく少女に戻れる。
年相応の笑顔を見せるユリーシア。出会った時から、彼女は悲しみに満ちた表情を見せることが多い。まだ少女でありながら、一国の女王としての責任を課せられ、様々な苦しみが彼女を襲う。
そんな彼女には、いつも笑顔でいて欲しいと願う。今の様に、少女の笑顔を浮かべ、幸福な人生を歩んで欲しいと、彼女に忠誠を誓うリックは願い続けている。それを邪魔する障害は、なんであろうと消し去ると、彼は心に誓っているのだ。
「陛下の笑顔が見られただけでも、旅に出て行った甲斐がありましたよ」
「私はずっと、リック様のことが心配でした。・・・・・・本当ですよ?」
「心配をかけてしまい、申し訳ありませんでした。でも、貴女との約束のためには、どうしても必要なことだったんです」
リックとユリーシアの約束。他に、この約束を知る者は誰もいない。
二人だけの大切な約束だ。リックにとっても、ユリーシアにとっても、この約束は生きる意味そのものである。
だからこそ、リックは命を懸けた。全ては、女王ユリーシアのために。
「リック様・・・・・・。だからといって-------」
「ところで陛下。メシア団長はどこにいるのですか?帰還してまだ会っていないのです」
「えっ?メシアなら城のどこかにいるはずですよ。今日も軍務に務めていたはずです」
「そうですか。早く再会したいですよ。メシア団長に抱きしめられて、あの豊満な胸に顔を埋めないと、帝国に帰ってきた気がしないんです」
「・・・・・・・・・・・」
「思いっきり引かないでください、俺の純情な心が傷つきます」
「リリカさんが貴方のことを、下衆な心の持ち主だと言っていましたよ・・・・・」
「ぐはっ!?」
絶対の忠誠を誓い、愛している女王陛下に、下衆な心の持ち主だと知られてしまった。リリカの口によってである。これによるダメージは大きい。
頭を抱え、苦悩するリックの姿を感じ、面白くて吹き出してしまったユリーシア。リックのことを心配するあまり、また悲しい表情を浮かべてしまいそうになるのを、彼は無理やり話題を変えて、阻止したのだ。
そのおかげで、彼女の好感度は低下しただろう。リックにとっては最悪である。
だが、彼女の笑顔を守ることはできた。それで充分だ。
「それにしても、貴方が帝国に現れてから、メシアは少し変わりました」
「?」
「彼女はいつも、貴方のことを大切にしています。まるで、メシアに弟ができたみたい」
「弟ですか・・・・・・。悪くないです」
帝国にリックが来て以来、彼を今日まで助けてくれたのは、騎士団長であるメシアだ。
彼女に恩義を感じ、そして敬愛しているリックにとって、弟の様に可愛がられるのは嬉しいことだ。
「俺にリックという名前を付けたのもメシア団長でした。本当に、メシア団長あっての、今の俺ですよ」
ユリーシアの存在が、リックの生きる意味となり、この世界での存在を与えてくれたのは、メシアであった。
リックとは、本来の自分ではない。長門宗一郎、それが本当の名前であるのだから。
「宗一郎様・・・・・・」
「久しぶりにその名前で呼ばれましたよ。俺の本当の名前を知っているのは、陛下を含めて三人だけですから」
「本当に貴方は、これで良いのですか?今ならば、まだ-------」
「いいんですよこれで。貴女のためになれるのなら」
本音は、自分のために命を懸けて欲しくないと思っている。自分は生きる価値もない人間だと、自分はリックを苦しめることしかできないと。
約束をした。その約束を叶えてくれることは、彼女にとって人生最大の幸福である。だが、この約束を守ろうとして苦しむのは、自分ではなくリックであるのだ。
今でも彼女は後悔している。リックに希望を抱いて、あの約束をしてしまったことを。
リックもまた、自分のせいで、彼女を苦しめてしまっているとわかっている。しかし、止めるわけにはいかない。
ユリーシアへの傍へと近付いたリックは、彼女の手にそっと触れて、優しく両手で包み込んだ。
「安心してください。俺は大丈夫ですから」
「私にできることがあるのなら、何でも言って下さい。貴方のために、私も力になりたいのです」
「では、お茶のおかわりを頂けませんか?旅の話をしたら喉が渇きました」
「はい、喜んで」
目が見えないながらも、器用にリックのカップへと、紅茶を注ぐユリーシアを、美しい少女だと思うリック。
本当はお茶のおかわりなどではなく、「貴女の微笑みがあれば十分ですよ」と言いたかった。
(いや、言えないだろ。恥ずかしい・・・・・・)
その言葉を放つ自分を想像して、恥ずかしさに顔を赤らめたのを、彼女に気付かれることはない。
が、この後、「ところでリック様。リリカさんがお土産を期待していましたよ。持ってこなければお仕置きすると言っておりましたが・・・・・」と言うユリーシアの言葉に、後々文句を言ってくるであろうリリカを想像し、またまた頭を抱えることになる。
そんなリリカを退けようと、どうすればいいのかを、彼女と相談することになるのだが・・・・・・。
これはまた、別のお話である。
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