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第1話:ひまわりと太陽(その7)
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半ば強制的に太陽に連れてこられたひまわりだが、
未だ何の説明も受けてないので、何が何だか分からない。
自分抜きで、どんどん話が進んでいっているのに
不安が募っていく。
1人暴走している太陽を、おばあさんはギロッとにらんだ。
「あーっ、もう!おまえはなんでそんなにせっかちなんだい!
やるかやらないかは、
ひまわりちゃんの意見を聞くのが先じゃないか!」
「う・・・」
すると太陽が不適な笑みを浮かべながらふり返り、
「やるよな?」
と突然聞いてきたので、
ひまわりは心の中で『ひ~っ!?』と叫んだ。
『やる・やらない』の選択肢は無く、
太陽の威圧的な態度からひまわりは
「やる」と答えるしかなさそうな雰囲気だ。
あまりの恐怖にカタカタと体を震わせながら、
「や・・・やるもやらないも、
何の説明も受けてないので、何とも・・・」
とひまわりが言うので、
おばあさんは太陽の頭を軽くパシッと叩き、
「そりゃ、そうじゃよ。
ちゃんと説明してあげないと返事なんてできるかい!」
と言った。
「フーっ」と太陽は大きくため息をついた。
いかにも説明するのが面倒くさそうな様子だが、
ポツリポツリと話し始めた。
「うちの『雨夜家』は先祖代々魔術師一族で、
ばーちゃんをはじめ強い魔力を持っている人が多いんだ」
「魔術師?」
その言葉を聞いたひまわりは、パアッと目を輝かせながら、
「え!魔術師って魔法が使える人のことですよね!?
じゃあ、桐島くんって魔法が使えるんですか!?
すごいです!」
ひまわりは素直な気持ちを言っただけだったのに、
太陽は苦虫をつぶしたような顔をしている。
『あ・・あれ・・・?』
何かまずいことでも言ってしまったのかと不安になっていると、
横からおばあさんが入ってきた。
「いや、太陽は分家の子だから一族の中でも魔力は弱いんじゃよ。
まあ・・・ほぼ0に近いと言ってもいいぐらいでねえ・・・」
その言葉を聞いて、ひまわりはハッとした。
確かに過去を振り返ってみると、
太陽は何度か自分のことを
魔力が弱い」と言っていたような気がする。
「魔力が弱い」ことをバラされて、
心が打ちひしがれている太陽はほっといたまま、
おばあさんの話は続く。
「うちで今、一番魔力が強い当主の大地は
外国に留学中で、その間に太陽が―・・・」
大地・・・
この名前を聞いた瞬間、ひまわりは「あっ!」と叫んだ。
「思い出しました!
『雨夜』っていう名字に見覚えがあったんですけど、
雨夜大地さんなら、私一回お会いしています!」
「大地と!?」
ひまわりと大地の意外な接点に、太陽は驚いた。
「確か大地さんって、5年前に開かれた『占いショー』の審査員に
いらっしゃってましたよね?
当時20歳ぐらいで、すごく若い審査員の方でしたから
よく覚えているんです」
ひまわりの言葉に、おばあさんもうなずく。
「ああ、そうじゃったよ。
あの時、私は用事があって行けなかったから
代わりに大地に行ってもらったんじゃ」
「その時のショーに私も参加していたんです!」
ひまわりは懐かしい目をして、当時のことを思い出した。
「あの時、私、とても緊張していて
ステージの裏でガクガクと震えていたんです。
すると、大地さんがスッと横に現れて、
『大丈夫。
みんな緊張しているから
キミだけじゃないよ。』
と励ましてくれたことがうれしくて、
今でも覚えているんです」
と、大地のことを思い出して
うれしそうに話すひまわりに、
おばあちゃんは、
「そうかい、大地がねぇ・・・」
と優しくうなずく。
ひまわりも、
「はい、とても優しい方でした」
とにっこりと答える。
だが、
「うそだ・・・」
と太陽がつぶやいた。
「へ?」
ひまわりとおばあちゃんが太陽の方を見ると、
突然机を「バン!」と叩き、
「あいつは鬼だ!悪魔だ!
いつも魔力の弱いおれをバカにしやがって!」
と叫んだ。
未だ何の説明も受けてないので、何が何だか分からない。
自分抜きで、どんどん話が進んでいっているのに
不安が募っていく。
1人暴走している太陽を、おばあさんはギロッとにらんだ。
「あーっ、もう!おまえはなんでそんなにせっかちなんだい!
やるかやらないかは、
ひまわりちゃんの意見を聞くのが先じゃないか!」
「う・・・」
すると太陽が不適な笑みを浮かべながらふり返り、
「やるよな?」
と突然聞いてきたので、
ひまわりは心の中で『ひ~っ!?』と叫んだ。
『やる・やらない』の選択肢は無く、
太陽の威圧的な態度からひまわりは
「やる」と答えるしかなさそうな雰囲気だ。
あまりの恐怖にカタカタと体を震わせながら、
「や・・・やるもやらないも、
何の説明も受けてないので、何とも・・・」
とひまわりが言うので、
おばあさんは太陽の頭を軽くパシッと叩き、
「そりゃ、そうじゃよ。
ちゃんと説明してあげないと返事なんてできるかい!」
と言った。
「フーっ」と太陽は大きくため息をついた。
いかにも説明するのが面倒くさそうな様子だが、
ポツリポツリと話し始めた。
「うちの『雨夜家』は先祖代々魔術師一族で、
ばーちゃんをはじめ強い魔力を持っている人が多いんだ」
「魔術師?」
その言葉を聞いたひまわりは、パアッと目を輝かせながら、
「え!魔術師って魔法が使える人のことですよね!?
じゃあ、桐島くんって魔法が使えるんですか!?
すごいです!」
ひまわりは素直な気持ちを言っただけだったのに、
太陽は苦虫をつぶしたような顔をしている。
『あ・・あれ・・・?』
何かまずいことでも言ってしまったのかと不安になっていると、
横からおばあさんが入ってきた。
「いや、太陽は分家の子だから一族の中でも魔力は弱いんじゃよ。
まあ・・・ほぼ0に近いと言ってもいいぐらいでねえ・・・」
その言葉を聞いて、ひまわりはハッとした。
確かに過去を振り返ってみると、
太陽は何度か自分のことを
魔力が弱い」と言っていたような気がする。
「魔力が弱い」ことをバラされて、
心が打ちひしがれている太陽はほっといたまま、
おばあさんの話は続く。
「うちで今、一番魔力が強い当主の大地は
外国に留学中で、その間に太陽が―・・・」
大地・・・
この名前を聞いた瞬間、ひまわりは「あっ!」と叫んだ。
「思い出しました!
『雨夜』っていう名字に見覚えがあったんですけど、
雨夜大地さんなら、私一回お会いしています!」
「大地と!?」
ひまわりと大地の意外な接点に、太陽は驚いた。
「確か大地さんって、5年前に開かれた『占いショー』の審査員に
いらっしゃってましたよね?
当時20歳ぐらいで、すごく若い審査員の方でしたから
よく覚えているんです」
ひまわりの言葉に、おばあさんもうなずく。
「ああ、そうじゃったよ。
あの時、私は用事があって行けなかったから
代わりに大地に行ってもらったんじゃ」
「その時のショーに私も参加していたんです!」
ひまわりは懐かしい目をして、当時のことを思い出した。
「あの時、私、とても緊張していて
ステージの裏でガクガクと震えていたんです。
すると、大地さんがスッと横に現れて、
『大丈夫。
みんな緊張しているから
キミだけじゃないよ。』
と励ましてくれたことがうれしくて、
今でも覚えているんです」
と、大地のことを思い出して
うれしそうに話すひまわりに、
おばあちゃんは、
「そうかい、大地がねぇ・・・」
と優しくうなずく。
ひまわりも、
「はい、とても優しい方でした」
とにっこりと答える。
だが、
「うそだ・・・」
と太陽がつぶやいた。
「へ?」
ひまわりとおばあちゃんが太陽の方を見ると、
突然机を「バン!」と叩き、
「あいつは鬼だ!悪魔だ!
いつも魔力の弱いおれをバカにしやがって!」
と叫んだ。
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