SUN×SUN!

楠こずえ

文字の大きさ
上 下
39 / 78

第4話:魔法の杖と呪文(その14)

しおりを挟む
「え・・・」

消えゆく意識の中、
誰かに名前を呼ばれたような気がして
目を開けると、
太陽がこちらに走って来ているのが見えた。

「しっかりしろ!ひまわり!」

「き・・・桐島くん・・・?」

太陽はひまわりの体を抱き起すと、
「大丈夫か!?」
と聞いた。

太陽の顔を見たひまわりは
なんだかホッとした気持ちになったが、
依然として全身がしびれていて
身動きができない。

「桐島君・・・、
何かが足にからまって・・・」

「足!?」

ひまわりがそう言うので、
太陽は足を見た。
足には植物のツルのようなものが
からまっている。

「な・・・なんだ・・・これ・・・」

目線を
ツルが伸びてきている先に移すと、
そこには黄金色に輝く植物が
土に埋まっていた。

一瞬、自分の目を疑ったが、
真っ暗な闇の中、
確かにそれは光を放っている。

考えられることは1つ・・・

「まさか、マンドレイク!?」

書物では何度も読んだり見たことがある
魔法の植物「マンドレイク」だが、
実際自分の目で見るのは初めてだ。
なので、
あれが本当に「マンドレイク」なのか
どうなのかは断言はできないが、
あんな不思議な植物、
どう考えても普通のモノとは考えられない。

しかも、その植物の周りには
円陣が描かれており、
それが光って
植物を黄金色に輝かせているのだ。

「まちがいない・・・
あれが深谷の親父さんが植えた
マンドレイクだ・・・」

そう確信した太陽であったが、
なぜマンドレイクからツルが伸び、
それがひまわりの足に
からみついているのかが
全く分からない。

そんな話は
今までどんな書物にも書いていなかったからだ。

ただ、
ひまわりの体力が消耗されればされるほど、
マンドレイクの輝きが
さらに増していることだけは分かった。

「もしかして・・・、
ひまわりの魔力を吸っている!?」

いつも冷静な太陽だが
自分が予想していた以上のことが
たくさん起こり過ぎて、
頭の中は混乱していた。

だが、とりあえず
ひまわりの足にからみついている
植物のツルを切ることが先決だと思い、
ツルをバッとつかんだ。

そして思い切り力を入れ
引きちぎろうとした。

が・・・

「なんだ、この強いツルは!」

見た目は細いツルなのに、
どんなに力を入れても
全く切れる気配が無い。

まるで
「綱引き」の綱のようなモノを
引っ張っているような感覚だ。

「くっそー!!
なんで切れないんだよ!!」

横でさらに弱っていくひまわりを見て、
太陽は力いっぱいツルを引っ張り
引きちぎろうと努力する。

でも、ツルは切れない。

「ぐ・・・切れろ・・・」

その時だ。

「シュルシュルシュルッ!」、
と音が聞こえた瞬間、
太陽の体にもツルが巻き付いてきた。

「!?」

そして骨が折れるかと思うぐらいの
強い力で
太陽の体を締め付けていくのであった。

しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

王が気づいたのはあれから十年後

基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。 妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。 仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。 側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。 王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。 王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。 新たな国王の誕生だった。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました

結城芙由奈@12/27電子書籍配信
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】 今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。 「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」 そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。 そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。 けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。 その真意を知った時、私は―。 ※暫く鬱展開が続きます ※他サイトでも投稿中

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

処理中です...