SUN×SUN!

楠こずえ

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第6話:魔法のランプで大騒動(その6)

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煙はどんどんモクモクと形を変えていき、次の瞬間、ひまわりと太陽の目の前に昔絵本や映画で見たような魔法のランプの魔人がバンっと現れた。

「!?」

床から天井に届くほどの巨体を宙にプカプカと浮かばせ、魔人はひまわり達をジロッと見下ろしている。

驚きで言葉を失っている二人にナオトは、
「依頼というのは、このランプはやっぱり本物の魔法のランプだったから、魔人と手合せしてくれないか、というものだ」
ととんでもないことを言ってきた。

「毎回、毎回、おれの占いの手伝いばかりじゃ魔人も力が余ってしまうから、たまに魔術師と遊んでもらってるんだよ」

未だに今の状況が夢ではないかと思っている太陽は、ナオトに、
「ちょ、ちょっと待て!
こんな話聞いてないぞ!
魔人と闘うなんて、前代未聞の話だぞ!?」
と文句を言ったが、
「ハハハ、大丈夫大丈夫。
命を落とすこととかはないから。
今までに呼んだ魔術師さん達も特に怪我とかすることなく帰ったし」
と軽くあしらわれた。

ナオトは机の上で寝ている蛍を抱え上げると、
「君たちのやる気をアップさせるために、この女の子は人質としてもらっておくよ。
じゃ、がんばって」
と言うと、急に辺りが真っ暗になった。

パニックを起こしたひまわりが、
「わ~っ!?
桐島くんどうしましょう!?」
と取り乱し始めたので、
「とりあえず落ち着け!」
と太陽がなだめる。

とはいえ、太陽自身もどうしていいか分からず、心の中は全く平静を保てていない。

「まさか、本当にランプの精が出てくるとは思わなかった・・」

太陽が暗闇の中で困惑していると、ひまわりが、
「そういえば、ナオトさん、『魔人に占いの手伝いばかりさせてる』って言ってませんでした?」
と思い出したかのようにつぶやいた。

太陽はハッとする。

「そういや、ひまわり、
ここに来るときにあいつの占いが途中から派手になったって言ってたな」

「ハイ、急に『当たる』って言われ始めて、占いの業界の中では騒然となりましたから」

「なるほど・・なんとなく読めてきたぞ・・」
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