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第二十九話 アーレンツ攻防戦
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アーレンツは王政の国家ではなく、国民から選ばれた代表者が国を動かす。政治家が集まる政治総本部には、未だ帝国軍の砲撃は行なわれていない。しかし、国の最重要施設である国家保安情報局本部と、国防の要である国防軍が攻撃を受けた以上、政治総本部への攻撃は時間の問題と言えた。
これに対しアーレンツ現国家元首は、政治総本部の壊滅を恐れ、最高司令官を失った国防軍の臨時の指揮を執り、ヴァスティナ帝国軍への攻撃命令を下したのである。
当然ながら、国防軍の多くの将兵は反対した。帝国軍を迎撃するのではなく、アーレンツから打って出るという事は、防衛側が握っている利点を、全て放棄する事を意味するからである。しかも、防護壁から出れば外は比較的平坦な地形であり、平野での直接対決を行なう事になってしまう。実戦経験が圧倒的に不足しているアーレンツ軍が、高い練度を持つ帝国軍と平野で戦い、勝てる見込みはどこにもない。
少なくとも、正面防護壁の一万の兵力と、増援として出撃している五千の兵力との、合わせて一万五千人の兵力を用意できているため、兵力的には帝国軍を上回っている。正面防護壁に急行中の増援には、国家保安情報局の精鋭と、国防軍の精鋭部隊も従軍しているため、増援の戦闘能力は高いと言える。軍全体の練度の問題を除けば、勝算はまだ十分にあると言えるだろう。
兵力で勝り、精鋭部隊も投入しているからこそ、政治総本部は出撃命令を下したのである。だがこれは、軍全体の練度不足などの不安要素を考えていない、極めて楽観的な考え方によって下された命令であった。そのため、各部隊の現場指揮官が出撃に反対したのである。
しかし、防護壁から出撃し、最低でも帝国軍の砲撃部隊を撃破しなくてはならないのは、間違いない。もし、次の砲撃目標が政治総本部であった場合、アーレンツは国家元首すら失う可能性があるのだ。
国防軍の兵士達は、不利を承知での出撃を余儀なくされた。国を守るため、敗走の未来しか見えない戦いへと、アーレンツ国防軍は出撃したのである。
これに対しアーレンツ現国家元首は、政治総本部の壊滅を恐れ、最高司令官を失った国防軍の臨時の指揮を執り、ヴァスティナ帝国軍への攻撃命令を下したのである。
当然ながら、国防軍の多くの将兵は反対した。帝国軍を迎撃するのではなく、アーレンツから打って出るという事は、防衛側が握っている利点を、全て放棄する事を意味するからである。しかも、防護壁から出れば外は比較的平坦な地形であり、平野での直接対決を行なう事になってしまう。実戦経験が圧倒的に不足しているアーレンツ軍が、高い練度を持つ帝国軍と平野で戦い、勝てる見込みはどこにもない。
少なくとも、正面防護壁の一万の兵力と、増援として出撃している五千の兵力との、合わせて一万五千人の兵力を用意できているため、兵力的には帝国軍を上回っている。正面防護壁に急行中の増援には、国家保安情報局の精鋭と、国防軍の精鋭部隊も従軍しているため、増援の戦闘能力は高いと言える。軍全体の練度の問題を除けば、勝算はまだ十分にあると言えるだろう。
兵力で勝り、精鋭部隊も投入しているからこそ、政治総本部は出撃命令を下したのである。だがこれは、軍全体の練度不足などの不安要素を考えていない、極めて楽観的な考え方によって下された命令であった。そのため、各部隊の現場指揮官が出撃に反対したのである。
しかし、防護壁から出撃し、最低でも帝国軍の砲撃部隊を撃破しなくてはならないのは、間違いない。もし、次の砲撃目標が政治総本部であった場合、アーレンツは国家元首すら失う可能性があるのだ。
国防軍の兵士達は、不利を承知での出撃を余儀なくされた。国を守るため、敗走の未来しか見えない戦いへと、アーレンツ国防軍は出撃したのである。
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