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第4話:魔法の杖と呪文(その14)
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「え・・・」
消えゆく意識の中、
誰かに名前を呼ばれたような気がして
目を開けると、
太陽がこちらに走って来ているのが見えた。
「しっかりしろ!ひまわり!」
「き・・・桐島くん・・・?」
太陽はひまわりの体を抱き起すと、
「大丈夫か!?」
と聞いた。
太陽の顔を見たひまわりは
なんだかホッとした気持ちになったが、
依然として全身がしびれていて
身動きができない。
「桐島君・・・、
何かが足にからまって・・・」
「足!?」
ひまわりがそう言うので、
太陽は足を見た。
足には植物のツルのようなものが
からまっている。
「な・・・なんだ・・・これ・・・」
目線を
ツルが伸びてきている先に移すと、
そこには黄金色に輝く植物が
土に埋まっていた。
一瞬、自分の目を疑ったが、
真っ暗な闇の中、
確かにそれは光を放っている。
考えられることは1つ・・・
「まさか、マンドレイク!?」
書物では何度も読んだり見たことがある
魔法の植物「マンドレイク」だが、
実際自分の目で見るのは初めてだ。
なので、
あれが本当に「マンドレイク」なのか
どうなのかは断言はできないが、
あんな不思議な植物、
どう考えても普通のモノとは考えられない。
しかも、その植物の周りには
円陣が描かれており、
それが光って
植物を黄金色に輝かせているのだ。
「まちがいない・・・
あれが深谷の親父さんが植えた
マンドレイクだ・・・」
そう確信した太陽であったが、
なぜマンドレイクからツルが伸び、
それがひまわりの足に
からみついているのかが
全く分からない。
そんな話は
今までどんな書物にも書いていなかったからだ。
ただ、
ひまわりの体力が消耗されればされるほど、
マンドレイクの輝きが
さらに増していることだけは分かった。
「もしかして・・・、
ひまわりの魔力を吸っている!?」
いつも冷静な太陽だが
自分が予想していた以上のことが
たくさん起こり過ぎて、
頭の中は混乱していた。
だが、とりあえず
ひまわりの足にからみついている
植物のツルを切ることが先決だと思い、
ツルをバッとつかんだ。
そして思い切り力を入れ
引きちぎろうとした。
が・・・
「なんだ、この強いツルは!」
見た目は細いツルなのに、
どんなに力を入れても
全く切れる気配が無い。
まるで
「綱引き」の綱のようなモノを
引っ張っているような感覚だ。
「くっそー!!
なんで切れないんだよ!!」
横でさらに弱っていくひまわりを見て、
太陽は力いっぱいツルを引っ張り
引きちぎろうと努力する。
でも、ツルは切れない。
「ぐ・・・切れろ・・・」
その時だ。
「シュルシュルシュルッ!」、
と音が聞こえた瞬間、
太陽の体にもツルが巻き付いてきた。
「!?」
そして骨が折れるかと思うぐらいの
強い力で
太陽の体を締め付けていくのであった。
消えゆく意識の中、
誰かに名前を呼ばれたような気がして
目を開けると、
太陽がこちらに走って来ているのが見えた。
「しっかりしろ!ひまわり!」
「き・・・桐島くん・・・?」
太陽はひまわりの体を抱き起すと、
「大丈夫か!?」
と聞いた。
太陽の顔を見たひまわりは
なんだかホッとした気持ちになったが、
依然として全身がしびれていて
身動きができない。
「桐島君・・・、
何かが足にからまって・・・」
「足!?」
ひまわりがそう言うので、
太陽は足を見た。
足には植物のツルのようなものが
からまっている。
「な・・・なんだ・・・これ・・・」
目線を
ツルが伸びてきている先に移すと、
そこには黄金色に輝く植物が
土に埋まっていた。
一瞬、自分の目を疑ったが、
真っ暗な闇の中、
確かにそれは光を放っている。
考えられることは1つ・・・
「まさか、マンドレイク!?」
書物では何度も読んだり見たことがある
魔法の植物「マンドレイク」だが、
実際自分の目で見るのは初めてだ。
なので、
あれが本当に「マンドレイク」なのか
どうなのかは断言はできないが、
あんな不思議な植物、
どう考えても普通のモノとは考えられない。
しかも、その植物の周りには
円陣が描かれており、
それが光って
植物を黄金色に輝かせているのだ。
「まちがいない・・・
あれが深谷の親父さんが植えた
マンドレイクだ・・・」
そう確信した太陽であったが、
なぜマンドレイクからツルが伸び、
それがひまわりの足に
からみついているのかが
全く分からない。
そんな話は
今までどんな書物にも書いていなかったからだ。
ただ、
ひまわりの体力が消耗されればされるほど、
マンドレイクの輝きが
さらに増していることだけは分かった。
「もしかして・・・、
ひまわりの魔力を吸っている!?」
いつも冷静な太陽だが
自分が予想していた以上のことが
たくさん起こり過ぎて、
頭の中は混乱していた。
だが、とりあえず
ひまわりの足にからみついている
植物のツルを切ることが先決だと思い、
ツルをバッとつかんだ。
そして思い切り力を入れ
引きちぎろうとした。
が・・・
「なんだ、この強いツルは!」
見た目は細いツルなのに、
どんなに力を入れても
全く切れる気配が無い。
まるで
「綱引き」の綱のようなモノを
引っ張っているような感覚だ。
「くっそー!!
なんで切れないんだよ!!」
横でさらに弱っていくひまわりを見て、
太陽は力いっぱいツルを引っ張り
引きちぎろうと努力する。
でも、ツルは切れない。
「ぐ・・・切れろ・・・」
その時だ。
「シュルシュルシュルッ!」、
と音が聞こえた瞬間、
太陽の体にもツルが巻き付いてきた。
「!?」
そして骨が折れるかと思うぐらいの
強い力で
太陽の体を締め付けていくのであった。
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