62 / 78
第6話:魔法のランプで大騒動(その2)
しおりを挟む
その夜、
ひまわりは再び雨夜家を訪れた。
いつもは昼間に来ているので、
屋敷から見る夜の庭園は
昼とは違った風景に見える。
池に映った月が
幻想的な雰囲気を演出し、
不思議なパワーを
見る者に与えてくれそうな気がした。
もしかしたら、
魔術師一族の雨夜家ゆえ、
庭の配置なども
元々そのように設計しているのかもしれない。
そんなことを考えながら
お手伝いさんの後をついていくと、
通された部屋は
なぜか太陽の部屋だった。
「え?
き、桐島くんの部屋ですか?」
今まで応接間的な部屋に通されるのに、
なんで今日は
太陽の部屋に案内されたのか分からなくて
戸惑って中に入ろうとしないひまわりに、
お手伝いさんは、
「太陽様から、
自分の部屋にお通しするように、
と言われておりましたので、
さ、さ、遠慮なさらずどうぞ」
と背中をグイグイ押して部屋の中に入れた。
太陽の部屋に押し込まれたひまわりは、
心臓が急にバクバクしてきて、
息苦しくなってきた。
男の子の部屋に入るなんて、
今までの人生で兄の部屋以外では
全くといっていいほど0だったからだ。
しばらくは座ることも忘れ、
チラっチラッと部屋の中を見回していた。
「むやみに他人のお部屋をジロジロ見ちゃいけない」
と頭の中では分かっているのだが、
好奇心の方が勝ってしまう。
無駄なものが何も置かれていない勉強机、
きちんと整理されていて
魔術関係の本がたくさん並んでいる本棚、
ブルー系の色で統一されているベッド、
そして部屋の中は太陽がいつもつけている香水だろうか、
その香りが甘く香っている。
「きれいに片づけられている部屋だなあ・・。
私の部屋より何十倍もきれいかも・・」
ひまわりがようやく座って、
ホッと一息つこうとした時、
「ガチャッ」と突然ドアが開いた。
「お、ひまわり、来てたのか?」
そう言って部屋に入ってきた太陽は、
お風呂上がりだったのか
上半身が裸だったので、
ひまわりは驚きのあまりひっくり返りそうだった。
男の子の部屋に入ったのも初めての女の子に、
裸の刺激は強すぎる。
ひまわりは太陽に背を向けて
カタカタと震えだし、
「ふっ、服を着てください!」
と必死にお願いをした。
このままでは太陽を直視できないからだ。
太陽は
そんなひまわりの気も知らないので、
「え?下は、はいてるけど?」
と首をかしげたが、
だんだん状況を理解してきたのか
小さくニッとほくそ笑んだ。
「ああ、そうか。
ひまわりってあまり恋愛経験なさそうだよな。
こういうシチュエーションって、
もしかして初めて?」
太陽にそう言われて、
ひまわりは半泣きになりながら、
「そうです!そうです!
経験なくて、すいませんっ!」
と、別に悪いわけでもないのになぜか謝っていた。
「魔法」に関しては
全くひまわりに力がかなわない太陽ゆえに、
この「恋愛経験」に関しては、
優位に立てているのが、非常に気持ちいいようだ。
だから子羊のように怯えているひまわりを見ると、
もっといじめたい気分になってくる。
わざとひまわりの近くに寄り、
耳元で、
「よかったら、
いろいろと教えてやってもいいけど?
誰もこの部屋に近づかないようにしてるから、
邪魔とかも全く入らないし」
と甘い声でささやいた。
「ええっ!?」
驚いたひまわりが振り返ると、
すぐ目の前に太陽の顔があったので、
さらに頭の中がパニック状態に。
「いや!その!私には
そういう経験ははや、はや、早いと思うんです!!」
あまりに必死な表情のひまわりに、
とうとう笑いがこらえきれず「プッ」と笑ってしまう太陽。
「ごめん、ごめん、悪かった。
ひまわりの反応が面白くて、ついからかっただけだから」
そう言いいながら、太陽はシャツを着た。
まだ状況をよく把握しきれてないひまわりは
しばらくポカンとしていたが、
自分がからかわれていたことに気付くと、
今まで以上にカーッと真っ赤になる。
『からかうなんて、ひどいです~!!
でも、それを冗談と思ってなかった自分も
恥ずかしすぎます~!!』
ひまわりはまだ
気持ちの切り替えができていないが、
太陽はいつものモードに切り替わる。
ひまわりの前に座り、
「ひまわり、魔法の使い方を教えてくれ!」
と言って頭を下げた。
「え?」
予想外の話題に、ひまわりはポカンとした。
ひまわりは再び雨夜家を訪れた。
いつもは昼間に来ているので、
屋敷から見る夜の庭園は
昼とは違った風景に見える。
池に映った月が
幻想的な雰囲気を演出し、
不思議なパワーを
見る者に与えてくれそうな気がした。
もしかしたら、
魔術師一族の雨夜家ゆえ、
庭の配置なども
元々そのように設計しているのかもしれない。
そんなことを考えながら
お手伝いさんの後をついていくと、
通された部屋は
なぜか太陽の部屋だった。
「え?
き、桐島くんの部屋ですか?」
今まで応接間的な部屋に通されるのに、
なんで今日は
太陽の部屋に案内されたのか分からなくて
戸惑って中に入ろうとしないひまわりに、
お手伝いさんは、
「太陽様から、
自分の部屋にお通しするように、
と言われておりましたので、
さ、さ、遠慮なさらずどうぞ」
と背中をグイグイ押して部屋の中に入れた。
太陽の部屋に押し込まれたひまわりは、
心臓が急にバクバクしてきて、
息苦しくなってきた。
男の子の部屋に入るなんて、
今までの人生で兄の部屋以外では
全くといっていいほど0だったからだ。
しばらくは座ることも忘れ、
チラっチラッと部屋の中を見回していた。
「むやみに他人のお部屋をジロジロ見ちゃいけない」
と頭の中では分かっているのだが、
好奇心の方が勝ってしまう。
無駄なものが何も置かれていない勉強机、
きちんと整理されていて
魔術関係の本がたくさん並んでいる本棚、
ブルー系の色で統一されているベッド、
そして部屋の中は太陽がいつもつけている香水だろうか、
その香りが甘く香っている。
「きれいに片づけられている部屋だなあ・・。
私の部屋より何十倍もきれいかも・・」
ひまわりがようやく座って、
ホッと一息つこうとした時、
「ガチャッ」と突然ドアが開いた。
「お、ひまわり、来てたのか?」
そう言って部屋に入ってきた太陽は、
お風呂上がりだったのか
上半身が裸だったので、
ひまわりは驚きのあまりひっくり返りそうだった。
男の子の部屋に入ったのも初めての女の子に、
裸の刺激は強すぎる。
ひまわりは太陽に背を向けて
カタカタと震えだし、
「ふっ、服を着てください!」
と必死にお願いをした。
このままでは太陽を直視できないからだ。
太陽は
そんなひまわりの気も知らないので、
「え?下は、はいてるけど?」
と首をかしげたが、
だんだん状況を理解してきたのか
小さくニッとほくそ笑んだ。
「ああ、そうか。
ひまわりってあまり恋愛経験なさそうだよな。
こういうシチュエーションって、
もしかして初めて?」
太陽にそう言われて、
ひまわりは半泣きになりながら、
「そうです!そうです!
経験なくて、すいませんっ!」
と、別に悪いわけでもないのになぜか謝っていた。
「魔法」に関しては
全くひまわりに力がかなわない太陽ゆえに、
この「恋愛経験」に関しては、
優位に立てているのが、非常に気持ちいいようだ。
だから子羊のように怯えているひまわりを見ると、
もっといじめたい気分になってくる。
わざとひまわりの近くに寄り、
耳元で、
「よかったら、
いろいろと教えてやってもいいけど?
誰もこの部屋に近づかないようにしてるから、
邪魔とかも全く入らないし」
と甘い声でささやいた。
「ええっ!?」
驚いたひまわりが振り返ると、
すぐ目の前に太陽の顔があったので、
さらに頭の中がパニック状態に。
「いや!その!私には
そういう経験ははや、はや、早いと思うんです!!」
あまりに必死な表情のひまわりに、
とうとう笑いがこらえきれず「プッ」と笑ってしまう太陽。
「ごめん、ごめん、悪かった。
ひまわりの反応が面白くて、ついからかっただけだから」
そう言いいながら、太陽はシャツを着た。
まだ状況をよく把握しきれてないひまわりは
しばらくポカンとしていたが、
自分がからかわれていたことに気付くと、
今まで以上にカーッと真っ赤になる。
『からかうなんて、ひどいです~!!
でも、それを冗談と思ってなかった自分も
恥ずかしすぎます~!!』
ひまわりはまだ
気持ちの切り替えができていないが、
太陽はいつものモードに切り替わる。
ひまわりの前に座り、
「ひまわり、魔法の使い方を教えてくれ!」
と言って頭を下げた。
「え?」
予想外の話題に、ひまわりはポカンとした。
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
あなたの子ですが、内緒で育てます
椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」
突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。
夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。
私は強くなることを決意する。
「この子は私が育てます!」
お腹にいる子供は王の子。
王の子だけが不思議な力を持つ。
私は育った子供を連れて王宮へ戻る。
――そして、私を追い出したことを後悔してください。
※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ
※他サイト様でも掲載しております。
※hotランキング1位&エールありがとうございます!
夫を愛することはやめました。
杉本凪咲
恋愛
私はただ夫に好かれたかった。毎日多くの時間をかけて丹念に化粧を施し、豊富な教養も身につけた。しかし夫は私を愛することはなく、別の女性へと愛を向けた。夫と彼女の不倫現場を目撃した時、私は強いショックを受けて、自分が隣国の王女であった時の記憶が蘇る。それを知った夫は手のひらを返したように愛を囁くが、もう既に彼への愛は尽きていた。
婚約者の浮気相手が子を授かったので
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ファンヌはリヴァス王国王太子クラウスの婚約者である。
ある日、クラウスが想いを寄せている女性――アデラが子を授かったと言う。
アデラと一緒になりたいクラウスは、ファンヌに婚約解消を迫る。
ファンヌはそれを受け入れ、さっさと手続きを済ませてしまった。
自由になった彼女は学校へと戻り、大好きな薬草や茶葉の『研究』に没頭する予定だった。
しかし、師であるエルランドが学校を辞めて自国へ戻ると言い出す。
彼は自然豊かな国ベロテニア王国の出身であった。
ベロテニア王国は、薬草や茶葉の生育に力を入れているし、何よりも獣人の血を引く者も数多くいるという魅力的な国である。
まだまだエルランドと共に茶葉や薬草の『研究』を続けたいファンヌは、エルランドと共にベロテニア王国へと向かうのだが――。
※表紙イラストはタイトルから「お絵描きばりぐっどくん」に作成してもらいました。
※完結しました
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる