SUN×SUN!

楠こずえ

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第6話:魔法のランプで大騒動(その2)

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その夜、
ひまわりは再び雨夜家を訪れた。

いつもは昼間に来ているので、
屋敷から見る夜の庭園は
昼とは違った風景に見える。

池に映った月が
幻想的な雰囲気を演出し、
不思議なパワーを
見る者に与えてくれそうな気がした。

もしかしたら、
魔術師一族の雨夜家ゆえ、
庭の配置なども
元々そのように設計しているのかもしれない。

そんなことを考えながら
お手伝いさんの後をついていくと、
通された部屋は
なぜか太陽の部屋だった。

「え?
き、桐島くんの部屋ですか?」

今まで応接間的な部屋に通されるのに、
なんで今日は
太陽の部屋に案内されたのか分からなくて
戸惑って中に入ろうとしないひまわりに、
お手伝いさんは、
「太陽様から、
自分の部屋にお通しするように、
と言われておりましたので、
さ、さ、遠慮なさらずどうぞ」
と背中をグイグイ押して部屋の中に入れた。

太陽の部屋に押し込まれたひまわりは、
心臓が急にバクバクしてきて、
息苦しくなってきた。

男の子の部屋に入るなんて、
今までの人生で兄の部屋以外では
全くといっていいほど0だったからだ。

しばらくは座ることも忘れ、
チラっチラッと部屋の中を見回していた。

「むやみに他人のお部屋をジロジロ見ちゃいけない」

と頭の中では分かっているのだが、
好奇心の方が勝ってしまう。

無駄なものが何も置かれていない勉強机、
きちんと整理されていて
魔術関係の本がたくさん並んでいる本棚、
ブルー系の色で統一されているベッド、
そして部屋の中は太陽がいつもつけている香水だろうか、
その香りが甘く香っている。

「きれいに片づけられている部屋だなあ・・。
私の部屋より何十倍もきれいかも・・」

ひまわりがようやく座って、
ホッと一息つこうとした時、
「ガチャッ」と突然ドアが開いた。

「お、ひまわり、来てたのか?」

そう言って部屋に入ってきた太陽は、
お風呂上がりだったのか
上半身が裸だったので、
ひまわりは驚きのあまりひっくり返りそうだった。

男の子の部屋に入ったのも初めての女の子に、
裸の刺激は強すぎる。

ひまわりは太陽に背を向けて
カタカタと震えだし、
「ふっ、服を着てください!」
と必死にお願いをした。

このままでは太陽を直視できないからだ。


太陽は
そんなひまわりの気も知らないので、
「え?下は、はいてるけど?」
と首をかしげたが、
だんだん状況を理解してきたのか
小さくニッとほくそ笑んだ。

「ああ、そうか。
ひまわりってあまり恋愛経験なさそうだよな。
こういうシチュエーションって、
もしかして初めて?」

太陽にそう言われて、
ひまわりは半泣きになりながら、
「そうです!そうです!
経験なくて、すいませんっ!」
と、別に悪いわけでもないのになぜか謝っていた。

「魔法」に関しては
全くひまわりに力がかなわない太陽ゆえに、
この「恋愛経験」に関しては、
優位に立てているのが、非常に気持ちいいようだ。

だから子羊のように怯えているひまわりを見ると、
もっといじめたい気分になってくる。

わざとひまわりの近くに寄り、
耳元で、
「よかったら、
いろいろと教えてやってもいいけど?
誰もこの部屋に近づかないようにしてるから、
邪魔とかも全く入らないし」
と甘い声でささやいた。

「ええっ!?」

驚いたひまわりが振り返ると、
すぐ目の前に太陽の顔があったので、
さらに頭の中がパニック状態に。

「いや!その!私には
そういう経験ははや、はや、早いと思うんです!!」

あまりに必死な表情のひまわりに、
とうとう笑いがこらえきれず「プッ」と笑ってしまう太陽。

「ごめん、ごめん、悪かった。
ひまわりの反応が面白くて、ついからかっただけだから」

そう言いいながら、太陽はシャツを着た。

まだ状況をよく把握しきれてないひまわりは
しばらくポカンとしていたが、
自分がからかわれていたことに気付くと、
今まで以上にカーッと真っ赤になる。

『からかうなんて、ひどいです~!!
でも、それを冗談と思ってなかった自分も
恥ずかしすぎます~!!』

ひまわりはまだ
気持ちの切り替えができていないが、

太陽はいつものモードに切り替わる。

ひまわりの前に座り、
「ひまわり、魔法の使い方を教えてくれ!」
と言って頭を下げた。

「え?」

予想外の話題に、ひまわりはポカンとした。
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